第五話 其の十
第五話 其の九の続きです。
「さあ、もう大丈夫だね。」
「…うん」
「帰ろうか…。」
「うん。」
?。
帰る、ってどこへ…?
もしかして…
「戻らなきゃ…」
「私たちそれぞれの場所に…」
「それって…」
彩がまた何か言おうとした時、姉の姿が一瞬見えなくなった。
「◼️、私が__できる時間はもう___。何か伝えること_ある?」
「お姉ちゃん!」
次に姉が言った言葉はもう彩には聞こえなかった。
「______________…」
ノイズが走りだして今にも消えそうな姉に
彩はひとつだけ言った。
「…ありがとう…伝えてくれて…」
そう言った瞬間、姉が一瞬笑ったように見えた
そして、姉が完全に消えてしまった時
「頑張って」
と言う言葉が聞こえた気がした。
手元には姉がくれた手紙と錦色の紐が握りしめられている。
彩はそれを大切にポケットにしまって、
「さようなら、黄泉お姉ちゃん…。」
そう言って神社を後にした。
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あの日以降、私は元通りに生活をしている。
ショック性色盲症は、はっきりと色の判別ができるようにまで回復した。
塞ぎ込んでいた感情も表せるようになった。
私はあの日を忘れない。
大好きな黄泉姉さんに会えた、あの日を。
第五話「秋の彩と彼岸花の女」
完。
同シリーズ作品:「自虐者たちと屋上の少女:春(選別分冊版)」・「ホウロウシャのシシュウ」も配信中です。
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予告:「自虐者たちと屋上の少女:冬」
「第六話」 十二月三十一日 午前0時より随時公開予定。




