五話
リームフォレスの町なみは中世ヨーロッパのような感じで
もうすぐ夕方になるが露天がそこかしこで開かれている
「あの、リームフォレスには初めて来たのですが
どこかに宿屋のようなところはありますか?」
「それならノルンの宿がいいな、俺たちもいつも利用してる」
「そうですね、カムイさんにはぜひお礼がしたいので
ノルンの宿屋で落ち着いてお話をしませんか」
「いえ、お礼なんて……」
「そう遠慮することはねぇ、命を助けられたに等しいんだ
なんなら衛兵さんからもお礼があってもおかしくないだろうよ」
「こら、そういうのはリゲルが言わなくていいんだ!」
そんな会話をしながら町中を進み、ノルンの宿屋まで歩を進める
途中広場のようなところに噴水があった
下水がしかれてるのかな?素人考えだけれども
どうやって噴水が動いてるのだろう、魔法かな
「では私はここで失礼します
もしかしたら詳しいお話を伺いに来るかもしれませんがそれでは」
「おう、元気でやれよバッツ」
「お前もな、リゲル」
ちょうど宿屋の入り口辺りで隊長、バッツさんと別れた
「まあノルンの屋はちょっと賑やかで
うるせぇが悪い宿屋じゃねぇからな」
宿屋の入り口をくぐると中は昼間からお酒をちびちびと飲んでいる人
リゲルとファマスさんのように行商を行っていそうなグループ
衛兵ではないのだろうけど防具を装備した騎士らしき人たちも居た
「あー部屋は二つで二泊頼みたい
一つは私とこいつ、もう一人はカムイさん……青年だ」
「わかりました料金は1万8000リェンになります」
ファマスさんが金色に輝く硬貨1枚と銀色の硬貨を8枚渡す
この世界の通貨はリェン
1金貨が1万円、1銀貨が1000円
大銅貨が100円、銅貨が10円ほどになる
中には白金貨とういうのもあるのだが
こちらは国同士での取引やとてつもない規模の取引でしか使われないため
あまり表には出ない
やがでファマスさんが会計を済ませテーブルに座る
さっきのやり取りがあまりにスムーズだったので言葉を挟めなかったが
僕の分の料金まで支払ってくれたんだ、お礼を言わねば……
「ファマスさんありがとうございます
僕の料金まで払っていただけるなんて……それも二泊」
「いえいえ、これはほんのお礼の一部ですよ
少しやり方が強引ですみませんでした
こちらが今回助けていただいた気持ちです」
そう言いファマスさんは3金貨を差し出す
「ありがとうございます
お二人は二泊されてからまた行商を始めるのですか?」
「はい、私とリゲルは今日ここで一泊し
明日に品物と傭兵を探して、あさってにはここを出る予定ですね」
確かに今後行商を続けるとすれば
今日みたいに群れの狼が出てくるかもしれないからね
「リームフォレスとファマスさんがあさってに行かれる町の
えーと、レイアはどちらが栄えていますか?」
「断然レイアだな、あっちは首都だ
しかし、カムイはそんなことも知らずにこっちに来たのか?」
「はは……無計画でね、それでファマスさんレイアに僕も連れて行ってほしいのですが
傭兵という形で僕を雇って頂けないでしょうか」
「カムイさんを……ですか
確かに戦力的には問題ないのですが、その魔法の威力をなんとかコントロール出来ます?」
アイスアローであの威力、至近距離なら僕はふっとび
リゲルとファマスさんも怪我をするだろう……
「わかりました今からちょっとやってみようと思うので
見てもらえますか?」
そう言い三人で宿屋の庭?のようなところに移動する
宿屋に近づいてきたときにここで素振りをしている人が居たけど
どうやらもう夕方らしい、はるか先の山の上の空は赤く
カラス……のような鳥の鳴き声も聴こえる
「間違っても宿屋は吹き飛ばすなよカムイ……」
ほんとうにそれだけは避けなければ……
「では、山の比較的何も無い方に飛ばします
アイスアロー!」
そう呟くと狼の時とは違い
手のひら辺りの狭い範囲が冷たくなり
やがてほんの小さな氷の塊が出来て拳より一回り大きくなった辺りで
遥か彼方の山の方に飛んでいった
「これくらいなら問題無いでしょう
後三回ほどあそこのカカシに打ってもらってよろしいですか?」
バシュッっという音が三回、なんなく終え
三人で宿屋のテーブルに戻った
「それで料金の相談ですがあさっての朝リームフォレスを出発
そこから一日歩き続け、野宿し半日ほどでレイアに着きます
大まかに見積もって1金貨でいかがでしょう?」
ファマスさんも大胆だ1日半で1万円稼げるとして
これはとてもいい仕事だと思う
「わかりましたこちらもその料金で問題ありません」
「なお雇用時の衣食についてはこちらから提供出来るので
用意されなくても大丈夫です」
「安心しろカムイ、ファマスの用意するメシは不味くはねぇから任せとけ」
そこまでしてもらえるなんてなんて割りのいい仕事なのだろうか
もしかして行商って儲かるのかな?
その後他愛もない話をしながら宿屋でご飯を食べ
自室の寝床で僕は異世界最初の一日を終えるのであった