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一度目の生を終えてから、僕は激しく取り乱した。
泣いて泣いて泣き続けた。
神に背いたのだと。僕は魔女なんだ…と。
けれど悪魔に見初められた私に手を差し伸べてくれる人が居た。
「君、大丈夫かい?」
聞こえたのは優しい声。
見上げた先に居たのはお父様。
「お父様…」
僕がそう言うと、彼は怪訝な顔をした。僕みたいな女は知らないといった顔だ。僕は激昂した。娘の顔を知らない?
そんなバカな話があるか!
お母様がお腹を痛めて産んだこの僕を!他ならぬお父様が忘れるなど!あってはいけないことなんだ!!
刹那、僕の手から放たれた炎がお父様を焼く。
お父様の服は焼けて消える。
もう制御できない。魔女め。
お父様の肌が焼けて爛れる。
人の焼ける匂いがする。許さない。
お父様の目が僕を睨む。
人の焼ける音がする。殺してやる。
お父様の手が僕を掴もうとして力尽きた。
パチパチプツプツと音がする。
僕を責め立てるように。
膝から崩れ落ちる。
後戻りはできない。
バラバラ、バラバラと僕が崩れる。
死んで償うなんて許されない。
ここは僕の知る村じゃない。
ここに僕は必要ない。
神だってもう僕を許さない。
主も僕を救ってくれない。
ならば。
せめて悪役になってやろう。
世界を憎む大魔女に。
女子供の肉を喰らい、
男共の首を飾ってやる。
けれど僕は許される。
この世界でまともなのは
きっと僕しか居ないんだから。