八. 決起
「こうして、目障りな妃の一派を宮中より掃き出して、奸臣どもはしたり顔でございます。
しかし、強欲な者たちは、これで終いとはなりません。
己の保身のために、今度は互いを牽制しあうのです。
一時は手を握りあっても、目的を達した後まで手を携えている必要はないのです。
鼎の中で蛇どもが互いの尾を喰いあっている間に、秩序は乱れ、飢饉は続き、一揆や打ち壊しが頻発しています。
その余波は、都にも暗い影を落としているのでした。
王は享楽に耽るまま、もはや政治に感心を示さなくなっていました。
憂国の同志たちは、辛抱強く仲間を募りながら機会を待っておりました。
郭将軍が味方に裏切られ非業の死を遂げたことが、火種の一つとなっていたのです。
対岸のにいた援軍は、河を渡ってくる兵士たちに、矢を射かけていました。
戦に敗れ、一縷の望みにすがる想いで、河までたどり着いた兵士たちは、流れを泳ぎきることができず、凍える水の中に沈んでいったのでございます。
月は満ち機は熟し、ついに同志たちは立ち上がりました。
民衆の支持を得た反乱軍は、破竹の勢いで門を破り、城内になだれ込むと、麗姫とその取り巻きたちを、一網打尽にしてしまいます。
新王の名のもと、公正な詮議の上に、その者たちは処罰されました。
麗姫は斬首となり、王は領地内の孤島に幽閉され、そこで生涯を閉じたのでございます。
時は流れながれて、再び春は巡ってまいります。
宮廷の梅は今もかわらず、たおやかな紅白の花を咲かせております。
今は昔の話にございます。」