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第36話 再会 ⑤

 俺はイアの言葉を聞き、もう逃げられないかと覚悟を決め、弓を用意する。現状、自分の中では一番上手いのが剣なのだが、イアに対しては近接は不利だと決め、中、遠距離で出来る弓にした。

 取り出した弓は、最近新たに作り出した弓『ドムーン』だ。


 ───────────────

 弓:『ドムーン』(魔力で矢が作れる。矢に属性を寄付できる。術式展開が少しやりやすくなる)

 ───────────────


 まず俺はミカさんの後ろに向かってバックステップをしつつ、イアに向けて基本属性を一つずつ寄付した矢を放つ。

 普通の矢。燃え盛った矢。水が渦巻く矢。周りに冷気を放つ矢。石で出来た矢。スピードが速い矢。

 様々な矢がイアに向けて放たれる。

 それをイアは、こちらに向かって全身しつつ、刀で受け流しながら走ってくる。

 矢が全部イアの所に言ったかと思うと、俺とイアとの間にミカがやってくる。そして刀を俺の知らない構えで持ち、こう叫ぶ。


「【※☆‥※☆】が一番隊隊長、ミカ・アインレストロン。イアお嬢様に罰執行(お仕置き)開始!」


 一部分よく分からない所が合ったが、そこは気にしないでおこう。ただお仕置きって言い方はどうにかならなかったのかな...まぁ今は戦闘だ。

 ミカがイアに対して刀を振り、それをイアが横へと躱す。そしてイアがミカに対して居合を放つ。

 そんな攻防が十秒、二十秒と続いていく。そんな中、俺は何をしているのかと言うと。


「[座標指定、クリア。空間固定、クリア。威力減少、0。速度上昇、50.......]」


 弓を構えながら無駄に細かく詠唱をしていた。

 無詠唱でも出来なくは無いのだが、それだとミカに対して邪魔になる可能性が高い。別に良く知らない人なのだから当たってもいいとか少し思ってしまったが、それはちょっとなぁ...と感じたため、詠唱を細かく設定してる。


「[本数指定、今から二分。対象、イア。術式展開」」


 詠唱が終わる。


[追尾ホーミングアロー]」


 この魔法名は別に言わなくても良いのだが、今回は脳内のイメージをさらに細かくして確実性を高める狙いがある。

 そして最後に二つ自分に魔法を掛ける。


「[演算処理加速(オーバーシアター)三倍《act3》]」


 思考能力を三倍にする魔法、効果時間は十分~二十分程だ。魔法が切れた後は数十分はまともに動けなくなるが、終わったらどうせミカがイアを倒してそうだから十分だ。


「[身体能力加速(スキルオーバー)三倍《act3》]」


 次は身体能力を三倍にする魔法だ、効果時間も同じで十分~二十分程だ。魔法がきれたら数日はかなり酷い筋肉痛に悩まされる事だろう。


 この二つの魔法は、俺がまだ転移して数ヵ月の頃に作った奴なので、術式はボロボロだし効果時間も短いが、その分無駄に効果が高いという完璧なロマン魔法だった。

 理論だけ作って、魔力が足りなくて放置していたが、今この魔法を解き放つ時だと思い、発動した。


 態々こんなに準備してやることと言えば。

 イアに向けてホーミングする矢を二分間ずっと続けるという嫌がらせ。

 だ。

 はいそこショボいとか言わない。


「スタート!」



 気合いを入れるため大声で掛け声を上げ、魔法で作った矢をかなりのスピードでたくさん弓から放つ。するとイアの周りから無駄に光った円がたくさん現れ、そこから矢がたくさんイアに向かって飛んでいく。

 イアはそれを受け流しつつ、ミカに向けて当たるように移動するが、ミカに当たりそうになった途端にあり得ない軌道を描きイアに向かって飛んでいく。

 その情景はさながら有名人にサインを求めに行く人々の様だった。


 そんな事を二分間ずっと続けたが、なんとイアはそれを息絶え絶えになりながらも耐えきった、流石に無傷は無理で体の至る所に傷や穴があり、かなり悲惨な状態になっている。

 しかし、ミカも攻撃していたには余りにも傷が少なかった。

 俺が放った矢を毎回折らないと躱してもまた戻ってくる、そんな物を数千本も来ていてこれはちょっと悲しくなるが、今はそんな事を気にしている余裕は無い。


「[詠唱コピー...ペースト。術式展開。魔術開始]」


 イアは疲れていて動きが遅くなっているが、俺はそんな事は知ったことではない。容赦を持っていてはこの世界では生きていけないのだ。


「さっさと疲れて気絶してくれ」


 弓を放ちながらそう言う俺。ミカは余り体力を減らさない様に動きつつ適度にイアに対して攻撃していた。

 ミカが少し引いてる様に感じるが気のせいだろう。




 俺が二分間キレイに射ちきり一息付くと、それと同時にイアが倒れたのを見た。


「終わったか」

「イアお嬢様は連れて行かせて頂きますが、よろしいでしょうか?」

「あ、どうぞ」


 そのままイアを連れてミカは何処かへ走り去っていった。



「あぁー疲れたー」


 俺はその場に横たわり、夜の帳を迎えた夜空を仰ぎ見る。

 いや、そこまで疲れてないのだが精神的に疲れたと言った感じだろうか。


 そうしてぐだぐた横になっていると、不意に何か状態異常を食らったかのように体と思考が働かなくなる。


「あれぇ?なにぃがあったんだぁ?」


 思考も遅く、呂律も回らなくなった。

 

「あぁ~そうかぁ~これぇ副作用かぁ」


 遅くなったとしても流石に元々が高いので、すぐに理由が思い浮かぶ。


「ちょっと~誰か~助けてぇ~」


 怠けた声が辺りに散っていく。


 ──※動けない状態で無闇に声を上げると、周りの魔物がやってくるので良い子はマネしないようにしよう


「あれ?マモルじゃん、何してんの?」


 そこにやって来たのは、ホムラだった。

この小説をご愛読の皆様、明けましておめでとうございます。

投稿ペース等、様々な悪い点はありますが、今後とも宜しくお願いします。



やっとホムラ編のタイトル回収。

ゴリ押しかも知れないけどやりたいことをするためにはしょうがないね。設定の一つや二つは壊すもの。

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