第43話 リラ人とプレアデス人について聞いてみた
「守護神様。地球の神様がプレアデス人系といいますけど、リラ人とも呼ばれてますよね。これは単純に呼び方が違うだけの問題でしょうか?」
これまで著者は、この件をあまり気にしてこなかった。
まず地球への入植者はプレアデス人系の人たちである。だから神様もプレアデス人系というわけだ。
そして多くの入植者は、こと座のヴェガ星を経由してやってきたとも言われている。このヴェガ星とこと座の呼び方は、ラテン語ではどちらもリラだ。そのため現在は星の方をアラビア語から借用してヴェガと呼び分けているが、そういう事情から別名でリラ人と呼ぶのだろうとも思っていた。
ちなみに、かつて日本や東南アジアでは西洋人は南からやってきたので南蛮人と呼んでいた。それと同じようなものだと考えてたわけだ。ところが、
『いや、一応は両者の間にはハッキリした違いがあるぞ』
物事は、そう単純ではなかった。
「まったく別物なんですか?」
『いや、そういうわけでもない。基本的に「魂のレベルでは同じ」ということになってる』
「……になってる?」
急に振り子の動きが怪しくなった。妙に乱れまくっている。
『実を言うと、俺もはっきりした違いがあるなんて、最近まで知らなかったんだ』
「あ、やっぱり……」
『それで、これまで教えてきたプレアデス人の歴史に大きな間違いが見つかったが、それ以外は気にしなくて良いようだぞ』
「となると、そのあたりの記事は訂正しないといけないですね」
ということで、今回は地球の神様であるプレアデス人と、同じ意味で使われるリラ人に関する話題である。
「まず、プレアデス人が宇宙に広がっていった時期ですが、これは約四五〇万年前という部分に間違いはありませんか?」
『その歴史に間違いはないぞ。ただし、その表現に大きな齟齬があったんだ』
「表現に?」
『そうだ。これが「リラ人が」の話になると、宇宙へ広がり始めたのは今から一千万年近く前に変わるんだ』
「え? プレアデス人とリラ人は、同じではないんですか?」
『プレアデス人が生まれたのは、宇宙に広がり始めた四五〇万年前だ。以降であればプレアデス人とリラ人を同じに扱っても大きな間違いはない。ところが、それ以前はリラ人しかいないんだ。その事実を知らないでいると、話が混乱することになる』
「ということは、リラ人が宇宙へ進出し始めたのは?」
『今から一千万年近く前だ。おうし座にあるリラ星で生まれた宇宙文明が、プレアデス星団とヒアデス星団へ向かって移民を始めたのは、この時の話だ』
「ここをプレアデス人のものとして伝える人が多いので、話にいくつか矛盾が出てくるんですね」
『この時のリラ人は、宇宙開拓時代だ。母星でうまく行かなかった人たちが、故郷を捨てて命がけで新天地を求めるケースが多い。行く先々で居住可能な惑星を探し、ダメなら次の恒星系へ向かう当てのない旅だ』
「よくある移民のイメージですね」
『このやり方で数十万年後には、ケンタウルス座まで移り住んだリラ人が出てきている。のちに地球へ移り住み、現在のアボリジニの祖になるバカラティーニ星人だ』
「ここが大きな矛盾だったんですよね。プレアデス人が宇宙へ進出したのが四五〇万年前なのに、バカラティーニ星に最初のプレアデス人が入植したのが九〇〇万年前と言いますから……」
『それこそがプレアデス人とリラ人の混同だ。そしてリラ人の勢力の広げ方は母星との関係を断ち切って出ていったものだ。当然、他の入植者たちとの関係も希薄なため、その頃のリラ人は入植した惑星によって、まったく異なる文明を築いている』
「それでも近くに移民した星が密集していたら、互いの交流は増えませんかね?」
『そうなるには、移民が次の段階に進まなくてはならん』
「次の段階?」
『移民が始まった頃、最初に新天地へ出ていくのは、ある程度の実力を持ちながらも、恵まれた地位を得られずに不満を持ってる人たちだ。恵まれた地位を得た人たちは、その立場を捨てる必要はないからな』
「移民に限らず、生き物の進化でも見られるパターンですね。その時代に成功した強者はそのまま君臨し続け、弱者は立場を変えるために変わる道を探る……」
『だが、新天地の情報がある程度集まってくると、いよいよ裕福層が動き始めるんだ。しかも彼らは資金力や技術力に物を言わせて動き始めるから、これによって新しい段階に移るんだ』
「宇宙への移民の場合は、何が変わってくるんですか?」
『入植しようとする惑星に合わせた、遺伝子操作や大規模なテラフォーミングだ』
「……ん? それまでのリラ人は、遺伝子操作やテラフォーミングはしてなかったんですか?」
『やる以前に「できない」だ。考えてもみろ。新天地での成功を夢見て移民しようとしてるのは、技術力はあっても今の社会環境では成功できずに資金力に難のある人たちだ。しかも、これから行く惑星の環境もわかってないんだぞ。何が必要になるかわからないから、無難な装備しか持っていけないじゃないか』
「持っていける量にも限界がありますもんね。それを何百万年も……」
『まあ、たしかに期間としては長いが、移民する者たちにとっては人工冬眠で一瞬の旅だ。必要な時に起こされて航路を決めたり、惑星が入植可能かを調査するのは宇宙船の船長や主要クルーの仕事。乗客である移民たちは入植可能な惑星が見つかるまでずっと寝てるだけの旅だ。起こされたら、ここで下船するかどうかを決めるだけ。下船しないなら、また人工冬眠に戻って次に起こされるのを待つだけだ。たとえそれが何十万年の旅になったとしてもな』
「それまで機械が保ちますかね?」
『保つよ。今の地球で作られてる機械は工作精度が甘いために、部品に余計な負荷がかかって壊れやすい。それに負荷のかからない部品も、わざわざ壊れるように作られてる。そうしないとメーカーが儲からないからな。だが、最低限の工作精度と、酸化や紫外線劣化などの起こらない環境であれば、数十万年単位で動き続ける機械を作ることは十分可能だぞ』
「そうなんですか?」
実際にあった話として技術者時代の著者は、経営コンサルタント会社から「保証期間が終わったら、ただちに壊れるように機械を作れ」「制御プログラムにも、時間が来たら使えなくする仕掛けを入れろ」と言われた経験がある。その影響もあるのか、日本ではバブル景気が崩壊したあとの一九九〇年代、世の中には無駄に高性能を謳っておきながら耐久性のないチャチな製品が出まわるようになった。八〇年代の製品は三〇年以上経った今でも動くけど、九〇年代に作られた製品は七〜八年で壊れて買い換えられ、一つも残ってない家庭も多いのではないだろうか。その時の記憶で、どうせすぐ壊れるなら安い海外製でいいやとなったのがリーマンショックの頃だろう。
こういうわざと壊れる仕掛けは、都市伝説によるとエジソンが始めたそうだ。壊れる仕掛けが入る前の電球は、作られてから一二〇年以上経った今でも毎日のように光っているのは事実だ。
このような経験を考えると、数十万年単位で動く機械というのは、宇宙空間や酸素のない環境であれば不可能ではないかもしれない。
『──で、話を戻すぞ。リラ人は宇宙へ広がり、入植する恒星系や惑星を増やしていった。そのうち近くにある惑星文明との間で交易が始まる。初めの頃は長時間の宇宙飛行で大変だろう。やがて中継基地の必要から、国家や資金力のある大企業が交通の要衝になる場所に宇宙港を築くようになる。宇宙港は出入りする宇宙船のメンテナンスや、物資の補給が目的だ』
「その中継用の宇宙港は、どういう場所に作られるんですか?」
『そりゃあ、通り道の近くにある恒星系だ。恒星が目印になるからな。そこに居住可能な惑星がなくても巨大な宇宙ステーションを浮かべておけば、宇宙交通にとって大きな助けになる』
「宇宙港で使われる物資は、近くの惑星から調達してるんでしょうか? わざわざ他の星系から持ち込んだら、大変な負担になると思うのですが……」
『そこは宇宙文明の発達次第だ。船の歴史でたとえるなら、現在のロケット推進は丸太船のようなものだな。これでは地球の裏側どころか、陸地から離れて何百kmも離れた沖へ行くのも事実上不可能だ』
「そんな時代の南米にある地層から、縄文式土器が出てきたって話がありますね。理屈では日本から陸伝いに行ける可能性はあるけど、事実上有り得ない距離ですけど……」
『これが帆船時代になれば、遠洋航海技術の発展とともに、日保ちのするものなら大量に運べるようになる。宇宙技術でも星間飛行へ乗り出せる技術が確立した頃だな』
「海外に港や植民地が作られていく時代ですね」
たしか大航海時代が始まった頃は、地球の裏側まで一年近くかかっていた。だが、帆船時代の最後の方では季節ごとの海流や風向きなどの知識の蓄積も手伝って、地球半周を三か月ほどで動けるようになっていた。
『で、この先の技術が出てくると、リラ人が徐々にプレアデス人へ変わっていくんだ。船の歴史なら、帆船が動力船に置き換わっていく時代だな。現在の船舶輸送を考えてみろ。今となれば冷凍冷蔵技術まであるおかげで、地球の裏側から生鮮品でも安く運ばれてくるだろ』
「宇宙の技術でも、似たような感じですか?」
『だいたい似たようなものだ。現在の「地球の裏側へ物を運ぶ」に近い感覚で三〇光年飛べるようになるあたりから、宇宙での移動が活発になっていく』
「三〇光年? それを現在と同じ感覚ってことは、半月から一か月ぐらいで……ですか?」
『だいたい半月だ。地球では一〇万年前にあった超々古代文明が、そのぐらいの科学技術を持ってたぞ。この文明は火山の破局噴火で滅びたが、その二つあとの超古代文明では同じ感覚で一〇光年を飛べるぐらいまでには発展したようだぞ』
「まさかホピ族の神話にある、第一と第三の世界ですか?」
この確認には、守護神様は答えてくれなかった。
『三〇光年というのは、そのぐらいの距離があれば一つは居住可能な惑星が見つかる目安だ』
「半径三〇光年もあれば、その中に何百という恒星系がありますもんね」
『そうなると居住可能な惑星伝いに、更に遠くへ行けるようになるんだ』
「だから宇宙での移動が活発になるんですね」
『そして、現在の「地球の裏側へ物を運ぶ」に近い感覚で八〇光年飛べるようになると、このあたりから急速に次の段階へ進んでいくぞ』
「一気に宇宙へ広がっていくんですね」
『違う。この頃になるとテラフォーミングや遺伝子操作のノウハウが蓄積されて、その技術を持った大企業グループとそのオーナーである大資本家が、自分たちの独立した国家を築こうと動き始めるんだ』
「自分だけの王国づくりですか。いよいよ多くの惑星を居住可能な環境に変えるテラフォーミングが始まるんですね」
『そんなものは始まらんぞ。SFの読みすぎだ』
「始まらないんですか?」
『住みやすくする程度のテラフォーミングならあるが、住めない惑星を住めるように大改造するテラフォーミングは、むしろこの段階になるとやらなくなるんだ』
「やらない……じゃなくて、やらなくなるんですか?」
『たくさんの資源と時間を使ってまで改造することに価値を感じなくなるんだ。それに大改造するテラフォーミングは、その惑星に生き物が棲んでいたら大量殺戮だ。だから倫理的にやらなくなるんだ』
「それまでは生き物のいる惑星でもやってたんですか?」
『もちろん倫理的にやらない者の方が多い。だが、前の段階までは周りの目が届かなかったから、倫理観の欠ける者にとっては、やった者勝ちだったんだ』
「地球で起きた大量絶滅の中にも、宇宙人の入植によるものがあったりして……」
『入植とは違うが、恐竜の絶滅が宇宙人によるものだな。見世物にするために乱獲されて、狩り尽くしたら証拠隠滅のために隕石の置き土産だ。それは思惑通りすぐには落ちなかったが、少しずつ地球に近づいて二五万年ほど後に地上へドカンだ』
「…………は? なんか、すごいこと言いませんでした?」
二五万年後って、最後に見つかった恐竜化石から隕石落下までのタイムラグ──三〇万年の謎を言ってないかな?
『それに考えてもみろ。大規模なテラフォーミングには多くの資源が使われるし時間もかかる。それなら入植する方が惑星に遺伝子を合わせた方が手間がかからないだろ。それに、あとから来て横取りしようとする愚か者が、現れにくいという利点もある』
「えっと……、恐竜のぉ……」
話が先へ進んでしまった。気になるけど、ここは仕方ない。
『その遺伝子操作というのは、ペンギンと掛け合わせて寒さに強くなるとか、イルカやアザラシと掛け合わせて海でも暮らせるようになるとか、そういうものですか?」
『それもSFの見すぎだ。十分な技術力があるのに、そこまで遺伝子操作する必要性があると思うか?』
「ない……ですか? ということはケモミミも……」
『やる意味がない。環境に合わせる。ただ、それだけだ』
遺伝子操作のイメージも、ちょっと極端すぎたようだ。
『まず、大本であるリラ人にとっての理想的な環境は、重力は地球の〇・七倍、大気圧は一・七気圧、酸素分圧は〇・二五気圧、一年の平均温度は二六度だ。その意味で今の地球は空気が薄くて涼しい高原のようなところだ』
「地球暮らしは大変なんでしょうかね? でも、遺伝子操作なんかしたら、その人たちは故郷に帰れなくなるんじゃ?」
『アホか! 日本人の多くとアボリジニは、リラ人の子孫そのものだ。生き物には適応力があることを忘れるんじゃない』
「あ〜、はい。そうでしたね。……って、日本人はリラ人なんですか?」
『そうだ。日本の古い神もリラ人系だ。だからスピリチュアル系では特別扱いされている』
「それは時々聞きますけど、何が違うんですかね?」
『それは遺伝子操作の問題だ。それを語る前に、プレアデス人について話しておくぞ』
「はい。お願いします」
『遺伝子操作の始まった四五〇万年前が、まさにプレアデス人が宇宙へ広がり始めた頃だ』
「それまではリラ人として、宇宙に広まってたんでしたね」
『そのリラ人だが、肌の色は黄色と黒の二つしかない。今の地球でいうと、日本人に似た黄色人種と、アボリジニに似た褐色人種がそれに当たる』
「アフリカの黒人は?」
『それはプレアデス系だ。この遺伝子操作によって二色しかなかった肌の色が一〇色以上に増えるんだ』
「そんなに増えますか? 寒い惑星で白人が生まれたとか?」
『白人の場合は寒さよりも、紫外線の弱い惑星だな。他にも酸素が濃い惑星で青い肌の人が生まれ、反対に薄い惑星では赤い肌の人が生まれてる』
「酸素の濃い惑星で青い肌? ……ああ、チアノーゼ血症ですか。周りの酸素が濃いから、体内を酸欠にしておくために……」
ということは酸欠で紫色になる人もいるから、紫色の肌の人も出てきそうだ。反対に酸欠の環境だったら、体内の血を増やして赤い肌に……。
『そうやって生まれたプレアデス人は、ここから爆発的に勢力を広げていって、天の川銀河のオリオン腕における一大勢力へと成長していくんだ』
「それが宇宙人論やスピリチュアル情報にあるプレアデス人になるわけですか」
『その通りだ。以降はリラ人を含めてプレアデス人と呼んでいるのだが、場合によっては今でもリラ人とプレアデス人を呼び分けた方が良いケースが出てきている』
「無視できない違いがあるんですか?」
『ある。遺伝子操作されたDNAを持つかどうかだ』
「遺伝子操作に問題があったんですか?」
『プレアデス人は遺伝子操作によってDNAの極性バランスが少し崩れて、わずかだが魂の調和を乱してると知られるようになったんだ』
「それで何か問題が生じてるんですか?」
『わからん』
「……は?」
『俺も知ったばかりだから、まだ十分な情報を得てないんだ。魂の上では最初に語った通り、プレアデス人もリラ人も基本的には何も変わりない。同じだ。その魂の入る肉体が、遺伝子操作された影響を持つかどうかという違いだけだ』
「肉体が遺伝子操作された影響って、何か見られるんですか?」
『それは見られるぞ。元々のリラ人は自然や環境を受け入れて調和を求める傾向がある。だけど、遺伝子を操作したり、大規模なテラフォーミングを経験したプレアデス人は、どこか自然や環境を支配しようとする傾向が見られるんだ。地球人の中でもリラ人の多い日本人は自然との調和を求め、プレアデス人の子孫である欧米人はすべてを支配しようとする傾向があるだろ。けっこう大きな性格の違いが生まれてるんだ』
「それは肉体の影響ですか? 欧米人の場合は邪鬼に乗っ取られた宗教の影響では?」
『いや、天界の神の間でも性格の違いが見られるのだから、長い年月の間に魂にも影響が染みついたのかもしれん。だからこそ、最後の最後で調和を取り戻すためにリラ系を特別視する話が出てくるんだろうな』
「リラ人って、そんなに特別なんですか?」
『あくまで、調和という話においては……だな。ただし同じリラ系でも危険な連中もいたから、それぞれの背景となる歴史の影響が大きいんだと思う』
「歴史ですか。日本にリラ人が多い理由とか気になりますね」
『残念だが日本にリラ人が多い理由はよくわからん。だが、地球にリラ人やプレアデス人がやってきた歴史については語ることができるぞ。次回はかつて地球にあった、超古代文明について語ってみようか』
「それは興味深いですね。これまで古代の謎というと邪馬台国ぐらいしか語ってませんでしたので、是非、お願いします」




