第五話 其の三
第五話 其の二の続きです。
しかし、三年前。
ハロウィンの日に十歳だった彩が自身の姉・母と
デパートにお菓子を買いに行っていた時だった。
十月三十一日・午後七時九分。
デパートの一階の屋根裏に設置されていた管理機械から発火。
炎は瞬く間に一階に燃え広がり、彩と姉・一般人を取り囲むように広がった。
一部の一般人達が側にあった消火器を取り出した
日に向かって噴射し、退路を確保する。
姉は泣き震える彩を強く抱きしめた。
「自分の命を犠牲にしてでもいいから
どうかこの子の命だけは救ってください」
残された人々が懸命に消火活動を続けつつ避難する中、
姉は小走りをしつつそう願っていた。
その時である。
建物がミシミシと軋み出し、彩と姉がいる場所の近くの天井が崩れ落ちた。
激しい砂埃が舞う。
「__、彩!」
視界が開けると母は信じ難い光景を見た。
彼女達は瓦礫の下敷きになっていたのである。
「お母さーん!」
「くっ…」
「大丈夫⁉︎今助けるから!」
母は彼女のもとに駆け寄り、救出しようとしたが
瓦礫が重すぎて動かない
姉がこれでもかというほど力をかけ、彩が通れるほどの隙間を作った
「母さん、彩をお願い!」
姉は、やっとの思いで自分が抱えていた彩を瓦礫の外に出した
「待って、お姉ちゃん…お姉ちゃんも助けなきゃ…!」
彩が言う
「ダメよ、早く逃げないと!」
母は姉のもとに駆け寄る彩に叫んだ
「でも、お姉ちゃんが…!」
彩は瓦礫をどかそうとしたが、火はもう近くまで迫っていた
姉は母にこう言った。
「私のことはいいから、彩を連れて逃げて!」
「………っ…‼︎」
燃え盛る火が背後から迫る中、母は姉を助けようとする彩を強引に連れて外に避難した
「おねえちゃーん‼︎」
彩の叫び声が猛火の中に響き渡る…
「彩…ごめんね…。」
あたり一体が炎に包まれる中、姉は一人、涙をこぼした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(続く)
次回更新:十二月十八日 午前0時




