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001


 王立ルナリス魔法警察(Royal Lunarisian Magicians Police)は魔法界のルナリス王国で発生する魔法犯罪を取り締まる組織だ。丁度、この日もそうだった。ルナリスの三番街で事件発生との通報を受けた警察官二人がパトカーを走らせていた。


「どいたどいたどいた!」


 乱暴な運転をする黒人の男はギオン・ソーダ。この男はギャングでありながら、魔法の腕を買われて魔法警察に雇われた男だ。暴れ者で言葉は悪いが、友情に熱く、憎めない男として署内では認識されている。


「乱暴な運転はやめてくれないか。徹夜の頭に響く」


 助手席で頭を押さえている白人の男はシルヴェステル・フェットバイス。彼は容姿端麗でエリート街道を走る凄腕魔法警察官として、女性警察官の間では人気者である。常に冷静な判断をする男だが、一旦怒らせると手が付けられず、彼の暴走を止める事が出来るのはギオンだけだ。


「うるせえぞ、てめーは徹夜にも耐えられない軟な体してるのか?」


「二日も寝ていない」


「俺だって一緒だ。バカたれ!」


 二人はとある凶悪犯罪の捜査をしていて、二日寝ずに資料集めをしていた。


「本当は今頃資料室で事件の捜査をしていたのに」


「ガタガタ文句言ってる場合かよ。犯罪は年中無休で起こる。俺達がどうやってもだ」


「重大事件を追っている最中で、俺達はギャングの抗争を止めにパトカーを走らせてるって訳か」


 不眠不休で働き、不機嫌そうなフェットヴァイスである。


「ギャングの抗争を放っておけば、住人達にも被害が及ぶ」


「さすが元ギャング。よくお分かりで」


「だからこうして、現場に駆けつけているのだろうが」


 元ギャングであるが故に危険性を感じたギオンが重大事件の捜査を中断して、フェットヴァイスと共にギャング抗争の仲介に入ろうとしているのだ。


「お前の個人的感情で、どれだけ損害を被ったのか……分かっているのか?」


「それでも毎回事件解決はしているだろ? 結果オーライって奴よ」


「そうじゃなくて、行き当たりバッタリと言え」


 フェットヴァイスは厳しい表情をしている。


「違う違う、俺の脳内では野生の直観が働いているのさ」


 そうこうしている内に、ギャングが抗争しているという三番街のスラムにパトカーを停車させ、二人は降りて現場に向かった。現場に行く途中で胸を撃たれたギャングの死体が無数に転がっているのを発見する二人だった。


「こいつは酷い有り様だぜ。随分と派手なパーティが行われたようだ」


「魔法拳銃で胸を撃ち抜かれているな」


 魔法拳銃とは、その名の通り拳銃から魔法の弾が発射される拳銃である。ルナリスは魔法国家と同時に優れた科学技術も持っているため、魔法と科学が融合した便利商品が世に出回っている。


「魔法拳銃か。あいつら闇の世界で仕入れたのか」


「殺傷力が高いからな。ギャングのお供に丁度いい」


「誰だお前達!」


 話をしていると、目の前にギャングが現れた。二人はパトカーの後ろに隠れて、ギャングが放つ魔法弾から身を守る。


「ベーオウルフか」


 ギャングのライダージャケットには大きな狼の絵が描かれてある、それが、ベーオウルフというギャング団の証である。


「どうする相棒、あいつら俺達の息の根を止める気満々だぜ」


「無論、やられたらやりかえすだけだ」


 フェットヴァイスはホルスターから魔法拳銃を取り出し、パトカーの陰から魔法拳銃だけ露出させ発砲した。すると、相手の攻撃が止み、二人がパトカーから身を出すと、ギャングの額に赤色の穴が開いていた。


「お見事。景品ゲットだ」


「これは遊びじゃない、行くぞ」


 二人はギャングの死体を乗り越えて、銃声が聞こえる奥へと向かった。






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