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第五話 其の二
第五話・其の一の続きです。
十月、
「染井 彩」はここ、アカミネ神社に参拝に来ていた。
手元には白い彼岸花と写真
彼岸花はもうすっかりしおれている。
写真には彩の家族が写っている。
その写真の中では彼女は笑っているが、今の彼女にはもう笑うことさえできない。
灰色の彼岸花の道を歩きながら、彼女はある場所に行った。
それは「墓地」。
そのうちの一つの墓に彩はしおれた彼岸花を添えた。
『おはよう、姉さん。もう三年も経ったよ。』
その言葉を心で発する彩の顔は無表情だった。
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彩が初めて姉と出会ったのは十年前のことである。
彩が五歳・彼女の姉が十歳の頃だった
彩の姉は彩に対して寛容な態度で接し、
彩の甘えごともしっかりと聞いた。
一方、守らなければいけないことがあればその度に
わかりやすく指導し、直した。
彩は勉強や絵画のことも姉に教えてもらった。
中学生になってからは一緒に絵を描くことも多くなった。
彩にとって姉は大切な存在であり、憧れだった。
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(続く)
次回更新:十二月十八日 午前0時




