第37話 チャネリングについて聞いてみた
今は終末期である。不安の時代である。
多くの人が不安を感じてるため、宗教やスピリチュアルに心を寄せる時代である。
その関係で多くの人が、チャネリングや幽体離脱に挑戦して真実を探ろうとしてるみたいだが……。
「守護神様。最近、チャネリングとか幽体離脱が流行ってませんかね?」
『流行ってるな。正直、気にはなってるよ』
「チャネリングとか幽体離脱って、いつ頃、日本に入ってきたんですかね?」
『今のブームの意味では、一九九〇年代のスプリチュアルブームからだな。その前の幽体離脱は、ヒッピーの頃じゃないか?』
「へぇ〜。そういうのって、いったいどのくらい昔からあるんでしょうね?」
『太古からあるに決まってるだろ。きみだって過去に書いた作品の中で「夢能力者」に触れたことがあったじゃないか』
「夢能力者と同じだったんですか? じゃあ、古代ローマ時代よりも前から……ですね」
作中では『夢能力者』という呼び方を使ったが、他にも『夢スパイ』という名前で語られることのある夢の魔術師だ。代表的なのは眠れる予言者のエドガー・ケイシーだ。寝て夢の中へ入ることで、遠隔透視をしたり、深層意識まで潜って未知の情報を集めてくる能力者である。
「そういう能力、私も覚えたいですね。私もチャネリングができるようになったら、もっと細かく審神者できると思うのですが……」
『それは俺が全力で拒否する』
「ゑ? 守護神様と直接お話するのは、分不相応なんですか?」
『そういう意味じゃない。そもそも、きみは霊能力を持たないし、魂の波動を高める修業をしてないじゃないか』
「魂の波動って、周波数ですか?」
『それも含まれるが、霊格の高さや純粋さからくる波調とか波形だな』
「チャネリングするには、それを高める修業が必要なんですか?」
『必要も何も、俺のような守護神とチャネリングしようとしたら、魂の波動を高めないと無理だ。それなのに安易にチャネリングなんかに手を出したら、俺とのつながりが切れて低級霊とつながる可能性が高いんだよ』
「低級霊とつながるんですか?」
『そうだ。今のきみの魂が持つ波動は、俺よりも低級霊の方が近い。だからチャネリングなんかしたら、そっちとつながる可能性が高いんだ。これは危ないぞ』
「どのように危ないんですか」
『低級霊はきみと強くつながろうとするために、きみの波動を下げようと強引にチューニングしてくる。それをやられたら俺とのつながりが切られて、きみを守護できなくなるんだ。間に低級霊が割って入るからな』
「それは聞くだけでも怖いですね。まさか守護神様との縁まで切られるなんてことは……」
『それは俺があきらめない限りは「ない」。だが、つながりを回復するには苦労させられるはずだ』
「回復、するんですか?」
『低級霊に体を乗っ取られてなければな』
「体を乗っ取られるんですか?」
『低級霊が肉体に入り込める霊格持ちなら、その可能性はある。入り込めない低級霊でも、取り憑いて思考を乗っ取ってくることがあるぞ』
「それは怖いですね」
『そう、体を乗っ取られたらアウトだ。だから安易にチャネリングや幽体離脱はしてくれるな。低級霊にチューニングされた波動は、守護者が保護できるようになるまでは自然回復を待つしかない。その間、無理やり波動を落とされた影響で、どんな霊障に苦しまされるかわからん』
「霊障……」
『守護神とのつながりが切られてる間は、守護が利かないからどんな不幸に襲われるかもわからん。それに低級霊が強引に波動をチューニングしてきた影響で、精神障害を起こすこともあるぞ。最悪の場合、そのまま精神障害が治らないとか、廃人にされて死ぬまで再起不能になる恐れもある』
これは思った以上に大事である。
「私が寄ってきた低級霊を拒否すれば……」
『はたして拒否できるかな? 少なくとも相手が神や聖者を騙る低級霊なら、きみは騙されないだろう。やつらの手口を十分に知ってるからな。だが、俺になりすましたらどうだろう。はたして疑えるかな?』
「どうでしょう。ボロを出せば何とか……」
『きみはボロを出しても気づけるだろうか。低級霊とはいえ悪賢い連中は多い。その中には、きみよりも知力の高い連中はゴロゴロいるぞ』
「それは……怖いですね。それだとウソを見破る自信が……」
『見破れるとは思うな。連中とつながらないように修業して魂の波動を上げるか、チャネリングには手を出さないようにするかの二択だ』
「じゃあ、神の器だからといって、守護神様とつながれるとは……」
『さっきも言っただろ。神の器だからといって、チャネリングで守護神とつながれる保証はないんだ。それどころか波動の近い低級霊とつながって守護霊とのつながりを絶たれる危険の方が大きい』
「だから全力で拒否……なんですね」
『そういうことだ。だから、やろうと思ってくれるな』
挑戦は美徳ではあるが、これに関しては頭から禁止であるようだ。
「よく宇宙人とか神様とチャネリングしたと言ってる人がいますけど……」
『残念だが、そのほとんどはレプティリアンかオロチだからシャレにならん』
「日月神示で邪鬼(二八基)、金母、大老智と書かれてる存在ですね」
『やつらの手口は見当つくか?』
「レプティリアンは欲望を刺激するかネガティブな気持ちにさせるかですから、金儲けの話や陰謀論を語ってきたらレプティリアンでしょうね。で、オロチはまず自分が高い存在だと信じさせようとしてくるので、いかにも神様や聖者のような格好で現れたり、自分を高度な文明を持つ宇宙人だと言ったりした上で、真実はこうだと語ってくる」
『ははは。まあ、そうだが、それよりも俺が気になるのは「引き寄せの法則」だな』
「引き寄せ……。そういえば、語ってる人が多いですね」
『デタラメが多いな。不幸を起こす「引き寄せ」ならあるが、成功の「引き寄せ」は存在しない。それが可能だったら、遮二無二に努力した人たちは誰もが成功してなくちゃおかしいだろ』
「それは神様から使命を与えられた因縁ミタマを考えるとわかりますよね。一つの目的のために、神様は何十人という因縁ミタマを地上に送りますものね。だから時代を変える発明や活動などには同時性という現象があって、その中の一人だけに名誉が与えられるわけで……」
『まさにそれだ。もちろん「引き寄せの法則」通りに成功する人はいるが、その影には何百人という失敗した人たちがいる。最後まであきらめなかった人だけが成功するとか、ミスの少なかった人が成功するとか、そんな保証はない』
「やたらミスが多いのに成功しちゃう人がいますから……」
『そうだ。成功するかどうかは、最後は上位の神に気に入られるかどうかにすぎん。努力したから、成功を信じたからじゃない』
「それが厳しい現実ですよね。世間はそれっぽい理由を付けて失敗した原因をこじつけてますけど、『完璧すぎたから失敗した』なんて言われた日には『じゃあ、どうすれば良かったんだよ?』って言いたくなります」
完璧とはとんだ皮肉である。
「とするとチャネリングとか幽体離脱って、絶対にやっちゃいけない危険行為なんでしょうかね?」
『きみに対しては「その通り」と言っておくが、そこは人によりけりだ。波動の近い霊体が寄り添ってる者であれば、ちょっと試してみるぐらいなら低級霊をそれほど心配する必要はない』
「そんな人がいるんですか?」
『守護神ではなく、守護霊が付いてる人だな』
「守護霊? 守護神とは何が違うんですか?」
『守護神は霊格を高めて輪廻から解脱した神だ。それに対して守護霊はまだ神になってない霊体だ。本当なら修業のために生まれ変わらないといかんのだが、子孫が気になってるとか、やり残したことがあるとかで地上界に残ってる魂だよ』
「要するに先祖霊とか……ですか?」
『そうだ。まだ修業中だから、魂の波動は守護対象に近いんだ。そのおかげで寄ってきた低級霊よりも守護対象に近いケースが多いから、体の良い霊的な盾になってるってわけだ』
「霊的な盾……ですか。そういう守護霊のいる人は、チャネリングや幽体離脱をしても大丈夫なのですか?」
『魂の波動が近い霊体とつながりやすいからな。さっきも言ったが、守護霊よりも波動の近い低級霊が寄ってこない限りは安全だ』
「それはうらやましいですね。どのくらいの人がその条件を持ってるんですか?」
『そうだな。五人に一人ぐらいは、そういう恵まれた環境にいるぞ』
「それって、神の器の数よりも多いんじゃ……」
『あはは、そうなんだよなぁ。困ったことに……』
神の器は全人口の六人に一人の一六%〜一七%。それよりも多いとは……。
「守護神ではなく守護霊が……ってことは、その人たちは神の器ではないんですよね?」
『ほとんどは獣の人民だ。神の器で条件がそろう人は、それほど多くないと思うぞ』
「それは、どうしてですか?」
『理由は簡単だ。神の器を守護するのは神クラスだ。それに臨時で手伝いに来る教育係や世話係も、基本的に神クラスが手配される。霊クラスが手伝いに入るケースはないこともないが、そういうことをする守護神は少数派だ』
「それだとチャネリングは……」
『基本的に神の器はしない方がいい。例外的に運命でやらせるために霊クラスを連れてくる可能性はあるが、俺はそういうことをするつもりはないぞ』
「それは残念です」
『だがな、霊的な盾を持つ五分の一の人たちも、必ずしも安全ではない。今の科学的な常識では知られてない世界を知ってもらうために、試す価値は高いと思ってる。だが、悪意のある低級霊に目をつけられた時の危険性は知っておいてもらいたい』
「目をつけられた時……ですか?」
『当たり前だ。悪意のある低級霊にとっては、チャネリングしてる人は恰好のカモだぞ。強引に波動をチューニングして、守護霊による霊的な盾を狙って壊してきたら、どうなると思う? 経験や実績のある霊能力者でも、それにやられて精神崩壊に追い込まれたことがあっただろ』
「ありましたね、そういう事件……」
心霊情報を流してるYouTuberが、たまにそういう被害を受けることがある。著者は昨年二〇二一年にも、そういう事件を一つ確認している。レプティリアンによって精神を壊された事件だ。
『あと、絶対にやって欲しくないのは、レプティリアンに捕囚されて地球へ送り込まれた魂の人たちだ。この人たちの守護者は監囚役のレプティリアンだからな。いいオモチャにされてしまう』
これは第一一話と一二話で触れた話題の魂だ。レプティリアンは地球を監獄惑星にして、永遠に理不尽な目に遭わせようとしている。そのために地球の霊格カテゴリーを地獄の最底辺まで落として、戦争と貧困という仕掛けまで用意したのだから、巻き込まれる地球人には迷惑な話である。
「そういう話を聞くと、ためらっちゃいますよねぇ。チャネリング……」
『それでも、やるかどうかは本人次第だ。霊の世界は何をやろうと自由。その結果の責任は、まず自分で拭け……だ』
「じゃあ、私も……」
『きみはやるな! さっきから、何度も言ってるだろーがっ!』




