第四話 焼売
私が小学六年生になった夏にもお母さんは太りました。ずっと太り続ける訳ではないのです。一か月位太って、急に痩せるのです。気に留めていなかったけれど、前からよくあったかもしれません。
中学生になると、給食はお弁当にかわりました。お母さんは早朝からのトラック運転の仕事に転職し、自分用にもお弁当を作るので、私のお弁当作りは手間じゃないという事で一安心しました。少しでもお母さんに負担をかけたく無かったので良かったです。もう四十三才だというのに彼氏と結婚しないのは私の事を気遣っての事でしょうか。私には遠慮しないで欲しいものです。
お弁当と言えば、変な事がありました。皆でお弁当を食べている時、友達との会話についてです。
小学校から親友の愛が、私のお弁当に入っていた焼売をねだりました。私は、「じゃあ愛の焼売と交換ね」と提案しました。二人のお弁当にはそれぞれ焼売が入っていたのです。
愛は私があげた焼売を頬張ると首をかしげました。なんと、これは焼売の味では無いと言うのです。愛が言うには絶対に何かが違うけど、それはなんだか分からないと。私は愛の焼売を食べたけど、うちの焼売より少し甘い気がしました。単にうちのお母さんが作った焼売と、愛のお母さんが作った焼売の味付けの問題なだけな気がします。
昼食を食べ終えると、担任の先生が私を呼び出しました。なんとお母さんが事故に遭ったと言うのです。頭を強く打ち、病院に運ばれたとの事でした。トラックの運転手になるというのは事故の危険が高まるとわかっていましたが、まさにこんなに早く、実際に起こるなんて思いもしませんでした。私は急いで病院に向かいました。
そこは大きな病院でした。総合病院というやつです。着くとすぐ私は診察室に呼ばれました。