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第??話 彼女の物語

番外編です。

今回は鍛冶国家編で出てきた彼女の物語です。

 私の名前は黒井鈴、伊勢貝天成高校に通っている一生徒です。

 私のクラスには一人の男が居る。間宮守、全てにおいて並より上の成績を納めている男です。

 彼は基本的になんでも出来るが、本格的な人には負けると言う、よくある器用貧乏な人だった。だけども、何故か目に見えないカリスマ性があり、私もその虜だった。

 F&B、その試合での彼は、いつもの器用貧乏では無く、フラッグを絶対に取らせない鉄壁の壁となっていた。試合の時の表情は今でも忘れられない。肉食獣を思い浮かぶ様な目付きをしており、その目で私を見られたら多分、イってしまうだろう。

 そんな彼を見て私は気が付いたら、恋愛感情から崇拝に変わって居た。


 彼の話だけでなく私の話をしておくわ。

 私は昔から何処か近寄り難い雰囲気をしているらしく、友達と言う友達は居たことが無い。しかも私自体が何処か他の人とは、根本が違う(・・・・・)から、どうにも流行りと言う物や会話に混ざることが無理だった。

 私はとある能力を持っていて、それは瞬間記憶能力(カメラアイ)。見たものをそのまんま覚えられて、しかも忘れることが無いと言う能力だ。

 他には超演技(ロールプレイ)。自分の思い浮かべる者に完璧に(・・・)成りきれる。例えばギネス記録を持っている人に超演技(ロールプレイ)をすればその人と全く同じ記録が出来ると言う物だ。私の瞬間記憶能力(カメラアイ)と合わせて今の私に真似が出来ない人は表舞台に出てない人以外は居ないだろう。

 だから、昔から成績は基本トップ。それでちやほやされた時もあるけど、自分の対応のせいでそんな事はもう無くなってしまった。

 イジメに合いそうになったこともあったが、格闘家の超演技(ロールプレイ)で相手をしたため、恐がってそんな事は無くなってしまった。


 そんなある日、私は何時も通り椅子に座り、哲学や数学、様々な文学の本を読む。真面目な人を偽って学校では過ごしている。

 すると、隣の間宮君から唐突に声を掛けられる。


「それって読んでて面白いの?」


 面白い面白くないは全く分からない、だから返答に困ってしまった私は、その手の本に合った項目、『人生について』を間宮君に質問してしまった。


「貴方は人生についてどう思う?」


 自分はやってしまった、と心の中で頭を抱えた。しかし、もうやってしまったのは遅い、ならもう一層このキャラクターで演技を続ければ良いじゃないか、と思い相手の返答を待つ。

 間宮君は驚いた様子で目を見開き、数十秒閉じて、口を開き始める。


「そうだなぁ、つまんない、かなぁ」


 最初は意味が分からなかった。面白そうな顔をしてるときもつまらなかったのか、何故つまらないのか。疑問は続く。


「何故?」


 口に出てしまった。ならこのまま演技を続けよう。続ければいつか分かる筈。


「何故つまらないの?」


 疑問の声を続けて放つ。間宮君は少し考え、口を開き始める。


「だってさ、才能が無いと大体はプロになれないスポーツ。才能が無いと全然目立たない学問。カリスマが無いと名前すら挙がらない政治業界。才能ばっかり、どんなに色んな事が出来ても一つの特化した物があればそっちが優秀と称される」


 そう話す間宮君の目は少しずつ光を失っていく。


「色々出来て凄いよな、褒め言葉になるだろう。だけど、こうとも取れる、目立った物は無いよな、ともね。本当に、努力でなんとかなる物がまだ合って良かったよ」


 光が無くなる。


「勝てないのは辛い、特化した人から馬鹿にされるのは辛い、何故勝てないのか疑問が続くのが辛い、努力を止められないのが辛い、才能がない自分が辛い。生きてるのが、辛い」


 そう言葉を発した後に顔を伏せる。そして数十秒が経つと顔を上げ、にこやかな顔でこう言う。


「なんちゃって、上手いだろ?俺の演技」


 演技、彼はそう言って口角を上げドヤ顔を作った。


「うん、上手い。......才能がなくても出来るものが合って良かったね」


 そう答えると、私は本を読み始める。


「え?俺の質問ってどうなったの!?」


 そう喋っている間宮君の声なんかは聞こえなかった。そのまま本の世界へと入って行く。少し、思考を残しながら。


(間宮君にもこんな所が合ったんだ)








 そんな話から一年後。異世界転移と言う事件が起こった。


(異世界なんてあるんだ)


 そして私はキャラクタークリエイトをする。

 間宮君の言葉を思いだし、才能の所を確認する。



 才能系

 武術の才能 魔術の才能 演技の才能



 私にはこの三つの才能しか無かった様だ。いや、三つもあると喜ぶべきだろう。普通才能は後天的には獲得出来ないと思うからね。


 そして、私はキャラクタークリエイトを終え、完成を押す。



 スズ・クロイ LV1


 性別 女

 種族 人族


 筋力 C 体力 C 瞬発力 C 魔力 C 幸運 C


 スキル

 ・弓術LV3

 ・暗殺術LV2

 特殊

 鑑定LV5 鑑定妨害LV1 直感LV2

 アイテムボックス


 アビリティ

 スキル成長率アップ アビリティ取得率アップ 成長限界無し 寿命増加 『瞬間記憶』『超演技』

 才能

 武術の才能 魔術の才能 演技


 道具

 おすすめセット 矢作成弓 切れ味の良い短剣 隠蔽付きローブ



 私はそれを見たときに、完成を押す前に驚いた。私自体の持つ能力がこれに記載されていたのだ。だけれども、少し驚いただけでそのまま完成を押す。




 異世界に来て一番最初にやったこと、それは魔物の殺害だった。自分は耐えられるのか?それを最初にやろうとした。


 結果は無理だった。


 殺害した時の悲鳴、感触、返り血。全てにおいて吐き気を催した。何故こんな事を平気に出来るのか。可哀想では無いのか、そう疑問に思いつつも、私は演技を始める。

 無感情に、平坦に、無機質に、そう言う性格に演技をする。私は演技をしなくてはこの世界では生きて行けなさそうだった。


 だから私は演技をする。





 その後にはとある中級暗殺者に弟子入り...と言うより家事手伝いで雇われたのだが、それで依頼を続けている内に間宮君に出会った。それが出会った経緯だ。









 ――――――???――――――


「演技をしなければ心が壊れてしまう。だから彼女は演技をする、本当の自分はもっと心の弱い女の子なのに」


「何と言うか悲しい人やなぁ、でも彼女は特殊な能力を持った『選ばれし人』やろ?なんで勧誘しなかったんや」


「彼女は特別な能力を持たざる追えなかった、『普通の人』だ、だから勧誘はしない。特別な何かを持ってるだけでいいからな俺達の組織は。彼女より、まだ彼の方が何かを持っているだろう」


「うぅむ、せやろか、ならええわ。うちはお前に従うだけやしな」


「それで良いんだ。俺の組織、【PSI(能力者)only(史上主義)】には『特別な人』しかいらない」



 彼等が出会っている裏ではそんな会話が合った事には誰も気付いていない。まだ何も起こっていないんだから。



シリアスな雰囲気をぶち壊す様で悪いんですけど、これで悪の組織(ぽいやつ)って三つ目なんですよね...

三つ巴になるのかな?(すっとぽけ)

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