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いにしえの獣  作者: 明日香狂香
49/49

人間

 さようならはいません

「いってらっしゃい」

 と、わせてください

 たとえ、わたしからだちても

 わたしたましいはここにいます

 あなたの旅立たびだったこの場所ばしょ


 さようならはいません

「おかえりなさい」

 と、わせてください

 たとえ、あなたのからだちても

 あなたのたましいをここへもどして

 わたしっているこの場所ばしょ


 さようならはいません

「おつかれさま」

 と、わせてください

 たとえ、たがいのからだちても

 ふたりのたましいをここにめて

 ふたりがらしたこの場所ばしょ


 けものみみもいい。くるしむけもの神大島かみおおしまからながれる人間達にんげんたち歌声うたごえいた。この一帯いったいでは、たび仕事しごと安全あんぜん祈願きがんするうただ。

 しま漁師りょうしやその家族達かぞくたちうたう。兵士達へいしたちうたう。商人しょうにん農民のうみんうたう。そこにいるものはみんな子守歌こもりうたのようにっていた。もり人々(ひとびと)もよくどもたちかせていた。

漁師りょうしたちのうただ。なつかしいなあ。」

「チルトもよくうたってくれたわ。」

「トットもうまかった。」

「あいつのいえもによくながれていた。」

子供こどものころよく子守唄こもりうたいたな。」

「これが、人間にんげん愛情あいじょうか。よくえるわい。」

 けものからだくろたま次々(つぎつぎ)あざやかなあかわっていった。


かあさん。」

 けものは、瀕死ひんしのユナにやさしくいききかけた。ユナのかおあかみがもどり、彼女かのじょしずかにけた。

「おわかれです。ひとのいないべつ世界せかいきます。」

 けものつづけた。

わたし名前なまえけないでください。くものでいい。ひとけものとつながろうと名前なまえけたとき、けものはこの真実しんじつでそのくさりをたどり、もどってくるでしょう。みなつたえてください。けものけっして名前なまえけてはならないと。」

 そうのこして、けものそらへとった。


さきってしまったのね。親不孝おやふこう。」

 けものったあおんだそら見上みあげ、ユナはつぶやいた。ほほをなみだつたう。

「ダメね。うまくわらえないわ。」

 彼女かのじょなみだぬぐううと、一人ひとりたびにでた。わが最期さいご言葉ことばつたえるために。

 そのには、ゲノ、ユナそしてカナタ、親子三人おやこさんにん名前なまえはいった懐中時計かいちゅうどけいにぎられていた。

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