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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

キミを見つめる鯉のぼり

作者: メグタニス
掲載日:2025/12/27


むかしむかし、小さな湖のほとりの村に毎年5月になると空に現れる鯉のぼりがありました。


その鯉のぼりは、誰があげたのかもわからず、誰も近づこうとはしませんでした。

というのもその鯉のぼりは、毎年、大きくなっているのです。


最初は、150cmほどの小さなものでした。

けれども年を経るにつれ、それが大人を優に越える大きさになり、家の屋根ほどになり、10年ほどすると遂には100mを越える大きさになりました。

 またその年も、風が吹き、空がざわつき、大きくなった鯉のぼりが現れました。




村の子が一人、行方不明になりました。家族が呼んでも返事はなく、家の前には、その子の描いた絵と、空を見上げるための椅子が置かれているだけでした。

その晩、空を見上げた者は、こう言いました。

「あれ…尾びれに、あの子の名前があるぞ…」

しかし翌日になるとそのことは誰も覚えてはいません。



鯉のぼりは、子どもたちの「夢」と「名前」を食べて大きくなっていたのです。

それからというもの、毎年、ひとり、またひとりと村の子どもが消えました。

夢も、名前も、なかったことになるのです。覚えているのは、風になびく巨大な鯉のぼりの、血走った目だけ。

村はやがて地図からも消え、今では誰も覚えていません。

けれども、あなたの町で、5月の空に異様に大きな鯉のぼりを見かけたら、どうか気をつけてください。

その鯉のぼりは、夢を喰う。名前を奪う。そして、忘れさせる。



――そしてあなたも、空に連れていかれるかもしれないのです。


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