第二話
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…………あぁ、此処は…天国か…?
思えば短い人生だったなぁ…。何事もなく安穏と中学生活を謳歌して、自分の学力で入れる高校に入って…ガキの頃からずっとやってた剣道活かして部活に入って…。
……そう言えば、新館の剣道場の天井ってこんな感じだったなぁ…。
「おーい?生きてるですかー?おーい。」
「うわっ!?…って…。」
「うわ、起きた…。」
突然真上から覗いてきた誰かを避けようと体を捩らせようとした途端、右肩を中心に痛んだ。地味にかなり痛い…。
………あれ、此処は?
俺、あの化け物に食われて死んだ筈じゃ?…つー事はここは天国?ヘヴン?ぽっくりニルヴァーナした割にはちょっと古風過ぎない?
「…えーと…。」
「右遼様ー、超絶凄い怪我して倒れてた変な人略して超凄変人が起きましたですよー。」
「ちょっ、人が起きていきなり変人呼ばわりって酷くない!?しかも前半他人に物凄い勘違いされそうだからやめて!!」
激痛に耐えて放ったツッコミもとい制止も空しく、人の事を初っ端から変人などと呼んでくる失礼極まりないチビっこい誰かはドアを開けて駆けて行ってしまった。オノレ。
「…で、結局此処は何処なんだよ…。」
痛みがある…って事は少なくともまだ生きてる…んだよな?んで、今寝てるのが布団だとして天井もある、つまりこの場所は部屋の中だ。窓…というより吹き抜けに近い所の方を見てみるもちょっとした庭園の後ろに土壁があるだけだった。
………………。
考察の結果、場所に関しては全く分からない事が分かった。…考察した意味ねぇ~…。
膝をついて(座っているので正確にはついていないが)落ち込んでいると、空いた扉の向こうから先程人を開幕変人呼ばわりしてきたチビの声が響いてきた。違う声が聞こえる辺り、誰か連れて来たのだろうか。
「…っとぉ、ここか。」
「右遼様、また部屋間違え掛けやがりましたねこのスカポンタン。いつになったらキチンと止まるですか?」
「すまんすまん。…ってシロちゃん、仮にも上官に酷くない?」
「ワタシの直属は左遼様なので問題ねぇですよこの脳みそド饅頭。」
「うっわ酷っ!今の俺がこれまでに聞いた悪口の中でベスト2入りの悪口だよ!」
「…………あの…。」
このままでは一向に話を聞けそうにないので、無駄に息の合った漫才をかまし続ける謎の人物二人に割って入る。すると、二人の片割れ…背の高い黒髪の青年は驚いたようにこちらを向いた。
「…あぁ、すっかり置いてけぼりにしてしまったな、済まない。」
俺が気を悪くしたと思ったのか、取り繕うように青年が朗らかに笑う。
「い、いえ大丈夫d」
「この超凄変人に心配なんて要らねぇですよ木偶の坊。」
「「今のはちょっと酷いんじゃない!?」」
チビッ子のあまりの暴言に、思わず背の高い男性と声が重なって突っ込んでしまった。我ながら見事なハモりである。
「うわ、馬鹿と変人が合体しやがりましたですよ。これはもう手が付けられないですね。」
二人して膝から崩れ落ちるのに、そう時間はかからなかった。
うーん…。
手前で言うのはなんだけど、短いっ!
次回からは頑張って長くします。