第72話 岩戸開きの妨害工作について聞いてみた
著者がこのニュースを知ったのは、二〇二四年一〇月二九日の夕方だった。
スピリチュアル情報で「次元上昇が妨害されている」というニュースが流れていたのだ。
だが、地球の次元上昇はすでに六月二六日には終えているはずだ。今は五次元に上昇した地球に合わせて、これまで三次元だった世の中を作り変える準備が進められている。ただし五次元になっても物理法則が変わるわけじゃない。目に見えるものや物質は三次元のままだ。
だから、この場合の五次元とは、人間の思考空間と考えればいいだろう。人の思考は本来は五次元である。ところが、これまでは三次元という枷を掛けられて、ほとんどの人は直感という形でしか五次元を感じられなくなっていた。
それどころか世の中は蟹の横歩き。真実は目の前にあるのに、俗に『勝者のルール』という支配者にとって都合の良い『常識』や『学習』──要するに洗脳によって物事を平面思考でしか考えられないようにさせられてきた。それでも、いつの時代も洗脳が解けて、何万という人たちが立体思考して社会的に成功している。でも、その多くは一時の夢。多くは成功したために『勝者のルール』にある裏の真実に触れることとなり、悪に染まらなければ命を奪われたり、社会的な地位から落とされたりされる悪意にさらされてきた。
それが情報化社会が進んだことで、今、多くの人たちが二つのグループに分断されつつある。一つは視野が広がり、『勝者のルール』という悪意に気づき始めているグループ。もう一つは氾濫する情報で思考停止し、これまで以上に『常識』に溺れて視野を狭くしていくグループだ。ここには『勝者のルール』という悪意には気づいても『常識』の方を盲信して、気づいたことを陰謀論や都市伝説扱いにして目を瞑っている人たちも含まれる。
しかし、この分断も地球が三次元に閉じ込められていたからこその平面思考の結果だ。これから多くの人たちが五次元の思考に慣れて視野が広がり、これまで「騙されてた」と知ることになる時代が近づいてきているのだが、それは別の話。
今回は、そのための変化を妨害されたという話の真偽だ。
「守護神様。この次元上昇が妨害されたという話ですが……」
『ああ、それは事実誤認というか、言葉の齟齬だ』
「…………え?」
『きみも知ってる通り、次元上昇そのものは今年の六月には終えている。いやぁ〜、きみがダウジングを始めた頃は次元上昇が具体的に何を意味してるのかがわからなかったが、今は間違いがわかるまで理解が深まってきたな』
「ほとんどの人たちは言葉を正確には使わず、雰囲気だけで使ってますからね。中でもオカルトやスピリチュアル系の言葉となると、ちゃんとした定義もなくいい加減に使われてますから、意味が混乱してるんですよねぇ。おかげで、昔の私のように分野によっては忌避する人もいますし、それを良いことに勝手な言いまわしで金儲けする詐欺師も多いですし……」
それ以上にオカルト界隈のエセスピリチュアリストたちは、科学用語まで同じノリで使ってくれるから洒落にならない。その言葉のズレや誤りを一つ一つ解き明かして、今はようやくその裏にある真実の尻尾が垣間見えてきたと感じている。
『それでだ。その妨害されたというのは、次元上昇ではなく岩戸開きだ』
「…………え?」
『……「え?」って、どうした?』
思いがけない答えが返ってきて、思考が止まってしまった。私が想定してたのは……。
「次元上昇が妨害されているという話は、二〇二四年に日本経済がデフォルトするとか、東京直下でM8クラスの地震が起こるとか、南海トラフ地震で一〇万人以上が死ぬとか、不法移民たちが一つの街を丸々武装占拠するとか、日本の地盤が沈んで多くの都市が水没するとか、第三次世界大戦が始まって横浜に核ミサイルが撃ち込まれるとか、さんざんデタラメな予言を吐きまくったスピリチュアリストが、まだ起きてない言い訳で吹聴したものとばかり……」
『おいおい。それはいくら何でも気が早いだろ。今年はまだ二か月。いや、神の世界は旧暦だから、まだ三か月も残ってるじゃないか。それなのに言い訳を始めるって、とんだ小心者じゃないか』
「まあ、言われてみると、予言をはずした言い訳するのは少数派ですね。ほとんどの人は言いっ放しで、いつの間にか予言の日を来年(二〇二五年)の七月ってことにしてますし……」
ホント、いい加減だよね。富士山の噴火とか、南海トラフ地震とか、第三次世界大戦とか、日中戦争とか、巨大隕石の落下とか……。
『そんなの夜明け前になると増える霊かかりの有象無象だろうが』
日月神示の星座之巻 第一八帖にある、「夜明け前になると霊がかりがウヨウヨ。勝手放題に混ぜくり返すなれど、それもしばらくの狂言」だ。
もっとも、世の中には本当にハズレた理由が明確にわかる予言がある。
日月神示の松の巻 第一五帖にある「宵の明星が東へ廻っていたら、いよいよだぞ」という予言だ。これは一九四五年七月四日に出され、昨年(二〇二三年)五月一〇日にガンマ線バーストが観測されるという予言だった。天界から天文現象を予言したもののため高い精度で起こるはずだったが、地球からは肉眼では観測できなかった。
そのガンマ線バーストは後日、地球から約三五〇天文単位──光の速さで二日離れたところを通過してたことが、天体観測の記録を調べてるうちに見つかった。このできごとについては、ババ・ヴァンガが「二〇二三年に地球の軌道が変化する」という関連する予言を残している。これを太陽を回る地球の公転軌道の意味としたら、何も起きてないハズレ予言だ。だが、天の川銀河を回る太陽の公転軌道の意味だったら、みごとに言い当てていたとは思えないだろうか。ただし天の川銀河を回る太陽系の軌道が、日月神示の予言から七八年の間にズレたのか、ババ・ヴァンガの予言通りにガンマ線バーストが来る直前にズレたのかまではわからない。
ただ二〇一八年以降、世界各地のシャーマンたちが星の配置がズレたと言ってるらしいので、その頃から軌道がズレ始めたのかもしれない。
「それはそうと、岩戸開きが妨害されてたんですか?」
『そういえば今回は、その話だったな』
前置きはここまでにして、ここからが本題だ。
『今は第二の岩戸を通り抜けようとしてるところだが、いきなり四五%まで押し戻されてたぞ』
「半月前には六七%まで進んでたのに……ですか?」
二割以上とは、とんでもない後戻りだ。
『それと開き切っていた第一の岩戸も、三%ほど閉じられている。これが発覚したのは一〇月の二五日だ』
「第二次世界大戦後の再来ですか?」
『あの時は予定通りに岩戸は開いたのに、わずか二か月後には閉じてやり直しだからなあ。それが繰り返されるとは思えないのだが……』
「その妨害に日米の選挙は関係してますかね?」
奇しくも妨害の起こされた時期は、日米で国のリーダーを決める選挙戦と重なっていた。そして、そのどちらでも不正選挙が疑われる事態が起きている。
『その影響は確認できてない』
「じゃあ、天界から神様が降りてきた地球浄化作戦が、急に取りやめになった影響ですかね?」
これは第六七話で伝えた、先行部隊が降りてきて地球を浄化し始めたという話だ。
それが八月二五日に突然中止となり、そのままフジの御用を終えてナルトの仕組みを始めることになった。今はナルトが始まる前の空白の期間だ。
この空白の期間に日本では首相の交代劇が起こり、アメリカでは大統領選が行われることになってしまった。
『そこは確認できないな。そもそも浄化作戦の成否は天界でも下されてないし、降りてくる予定だった実行部隊本隊の降臨情報も音沙汰がなくなってる』
そういえば、本隊が来ないまま浄化作戦が終わってしまった。
日本人がいつまでも目覚めないから、浄化する価値がないと思われたのだろうか。
アメリカでは市民や公務員たちが目を光らせて、今回の大統領選では不正投票や集計を許さないという姿勢が目立った。不正に手を染めようとした人を逮捕して、前回のバイデンジャンプのような不可解な現象は起こらなかった。
だが、日月神示では「日本人が目覚めないと世界が目覚めない」と注意している。それなのに日本の選挙を見れば、日本人がまだ目覚めてないことが明らかだ。半数近い市民が投票を棄権。投票所の役人たちは、市民になりすました外国人の投票を黙認。幹部の役人たちはその投票を有効としておきながら、開票し忘れた投票箱の中身は無効扱いするという無責任な判断。いったい日本人は、いつになったら目覚めることになるのか……。
『とはいえ時期が時期だ。ナルトが始まる前の空白を狙ってきた、何らかの裏工作であるのは否定できない』
「ナルトを起こさせないため……ですかね?」
『いや、すでに器としての地球や太陽系の建て替え──フジの仕組みは終わっている。だから、建て替えられた環境に世の中を合わせて落ち着かせるナルトを止めることはできない。このナルトの渦は始まってしまえば、神々には結末を迎えるまで手は出せないものだ。大ざっぱな見当はつくので魂に刻印を付けて仕分けはしてあるが、渦に呑まれたすべての人やモノの個別の運命までは予測がつかない。人やモノよっては思わぬ結果に終わる恐れはある』
「大ざっぱとは、どのようなイメージですかね?」
『そうだな。坂道でボールを転がす様子をイメージしてみろ。舗装されたまっすぐな坂道なら、真ん中のボールはそのまま真ん中に、端っこのボールはそのまま端を真下に向かって転がり落ちていくものだろ?』
「何もなければ、ただ真下に向かいますからね」
『今の魂は、刻印で仕分けられた未来へ向かうように並べられ、ナルト──この場合はボールが箱に入った状態で、転がるのを待ってる状態だと思ってくれ。ところが、その坂道にはたくさんの小石が転がっている。これがナルトの渦だ。小石に当たったボールは、弾かれてどこへ向かうかわからない。神々の浄化作戦は、その小石拾いみたいなものだ。反対に悪神たちは妨害工作で、坂道に多くの小石をバラ撒いてくれた。もしかしたら自分たちに有利な結果を招くように、小石を並べてるかもしれない。それが今の状況だ』
「それ、かなりマズイ状況ではありませんか?」
『それはどうだろうなあ。多少の妨害はあっても石ころ程度のものなら、多くの魂は転がり落ちるボールのように予定されてた世界線へ向かうと信じてるが……。さすがに一つ一つの魂となると、結果は出るまでわからんとしか言いようがない』
小石に弾かれたり、向きを変えた他のボールに当たったりして、坂道の外へ飛び出す場合も考えられる。
「その言い方だと、石っころ以上だったらどうなるんですかね?」
『たしかに何か仕掛けてきてるみたいだな。妨害工作は二五日から二八日にかけての一回だけじゃない。一一月に入ってからも、二日、五日、八日と三度の妨害工作を仕掛けてきた。きみの世界線……というか、正しくは俺の見ている世界線では、第二の岩戸通過が三四%まで押し戻された以外には、その後の妨害で第一の岩戸が更に閉じられるような被害は出てない。だが、他の世界線では第一の岩戸にも被害は出てるようだから、いったい何を狙っているのやら……』
「被害は岩戸だけですか?」
『五日までの妨害はそうだったが、八日の時は十体以上もの悪神クラスの悪霊が地上へ降りていくのが確認されたそうだ。向かった先は東京の都心。ある野党議員と接触したようだが、詳しいことはわからん。他に国会議事堂へ二体、財務省の建物へ三体、警察庁の本庁舎へ四体もの悪霊が入っていったところまでは確認できたそうだが、行方を見失った悪霊も多い』
「日月神示にある『日本の人民良くならねば、世界の人民良くならんぞ。日本の上の人良くならねば日本人良くならんぞ』をさせまいとしてるんでしょうかね?」
『その可能性は大きいな。なんせ世界が終わるか立ち直るかは、すべて日本人が目覚めるかどうかにかかってるからな』
残念ながら一〇月二七日の国政選挙では、まだ日本人は目覚めてないと確認できてしまった。
繰り返すが不正を見逃した役人も、棄権して組織票を許した半数の国民も、まったく目覚めてない側の人たちだったわけだ。中には、
「もしかして過去にも地上へ降りた悪霊はいたんでしょうかね?」
そういう悪霊に取り憑かれて、好ましくない組織票に手を染めた人もいるかもしれない。
『そこは知りようがないなあ。さすがに悪神クラスの悪霊なら見逃すことはないと思うが、弱い悪霊となると地上へ降りていく大勢のワンダラーの魂に紛れて、天界の神々でも監視の目が届いてないと思うぞ』
「ワンダラーですか。日本へは減ってるのものの、世界的には増えてますもんね」
ワンダラーについての詳しいことは、第八話を読み返してもらいたい。
「ところで守護神様。八日以降の妨害は確認されてますか?」
『それは幸い起きてない』
「悪神の地上への降下も……ですか?」
『それも確認されてないから、あとはナルトの結果待ちかもしれん』
「ナルトですか。それまでに第二の岩戸通過の遅れを、どこまで取り戻せるか……ですね」
『一一月一五日の朝の時点で三五%だ』
まったく厄介なことをしてくれたものである。
「そのナルトについては、次回、触れることにしましょうか」
『そうだな。そういうことにしようか』
ということで、今回は悪神たちが岩戸開きを妨害してきたという事実?を伝えただけで終わりにする。




