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信じられへん...

初めての投稿になります!

下手くそで亀更新ですが頑張りますので

よろしくお願いします。

“旅に出ます。探さないで。“


「なん...やて...。」


何時もならば聞こえてくる2人の笑い声が聞こえへんのはおかしいと思った。薄暗い長い廊下を歩き、リビングで電気をつけ、すぐに目に入ったんは机の上に置いてある大量の封筒。その1番上にはお母さんのお気に入りである便箋が3つ折でじっとしていたのだ。嫌な予感。あの両親のことやから、急な旅行かもしれへんと腹をくくったうちの考えのさらに上をいくような内容に軽い目眩がしたきがした。

“お父さんの会社が倒産したの。

借金取り怖いから隠れるね。ばいばい。

愛しの和桜へ。まま、ぱばより。“

旅に出る理由が借金取りが怖いからって事はここに借金取りがくるんやないの?娘を1人残し自分らは何を考えてるんや。便箋の下にあった封筒をあけ、中を確認するとうちは目を疑った。


「300万...まさか他の封筒て...」


焦って全部開けると、500万、150万...と、多額の金が記されている。右手で指を動かして計算すると、全てで3211万5312円...。今だけはそろばんで磨いた計算力が恨めしく思えた。


「うちにどうしろ言うんよ...。」


家の物を全て売ったとしてもそんな金額には到底及ばへんし、ましてや今しているバイト代はいい方と言っても月に16万程度。もしかしたら高校も辞めなくてはならないのでは無いだろうか。

そんなことをぐるぐると考えていると、玄関の方で、ガンガンガン、と音がした後誰かが入ってきたのだった。


「この家は買い取られますので、今すぐ最低限の物を持って出ていってください。」

「!?あんた、いきなり何なん。こっちかて混乱してるねん!」

「力尽くでも構わないのですよ。」

「っ...!!」


土足で入ってきた男たちは、金目の物を中心に既に札のようなものを貼りだしている。うちは為すすべもなく言われたまんま、部屋にあったリュックに着替えを何着かと自分の財布、ケータイと充電器を入れるしか無かった。他は全て取られるだろう。

まだ制服のままやったうちはローファーを履いて外へ出た。1人、ポツポツと歩きながら今までの整理をして、これからの事を考えていた。さっきまで訳わからんかったんが急にリアルになって現実になってきて訳わからん怖さがこみ上げてくる。


「どうやって生きてけ言うんよ...。」


そっとケータイを見ると、画面に友達からラインが来ていることを示す通知が来ていた。ぽつ、と蘭...と呟いて見るものの、彼女に頼るわけには行かない。

出てきそうになる涙をこらえて一歩歩き出したところで後ろから低い声で話しかけられた。


「自分が渡邊和桜やなあ?」

「両親の居場所知っとるんやろ?」

「うちは、何も知りません!」


やくざ...本能が危ないから逃げろ言うてる。幸い相手がおるんは一方面。隙をつけば逃げれる。


「言えへんなら自分ではろてくれてもええねんで?」

「ええ仕事紹介したるやん。」


ケラケラと笑うのを見て、うちは即座に走り出した。遠くで“待てや!“と焦った声が聞こえたが、追ってくるほどでは無さそうや。必死こいて走ったから今までにないほど早い心臓を抑えて家からいくらか離れた神社の境内のところにある階段に座った。さらさらと木の音がするほど静かなそこは、実家を思い出させる。おばあちゃんに電話をしようか。でもそうなるとまた彼女に迷惑をかけることになる。


「もう、いっそう死んでまいたい...。」


誰にも迷惑をかけないように、1人で。三角座りをして周りを見渡すと神社なのに巫女などがいない事に気がついた。そこそこ大きいし、綺麗なのに意外だと見渡していると、ふと桜の木が目に付いる。


「......」


特に何を考えていたわけでもない。ただぼんやりと立ち上がりそこに近づいた。枝にリュックを引っ掛けたら...たぶん死ねる。ほぼ反射的と言うように枝にかけ首を入れた。

ああ、短い人生だった。思えば結構良い物だっかもしれない。そこそこ友達もいて、彼氏がいる事も何度かあった。バイトや部活も楽しかった。しかし他人に迷惑をかけるくらいなら死んだ方がましや。気づくと足は宙に浮いていて急に苦しくなった。


「ひぅ...。」

「!!おい!女っ!!」


遠のく意識でちらりと声の方を向くと境内の屋根の上に誰かがいるんが見えた。ああ、死神か。もう、うちは行くんや。

さようなら。

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