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いにしえの獣  作者: 明日香狂香
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検問

 トットはシラコとの国境近こっきょうちかくのまちいた。

「おまえはここのしげみにかくれていろ。」

 トットの言葉ことばがわかったのか、牡鹿おじか街外まちはずれのわずかなしげみにひそめた。

「かしこいやつだ。」

 トットはひとごとをつぶやくと、まち雑踏ざっとうなかへとえた。

 やがて、もどってきたかれには一本いっぽん手綱たづなにぎられていた。

国境こっきょうえるまでの辛抱しんぼうだ。」

 そういうと、鹿しかくび手綱たづないた。それはうまのものだったが、ハミのわりにくつわをつけなおしてあった。鹿しかいやがることなくトットの指示しじにおとなしくしたがった。それからかれは、薄汚うすよごれたマントを羽織はおり、やぶれた帽子ぼうしかぶった。そして、あないた厚手あつで手袋てぶくろをはめると手綱たづなってした。


「いいこだ。」

 トットにうながされ、検問所けんもんじょはいった。

まれ!ないしにく。」

 憲兵けんぺいじゅうかまえながら質問しつもんする。

「へえ、シラコに出稼でかせぎにめえりやす。」

 トットはなまった口調くちょうで、一枚いちまいかみふところからした。

こりか。」

 憲兵けんぺいは、トットのした手形てがた人相書にんそうがきとかれかお何度なんど見比みくらべた。

「ドラゴンとのいくさそな武器ぶきとりでをつくる大量たいりょう木材もくざいしてるらしいが、おまえもそこへくのか?」

 じゅうろした憲兵けんぺいいにトットはくびたてった。

「このあたりの連中れんちゅう皆同みなおなじだな。ところで、れているのはうまではないな。鹿しかか?」

 憲兵けんぺいがいぶかしげに質問しつもんする。

「へい。われらマタギはやまらしやす。ですからうまよりも鹿しかのほうが便利べんりなんで。」

 トットのこたえに憲兵けんぺい

「そういうものなのか。」

 と納得なっとくしたようにつぶやいた。

っていいぞ。それから、無事ぶじかえってこいよ。お前達まえたちでも大事だいじ国民こくみんなんだからな。」

 憲兵けんぺい言葉ことばにトットは一礼いちれいして、検問所けんもんじょあとにした。

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