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いにしえの獣  作者: 明日香狂香
11/49

木こりと鹿

 エストラットの山奥やまおくこりをしていたトットは、つの緋色ひいろ縞模様しまもようのある一頭いっとう牡鹿おじかかけた。

めずらしい鹿しかだなあ。」

 トットはめて、鹿しかあとをついていった。鹿しかはトットのことをにする様子ようすもなく、ゆっくりとすすおおきなのそばにある洞窟どうくつはいっていった。

はいれそうだな。」

 小柄こがらなトットは、慎重しんちょうをかがめ、薄暗うすくら洞窟どうくつはいってった。鹿しかどま気配けはいがした。一旦外いったんそとて、火起ひおこしのなわ火打石ひうちいしでをつけると、ふたたなかへとはいっていった。さきほどの鹿しかほかにもう一頭いっとういた。わか雌鹿めじかのようだ。よこたわり、くるしそうにあえいである。牡鹿おじか心配しんぱいそうにそのからだめている。トットはおどかさないようにゆっくりとちかづき、雌鹿めじかからだにさわった。ひどいねつだ。よくると前足まえあしれている。破傷風はしょうふうだ。普段ふだんすぐに医者いしゃけないこりたちつね応急用おうきゅうようにいくつかの薬草やくそうくすりあるいている。かれは患部かんぶ薬草やくそう布切ぬもきれでおおった。そして、いそいでどこかへってしまった。しばらくすると、いきらしながらのぼってくる若者わかものれてもどってきた。にはおおきなくろかばんっている。かれ雌鹿めじかふとれたあしると、かばんからメスをした。

人間用にんげんようだから、ちょっと時間じかんがかかるかもしれないが我慢がまんしろよ。」

 トットが鹿しかからだおさえる。わか医者いしゃ患部かんぶひらくと傷口きずぐち消毒しょうどくした。

「べ~。」

 鹿しかいたみにれず何度なんどいた。くす包帯ほうたいえた医者いしゃ

「おそらく、わなにかかってできたきず原因げんいんだろう。」

 と、のこまちへともどっていった。

 それからトットは毎日まいにちみずみ、洞窟どうくつにやってきては雌鹿めじかくすり包帯ほうたいかええた。牡鹿おじかはせっせとえさはこんでくる。

 かれらの介抱かいほうによって雌鹿めじか日増ひましに元気げんきになっていった。


 ある、トットのもと一羽いちわはとりた。それはトットがあずけている伝書鳩でんしょばとだった。手紙てがみかれ荷物にもつをまとめると、山小屋やまごやなかつちらし、周囲しゅういあぶらいた。

「これで、犬達いぬたちってこれないだろう。」

 そうつぶやくと、緋色模様ひいろもようつの鹿しからす洞窟どうくつかった。雌鹿めじかはすでにはしりまわれるほどに回復かいふくしていた。

用事ようじができた。これで、さようならだ。」

 そう二頭にとう鹿しかげるとやまくだはじめた。しばらくするとあとろからくさけるおとこえてきた。くとさきほどの牡鹿おじかあとをついてくる。

たびるんだ。もどりなさい。」

 言葉ことばつうじるかわからなかったが、トットは牡鹿おじかすこしきつい口調くちょうでいった。しかし、鹿しかはじっとトットのほうをつめたままうごかない。

きにするさ。」

 トットはあきらめてまた山道やまみちあるはじめた。

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