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人魚鉢

作者: 裸形炉

提灯が並び屋台が引き締めう。年に一度のお祭りだ。片田舎の小さな町が活気づく。下駄の音を鳴らしながら浴衣姿の少年頭には人魚のお面をつけている。可愛くはない先ほど買った焼きそばをすすり食べ終わろうとしている屋台をキョロキョロ「お兄さん寄っていかないかな?」真横から声がする。見下ろすとフードを被ったおばあちゃんが小さな露店を開いている。しゃがみ込むお面の少年「何のお店?」覗き込むと大きな瓶がおばあちゃんの前にあり「お兄さんついてるね。世にも不思議な人魚釣りさ!」人魚?金魚じゃなくてと首を傾げる。怪しいな「お小遣いも限られてるから(人差し指をあげるおばあちゃん)「一回百円だよ」にこやかな笑顔に「分かったよ」と百円を渡す。瓶の底は見えない「手を入れてごらん”もし君の感覚に合うなら選ばれるから”」瓶に恐る恐る手を入れるあれ?何も感じない温かいとか冷たいじゃなくて水に手を入れている感覚がないその時「うわっ?」咄嗟に手を瓶から引き抜くと「舐められた?!」指に触れた感触はそんな感じだった。「大当たり」とおばあちゃんの声はしたが姿は消えていた。何だったんだと立ち上がろうとした瞬間浴衣の中を這い回る何か「虫!?」払い落とそうとする。落ちてきたのは虫ではなく「眼鏡?眼鏡?」眼鏡を探している小さな女の子いや………下半身が魚だった。「ありました。良かった!」ほっとする眼鏡人魚眼鏡をかけると少年を見て後ずさり「イヤーなの?何なの?あれ皆は泳いでたら変なモノが見えて……食べないで!」少年も恐る恐る「食べる?君を?」一瞬の沈黙の後「ギョジンじゃないんですね。よかった」ほっと胸を撫でる「ギョジンってのはよく分かんないけど君は人魚なの」ぷかりと浮き少年の目の前に「私は人魚です」驚く少年人魚が空中に浮いている。人魚って飛べるのというと泳いでるだけですよとカルチャーショック知っている人魚のイメージとはかけ離れている。悲鳴聞こえる沿道で何やら騒ぎが起きている。眼鏡人魚を髪の中へ隠し沿道へ………「匂う匂うぜ…………餌の匂いだ」家族連れであろう父親が涎を垂れ流している。母娘は豹変した父親をぼう然と眺める「たまらんたまらん?!これ程心地いい瞬間はないよ」鼻から息を吸う「薫芳香!、!、!、!!(まっすぐ指先をお面の少年へ)持ってるな何故食べない?要らないなんてことは無い!そんな事はどうでもいい!!!其奴をよこせ!!!」父親の体が数倍膨れ上がり口が大きく割けていく皮膚からは鱗が生える。相手の変化に見惚れていると大きな腕が目の前に光を発したのは眼鏡人魚だった。父親の指先が無い!「逃げて下さい………は無理ですね。お願いがあります。私を食べて下さい………」自然と手が伸びる何で引っ込められない「大丈夫、それが性なんです。”人は人魚を食べたい”本能の奥底に眠る欲求なんです」掴んだかに見えた手は地面に「冗談じゃない泣いてる女の子をいただきますなんてクズのやる事(ギョジン親父を見据え)守ってやるってのがかっこいいじゃん!」と啖呵を切る「フッハハハヒヒヒごめんお腹痛い」木の枝から笑い声そこにいたのはおばあちゃん?!声が若い「確かにそっちがかっこいいわね。少年(少年に向かいペンダントを投げる其れをキャッチ)大当たりのオマケさ、其奴は”人魚鉢”っていうもの食べなくてもその鉢の中に彼女が入れば君たちは一体化する」二人は頷く眼鏡人魚が人魚鉢に入るとおお面の男の子の髪が伸び眼鏡人魚の髪の色水色へ変化彼女がかけていた眼鏡?も現れる中性的な体へ変化する。親父の攻撃を躱し腹へ掌底光が差し込み浄化される親父の体から湯気が人魚の形へ”ホントにありがとう”会釈をして消えていく。木の枝を見たがおばあちゃんはいなくなっていた。「これでちぎり………ですね」真っ赤な眼鏡人魚にホントに大当たりなのかなと不安になる少年。

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