第26話 彼と鍛冶国家 ⑤
タイトルやその他もろもろの、鍛治、の部分を、鍛冶、に直しました。
「よろしい、合格じゃ」
「ありがとうございました!」
俺は鍛治の修行で合格を貰い、意気揚々と外へと出る。
今まで出てこなかった師匠の名前を今更ながら紹介しよう。ガンツ、ガンツ・フェクト。鍛冶国家の中でも結構地位があり、教えて貰うにはかなり根気が必要だった。最終的には今の実力を見せてみろと言われて見せると、「基礎は出来ているようだな...だが、まだ駄目だ」と言われてそのまま修行に入った。
教え方はスパルタ気味だったが、戦闘技術を教えるときのイルシアよりはマシだったので良かったと思う。
そして、何故かもぬけの殻だった悪徳貴族の方も独自に調べて居るのだが、結局全然分からなかった。今でも色々悪い事をやっているのか、もう死んでいるのかは分からないが、禍根を残す結果になった。
そのまま出発する前日となり、お世話になった人といつものをやっている。完璧に国から出ていった流れだったが、これをやっておかないと何と言うか俺っぽく無いからね。
メンバーは、【武具使い】に、ガンツ師匠、他にも色々な人が居るが小説に出てきたのはこの二人だけだ。多分会話もこな二人しか出てこない。
「カーティス、お前調べてみてどうだった?」
「いや、何もわかんねぇや、多分死んでるんじゃねぇの?ここまで足が着かないとどうにも出来ないぞ」
「うぅむ、出る前に決着着けておきたかったんだがなぁ」
「別にまだ居ればいいんじゃねぇのか?」
「免許皆伝を貰ったら出ていくのは常識だろ!」
「そんな常識しらねぇよ!?」
そんな馬鹿な!?師匠に免許皆伝を貰ったらそのまま国に戻り、ヒロインの危険を寸止めで救うのは常識だろうに...
「あ、この小説ヒロイン基本的に全員強いや」
「ん?何いってんだ?」
「あ、いや何でもない」
くそぅ、こんな王道を逃すとは...
ま、良いや。どうせ適当に過ごしてたらいつかこの事件ぐらい解決するだろ。いや...この作者だとそんな事を出来るのか?いや、出来ない!
「よし、カーティス。俺はこの事件を解決してやるぜ!」
「は?え?何で?さっきまで帰る流れだっただろ!?」
「この小説の作者が取り敢えず解決しとけと言っているんだ!」
「誰だよ!?」
よし、頑張るぞ!
「お主ら酒が回り過ぎておるぞ、少し頭を冷やしてきたらどうじゃ?」
「大丈夫です、師匠。私はこの事件を解決してみせます!」
「頭を冷やしてこいと言った筈なんじゃがのう...あとその師匠ってのはやらなくて良いと言った筈なんじゃが」
「いえ、師匠と言っておけばいつか王道的な展開で、ピンチに陥った国に一人立ち上がった師匠に危なくなった所で助けに入る弟子、と言ったシチュエーションが出来るからです!」
「いや、わし鍛冶職人やし、何で鍛冶職人が国のピンチに一人立ち上がらなければいけないんじゃ、そもそもこんなご老体一人で何になると思っているのじゃ」
ハッ!?確かにそうだ!いや、まてまて騙されるな俺、師匠は実はご老体に見せているが実はそれは仮初めの姿で本当の姿は筋肉ムキムキのマッチョマンに違いない。危うく騙されてしまう所だった...
「そんな事言ったって騙されませんよ!?」
「いやお主わしを何だと思っておるのだ!?」
「筋肉ムキムキのマッチョマン」
「そんな訳ないに決まっとるだろう!?」
「なん......だと.......!?」
「何を驚いとるんじゃ!?」
そんな馬鹿な、じゃあ俺の王道的な展開を望んでたのは全部無理だったのか!?いや、待てまだ行ける。事件を解決したらそのまま被害者の美少女との恋に発展する筈だ!なら尚更この事件を解決しなければ。
「事件だ!事件を解決だ!?そうすれば行ける筈だ、いや、行ける!」
「何にだ!?」
「では、諸君さらばだ!金は置いておくぞ!」
「マミヤ!お主何をするつもりじゃ!?」
「あ、おい待てマモル!?」
そのまま俺は、飛び上がり時空間魔法で街を見下ろせる場所へと向かう。そうすれば何処か怪しいところが見つかるだろう(断定)、見つかるかな(不安)、見つかってくれ(願望)
「「マモルの奴が主役なのに何処行ったんだ......」」
そのまま宴会会場はマミヤの金を使いどんどん料理が運ばれてくるのであった。結構盛り上がったとか盛り上がってないとか。
「やべぇよ!全然見つからねぇ!?」
そんな馬鹿な、ありえない!?こう言う時程良く見つかるもんじゃねぇのか!?
そんなこんなグダグタと歩いている内に一つの教会を見つける。絶対これだと思いマミヤはその協会に入る。
その教会には、一つの石像が置かれていた。
その石像には漆黒の翼、目付きの悪い目、少し小さいが生えている角、そしてその心臓の所には赤い宝石が入っていた。恐怖、しかし何処か安心感を与える女性の石像があった。
ほんの少しかも知れないし、数時間かもしれない。そんな長くも短い時間、マミヤは石像に魅了され続けた。
そして気が付くと一人の男が隣に居た。
「こんにちは。君は始めて見る顔だね。」
「!?.....誰だ?」
瞬時に距離を取り、刀を取り出す。
「そんな敵意を向けなくてもいいじゃないか、僕は只、この一人の女神の信者だよ。」
「これが女神?」
「そうさ、この少女は人間から昇神して女神になった女の子。最初は人を助けて、弱きを守り悪を倒す。そんな生活だったのさ。」
唐突に語り始めたな...いや、ここで手を出すのはまだ駄目だ、この石像の話を聞いてからにしよう
「しかし、ある時少女は一人の少年を見つけてしまった。その少年には父親が居た。」
「少年の父親は窃盗や強盗。色々な犯罪をやっていた男だった。しかし、それは生きるために必要な事だったからやっていた事。」
「父親は一人の冒険者に捕まり、牢屋へ連れられて裁判に掛けられた。少年は無罪を訴えた。少年の父親は潔く何も言わないでそのまま立っていた」
「だけども、罪は罪。少年の無罪の訴えは虚しく、結局は有罪になってしまった。そして、少年の父親は処刑されてしまった。」
「少年は、人を、国を、世界を恨んだ。何故こんな世界なんだ。少しでもなんとかならなかったのか。」
「少年は理解していた、してしまっていた。父親の処刑はしょうがない事だと。だから、どうにも出来ない事も分かっていた。」
「だからこそ、こんな状況にした世界、この世界を作った神を呪った。ただひたすら。」
「少女は見てるだけでどうにも出来なかった。余り苦労をしないで、神の子と持て囃されて、女神になった。」
「少女は悩み、悩み、悩んだ。永遠に悩み続け、どんどん翼は黒くなって行く。角も生え、心臓は魔石になってしまいそうになる。」
「神は少女を見捨てた。女神も結局は使い捨て、新しいのが来ればいい。神はそう考え、少女を捨てた。」
「少女が出した結論は、世界を破壊することだった。」
「産まれなければ、苦労は無い。産まれてしまえば、容姿、才能、家系。様々な差別や苦労が増える。少年の様な被害者が出てしまう。」
「『なら、全部壊せばいい』」
そう言うと、一つの花瓶が割れる。その花瓶には一つの家族が居た。
「そうして彼女は邪神となり、魔王を育て、世界を破壊する。」
「そんな彼女を誰が悪と言えるのか。それは立場が違うからこそ言える言葉に過ぎない。その立場になってしまえば絶対に彼女に人間は頼る。手の平を返してね。」
「君は、どう思う?」
話を聞き終わり、俺は目を少し閉じ、自分の考えを纏める。
「俺もその考えには同情も出来るし、もしかしたら俺も、そう言う事をやってしまうかも知れない」
相手は答えない。
「だけど、今この瞬間はこの主人公だか主人公じゃないんだか分からない俺でも頼ってくれる人は居る。そんな人をまだ裏切れない。俺は、天邪鬼だからな。まぁ、次とかその次とか誘って置いてくれや、『少年』」
その男...『少年』は、ニヤっと笑い、こう言う。
「そうだね。君が絶望した時は少女と少年が君を助ける事だろう。」
そう言うと手を差し伸べてくる。俺はその手を取り、こう言う。
「次があるかは知らないが、次は俺が絶望した時にこの手を差し伸べてくれ」
「了解、お兄さん」
そう言うと、周りの景色が歪む様に消え去り、俺は空き地に建っていた。そこには一つの紙が落ちていた。
『一つの貴族は無事邪神に討伐されたとさ。それじゃあこれからも頑張ってね、お兄さん』
そのまま俺はその紙を火魔法で消し。後ろにターンそのまま振り返らずに何時もの宿へと向かう。
後ろからは少し呆気なさを残した、女性と男性の「クスクス」と言った笑い声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
そして、翌日晴れやかな顔でマモルは様々な人に出会った鍛冶国家を出る。
唐突なシリアスですが、上手く表現出来て居たでしょうか?
意味が分からない等合ったかもしれませんが、それは「作者は馬鹿だなぁ」と罵っておいてください




