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選択授業

作者: WAIai
掲載日:2026/06/21

選択授業というものがあり、国語や音楽など自分の好きなものを選べるのだった。


「何する?」


俺は彼女に聞きに行くと、彼女は紙を見せてくる。

そこには「国語」とか書かれていた。


「何で国語なんだ?」

「先生が好きだから」

「好きって…おい」


俺は嫉妬したが、国語の先生は50代くらいなので、ライバルにはなりそうもないかと、自分で自分を納得させる。


「あなたも嫌いなタイプじゃないでしょう?」

「まあな。明るい先生だし」


声が拡声器を使ったように大きく、ユニークなことを話す先生だった。

まるで子どもが大人になったような、そんな感じがするのだ。


「じゃあ俺も国語にするかな」

「うん。そうしよう」


俺は紙に国語と書くと、彼女と一緒に担任に提出しに行く。

担任は優しいといえばいいか、気が弱いといえばいいのが、そんなタイプだった。


「2人とも国語ね。分かりました」

「よろしくお願いします」 


2人で頭を下げると、教室に戻る前に、国語の先生の部屋へ向かう。


「おう、どうした、お前ら」


部屋には、先生しかいなかった。

放課後なので、部活を見に行ったのかもしれない。

先生が明るく出迎えてくれたので、俺も気楽に話しかける。


「先生、選択授業、国語にしたから」

「私もです」


彼女が小さく手を上げる。

先生は椅子ごとこちらを向くと、おいで、おいでと手招きしてくる。


何だろうと思っていると、1人ずつ飴を渡される。

イチゴ味で有名なものだった。


「内緒な」

「ありがとう、先生」

「先生、サンキュな」


互いに礼を言うと、口の中に飴を入れる。

優しくて甘いイチゴ味。 

先生の優しさがつまったような、そんな味だった。


「それで? 2人とも国語にしてくれたのか?」

「おう。先生なら面白いことをやりそうだし。な?」

「うん!! 先生の授業、面白いもの」

「そうか、そうか」


先生はにやりと笑うと、プリントを見せてくる。


「何これ? …平家物語?」

「これがどうかしたんですか?」

「選択授業で絵を描いたり、学園祭で朗読しようと思ってな」

「へえ」


2人で顔を見合わせると、先生がプリントを1枚ずつ手渡してくる。


「どんな絵を描きたいか、悩め。それから、毎日、声に出して読むこと。分かったか?」

「分かりました!!」


彼女は楽しそうにプリントを胸に抱える。

俺はといえば、微妙な表情だった。


「俺、絵は苦手なんだけど」

「いいんだよ、何でも。一生懸命描けば、自分のためになる」

「そうかよ。分かった」

「私は朗読のほうが気になるけど」


彼女が不安そうに言うと、先生は声を立てて笑う。


「大丈夫だ。今から度胸をつけないとな。親御さんにも見に来てもらえ」

「えー」


2人で声を合わせると、先生がくるりと椅子を机に向かわせる。


「じゃあそういうことで。楽しみにしとけ」

「はーい」

「分かりました」


俺と彼女は飴を食べ終えると、部屋を後にする。


不安はあるが、やってみる価値はありそうだと思う。


「頑張ろうか」

「おう。そうだな」


人気のない廊下を歩きながら、教室に向かったのだった。





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