第38話 人工霊能力について聞いてみた
今回はダウジングで大変に興味深い結果が得られたので、ちょっとしたネタ提供である。
「守護神様。ふと思ったのですが、岩戸開けしたら霊能者は増えるんですかね?」
『いきなり、どうした?』
「今進んでいる岩戸開きについて考えてたら、ふとそういう疑問が湧いたんですよ。最初の岩戸閉じって、霊の世界とこの世界を分断するものですよね? その岩戸が開かれたら、誰もが霊が見えるようになるのかな……って……」
『そういう疑問か。岩戸が開かれても開かれなくても、霊能力の素養を持つ人の割り合いは変わらんぞ。全体の一%台だ。ただ霊能力を眠らせたままにせず、目覚める人は増えるだろうがな』
「よく岩戸開けというかアセンションで地球が三次元から五次元になると言われてますけど……」
『三次元世界は、アセンションが起きても三次元だ。変わるわけないだろ』
「……ですよねぇ」
『でも、科学技術が今の三次元から五次元を使えるようになるという意味では当たってると思うぞ』
「新しい技術が出てくるんですか?」
『それが霊能力を実現するとしたらどうだ?』
「人の肉体は変わらなくても、技術的に霊能力が使えるようになれば可能でしょうけど、本当に実現するんですか?」
『五次元なら今の電磁気学だけで十分だ。きみだって考えたことはあるだろ?』
「そりゃあ、ありますよ。今の電磁気学の教科書は三次元ベクトルに書き換えられてますけど、電磁気学を完成させたマクスウェルは空間を四次元にすることで理論を完成させてるんです。だから三次元ベクトルに書き換えられた電磁気学には、エネルギー保存則が成り立たない欠点があって、そこからフリーエネルギーを研究してる人もいて……」
電磁気現象はマクロで見ると三次元だが、局所的には三次元から外へ出ている。ここで外の次元を通ってきた光子が、パラレルワールドの視覚情報を持ってきてるという話もあるほどだ。
『五次元目は何だと思う?』
「それは虚数時間です。最初は意味がわからなかったんですけど、虚数時間は時間を空間に変換したものですから、移動ができてしまうと……」
『うん。俺にはわからんが、そういう説明らしいな。解釈はきみに任せる……』
守護神様は最後は戦国時代の人だから、数学や物理学については完全に文系である。神様の世界のインターネットで情報を集めてくださるが、この部分の解釈は著者に情報を与えるだけでお手上げであるようだ。
だから、著者が間違っていたら、この解釈は「ゴメン」である。
『まあ、これからそういう技術が出てくるから、楽しみに待っていろ』
「それは楽しみですが、霊能力はどうやって実現するのですか? まさかバーチャルリアリティなんてことは……」
『いや、ガチの霊能力だ。それを感じさせるために仮想技術は使うが、頭から作り物なんてことはない』
「つまり霊能者が見ている霊の世界を、仮想現実で見られるようになるという意味ですか?」
『まさに、その通りだ』
こんなものが実用化されたら、世にいるエセ霊能力者は瞬時に地に落とされて消えるだろう。
「何がいつぐらいに出てくるんですかね?」
『実現されるのは、霊視と霊聴だ。すでにどちらも技術は存在してる。霊視は画像センサー、霊聴はラジオだ。あとは、ここから心霊現象を取り出す情報処理技術を完成させるだけだな。これは人工知能技術の発展とともに、実用化されると思う』
「完成は間近いですか?」
『人工霊視装置は二〇三六年には実用化されると思うぞ。その前の二〇二七年か八年には、そういう技術が出てきたことが話題になるだろう』
「二〇二七年なら、あと五年ですね」
『実用化したら、すぐに除霊が始まるぞ。日本では民間企業よりも、お役所が始める可能性が高そうだな』
「ゴーストバスターズの登場ですか」
市役所に除霊課ができるのだろうか。そこがスズメバチの駆除みたいに、市民からの通報で片づけると……。
『一方で霊聴の方は、もう少し時間がかかりそうだ』
「やっぱ、難しいんですかね?」
『音を拾うだけなら、今でもノイズとして断片的に聞こえることがあるだろ』
「ありますね。そういう音声は、ネットでは心霊動画の一部として人気コンテンツですし……」
『ノイズから霊の音を取り出すのに難航するんだ。それ以前に霊と人間は、音声ではなくテレパシーでイメージをやり取りしてるだろ。それを声でやろうとしてるんだから難しい話だ』
「やっぱりテレパシーが中心ですか?」
『当たり前だ。きみとのやり取りだって、質問を受けるのはテレパシーだろ?」
「言われてみると、そうでしたね。しかもダウジングして気づいたことですが、どうも私の使う日本語と、守護神様の使う天界の言葉にはちょっとした違いがあって、質問の仕方によっては肯定と否定が食い違うなんてことも……」
『あれには苦労させられたよな。初めの頃はきみに合わせようとしてたが、やってるうちに「日本語では肯定だっけ?」なんて混乱させられたよ。きみがその違いに気づいて、そのまま答えていいとしてくれて助かる』
言語間での表現の食い違いは大問題だ。たとえば日本語と英語の間にも、イエスとノー、前と先と後ろ、口と鼻などで食い違いが出ることがある。直訳に失敗して誤解を生むパターンだ。
ちなみに顔から突き出した部分を鼻と呼ぶのは各言語共通だ。だけど、その突き出した部分が鳥や獣のように口だった場合、それを言語によって口と言ったり鼻と言ったりする違いが見られる。ホント、言葉は厄介である。
「ということは、それだけ霊の声を拾うのは難しいんですかね?」
『そういうことだ。それに低級霊の多くはまともに会話できない。どんなに多くの犬や猫の鳴き声を集めても、その中から人間が理解できる言葉は拾えないだろ?』
「ああ、そっちの問題もあるんですね」
『おそらく二〇三八年か九年になって、ようやく地縛霊クラスと会話できるようになるだろう。そこで死んだ人間は、たいてい現地の言葉を話せるからな。そこから霊の使う言葉の翻訳が始まって、二〇年かけて俺のような守護神や、神社の神々の使う言葉の解析が終わる。それで自動同時翻訳ができて霊と会話ができるようになるのは、二〇六〇年のあたりじゃないかな』
「二〇六〇年。あと四〇年近く先ですけど、それが人工霊能力の完成でしょうかね?」
『そうだ。それで地球人も神々と会話できるようになり、それが第一の岩戸開きになるんだ』
「え? いきなり、そっちの話……ですか?」
第三六話で触れた岩戸開きの話題だ。第三六話の時は世界線によって第四の岩戸開け止まりだったり、第二の岩戸が開く世界線があったりと明暗が分かれるという話だったが、それは松の代が始まるまでの話。そのあと、技術的な発展で最後の第一の岩戸がいつ開かれるのか。ちょっとした疑問から、思わぬ情報を引き出してしまった。
もっとも良い世界線でも第二の岩戸止まりでは、日月神示の中にある『今度の岩戸びらきは五度の岩戸閉めを一度にひらくのであるから』(碧玉之巻 第九帖)と矛盾するという指摘もあったが、あの時はまだダウジングが不完全だったようだ。
「私もその時には、守護神様とお話できるでしょうかね?」
『さあてな。それは運命に関わるから答えないぞ。きみはその日まで生きているか。その前に運命の寿命が来るか。たとえ長生きしていても、俺と話そうと思うかどうか。きみが話しかけても、俺が答えるかどうか……』
「ところで話は変わりますけど、今、世の中には『おばけ探知機』──通称バケ探というものがあるんですよ。あれ、本当に幽霊を察知してるんでしょうかね?」
『バケ探? あ〜、ちょっと待ってろ。俺も名前だけで知らない機械だが、ちょっと調べてみる』
そのまま守護神様、調べものの長考が始まった。
『ん〜。ハッキリ言って精度は高くないな。条件による違いが大きいので、数値化は難しいぞ。正直、ちょっと鳴らしすぎだな。平均の精度は二五%に届いてないから、鳴っても本当に近くに霊がいるのは四分の一だ。それに最高に条件がそろっても精度は七〇%を超えないから、ちょっと優秀なジョークグッズってとこだろう』
「それは真価を問うのが難しいですね。逆に近くに霊がいるのに鳴らない場合もあるでしょうし……」
まあ、そんな余談はともかく、人工霊能力の実用化した世界。早く見てみたいものである。




