第五話 其の七
第五話 其の六の続きです。
階段を上り切ると、目の前に黒と白の柵で囲まれた小さな広場が見えた。
そしてその広場の中央には賽銭箱が置かれ、広場の屋根には鈴がついた白と灰色の紐がぶら下がっていた。
賽銭箱の横には白い彼岸花が添えられている。
奥の方には彩が住む街が見えた
彩はまず、一礼をして鈴を鳴らし、
お賽銭箱に五円を入れ、
二礼二拍手、合掌をし、
最後に一礼した。
彼女が願ったことは「______」
「…帰ろう」
彩が帰ろうとしたその時、
「待って、彩」
聞き覚えのある声がした
彩はここで初めて、驚いた顔をした
彼女が声の主の方向に振り向く
するとそこには
灰色の浴衣を纏い、手には白・◼️色の結び紐を持った
『アネ』がいた。
「その声、お姉ちゃん…?」
彩が問いかける。
「うん、私だよ」
彩は呆然とした。
『お姉ちゃんはあの時、亡くなったはずなのに…』
「どうして、こんなところに…?」
「…あなたがとても、寂しそうに見えたから。」
「アネ」は優しく答えた。
そう言われて、彩は昔どこかで、同じような光景を見た事を思い出した
色褪せて、今まで思い出せなかった記憶、
赤い彼岸花のなる山、この彼岸山にある神社のこの場所で
彼女とこのような会話をしたことを。
彩が五年生、姉が六年生の時である
合同修学旅行でこの彼岸山に来た時
彩はクラスの人たちと逸れてしまった
彩はこの神社を彷徨い、その中でこの高台を見つけた
その場所で一人寂しく仲間を待っていた時に
姉が同じような事を話した。
それが、懐かしくて
彩はあの時と同じ事を言った
「寂しくなんか…ないもん」
今まで変わらなかった彩の顔から涙が溢れる。
時々嗚咽し、彩はその場にうずくまった
「アネ」は彩を優しく抱きしめ、こう言った。
「姉さんはね、あの事件のこと、彩のせいだとは思ってないよ。」
「彩に「未来」を託したの。」
「未来…?」
「これ、受け取って。」
そう言って姉は一枚の紙切れを取り出した。




