第13話 ネガティブな魂について聞いてみた
魂や輪廻転生の話を集めているうちに、神様が大きな問題のある魂を地球へ連れてきて、何かケアしているという話がいくつか出てきた。
「守護神様。地球に病気を持った魂が連れ込まれて、治療されてるという話が出てきたんですが……」
『ああ、やってるぞ。今の地球は宇宙の隔離病棟になってるからな』
「本当にやってるんですか? 前に邪鬼がやってた『監獄惑星』とは違うんですか?」
『まったくの別物だ、魂をどうやって治療するかは天界の神々の考えることだからね』
魂をケアするという話。どうやら本当にあるみたいだ。だけど、
「魂の病気というのが想像できないのですが、どのような病気があるのですか?」
『中二病』
「…………冗談……ですよね?」
『魂にだって反抗期や中二病はあるぞ。だいたい人間になってから、一〇回から二〇回の若い魂がこじらせる』
「こじらせると、どうなるんですか?」
『自分が神様から特別な役割を与えられて生まれてきたと誇大妄想するんだよ。一〇回目から二〇回目の人生だとまだ霊格が育ってないから、天界の神から課題を与えられることもないのにな』
「いるんですか? そんな人」
『東日本大震災の時に首相だったKNがいい例だ。日本にとっては虚仮の一念で首相にまで成り上がられたのは災難だったが、魂の世界で見ると将来有望な人物だぞ』
「たしかに自分を時代の救世主や英雄と思ってるような言動もありましたけど……。マジ……ですか?」
『人間の尺度で考えるな。世の中とは、そういうものだ』
まったく腑に落ちない話である。
「その中二病は、どうやって治すんですか?」
『中二病に治療法なんてあるわけないだろ』
「不治の病ですか?」
『逆だよ。どうせ放っておけば治るんだ。温かい目で見守ってやれ』
「その代わり、当人には黒歴史になりますけどね」
著者にも思い出したくない黒歴史の一つや二つは……あるかもしれない。
『あとの病気は、ほとんど魂の汚染だな』
「魂の汚染? そんなものがあるんですか?」
『精神汚染とか薬物汚染とか、厄介なものが多いぞ』
「そういう単語が出てくると、かなりヤバイ感じがしますね」
『そりゃあヤバイ。しかも地球の現代医学が、まったく気づいてないのもヤバイ』
「現代医学で?」
『臓器移植や輸血で魂の汚染が起こるんだよ』
「じゃあ、やっちゃいけないんですか?」
『そうでもない。現代医学では血液型や白血球型で拒絶反応を抑えようとしてるだろ。そこにもう一つ「霊格値」という判定基準を加えれば、魂の汚染は防げるんだ』
「霊格値が、どのように関係してるんですか?」
『移植を受ける側の霊格値が低いと、魂が汚染されるんだ』
「どうしてそうなるんですか?」
『これは宇宙の摂理だ。日月神示でも触れてるぞ。自分より高い存在に身を捧げれば、自分も出世できるので嬉しいと』
「それは、どういう意味ですか?」
『利用されるのは霊格値の低い側でなくてはならない。そうすれば利用されることで霊格が引き上げられるんだ。でも、それが反対になると、低い側は利用した高い側に魂を汚染されて、一部の性質が乗っ取られるんだ』
「心臓移植したあとで性格や趣味嗜好が変わる話って……」
『まさに魂が汚染された現象だ。その汚染は輸血や、肉を食べることでも起こるぞ』
「肉? 食べると危ないんですか?」
『自分よりも霊格の高い生き物の肉だったら……な。きみが食べる機会はないだろうが……』
「『きみは』ってことは、食べてる人はいるってことですか?」
『今の時代は……な。一応、地球の神はそういう霊格の逆転が起きないように、霊格値四〇〇を境に上を人間、下を獣にしていた。だが、今の地球人類の三分の一は四〇〇未満だ』
「以前、ワンダラーを扱った時に言われてましたね」
『それとは反対に邪鬼のやつらは、囚人たちの霊格を五一〇まで落としたところで、むりやり獣に生まれさせているんだ。とはいえ五一〇で入れる獣といえば、猫や牛などに限られるがな』
「牛だったら、誰かに食べられる可能性がありますね。それを霊格の低い人が知らずに食べたら……」
『もちろん魂は汚染される。ちなみに四七〇以下なら豚にされた元人も出てくる。そういう獣の肉を食べて魂が汚れたら、魂磨きをしても何回か先の未来生まで影響が出るぞ』
「まるでロシアンルーレットですね。その治療は……」
『魂磨きによる自然治癒に任せるだけだ。臓器移植も、一部の酒やタバコ、菓子による薬物汚染もな』
「一部の……」
よくわからないけど、日月神示には酒やタバコ、それと饅頭で代表されるお菓子には、良いものと悪いものがあるらしいのだが……。
「時々、人間が野生生物に襲われて食べられるニュースを聞きますけど、食べた動物の魂は?」
『ほとんどの野生生物は肉を食べても、霊魂が汚れる心配はない。というより、まだ魂が汚れてるから、霊格値が三三〇に届いてなければどんな肉を食べても気にするほどの影響はないんだよ』
「霊格値三三〇……。人間の中にも、それ以下はいるみたいですけどね」
納得の理由だった。クマが一八〇から三一〇、爬虫類だと二一〇以下。魂に影響が出ないからこそ、本能に任せて貪欲になれるってワケね。
「ところで話を最初に戻しますけど、地球に隔離するほどの魂の病気って……?」
『魂の病気の中には悪い波動を放って、周りを精神汚染するものがあるんだ』
「その悪い波動が感染するんですか?」
『する』
「空気感染みたいに?」
『拡がり方は似てる。病原菌やウィルスのように、悪い波動が周りを精神汚染するんだ。というよりも病気で出てきた熱が放射で伝わるとたとえた方が近いかな』
「熱放射……。ということは離れてても伝わることが……」
『ある。元の原因は薬物汚染でも、それが精神を侵すと悪い波動を放ち始めるんだ』
「ある一線を超えた時に……ですか?」
『そうだ。それで悪い波動と言ってるのは、ネガティブ思考だ。ネガティブと言っても、ただネクラとか、後ろ向き思考とか、病的に慎重すぎるとか、そんな可愛いものじゃない。闇落ちして不幸や不運を引き寄せてしまう、負のスパイラルを招く症状だ』
「そういう患者を地球に集めて治療してるんですか?」
『そうだ。とはいえ、節操もなく受け入れられるもんじゃない。一人治療するだけでも神クラスが三柱から五柱はかかりきりになるからな』
「三柱から五柱?」
『まず守護神が一柱。だから患者の魂はどんなに霊格値が低くても「神の器」として人に生まれる。そして地上に降りて治療を助ける神が一柱から二柱。それぞれを霊界からサポートする守護神が一柱から二柱。最低、それだけの神が必要になるんだ』
「わざわざ神様が地上に降りてこられるんですか?」
『そのぐらい高い霊格を持った魂でないと、患者の出す悪い波動に侵されるからな』
「霊格が高いと悪い波動に耐性があるってことですか?」
『そうだ。反対に霊格が四〇〇から六〇〇の魂は気をつけないと精神汚染を受けやすい』
「……ん? 四〇〇未満は?」
『それは人にもよるが、どうせまだ魂は汚れてるんだから影響は小さいだろう』
「ひどい言い方ですね」
とはいえ、魂磨きは金属の精錬のようなものだ。原石はこれ以上酸化しない。混ぜ物の多い金属も、物によっては錆びづらい特性を持つ。だけど精錬して純度を高めていくと、酸化して錆びやすくなっていく。物質は安定した状態へ向かって変わるからね。金属にとっては錆びた状態が安定した姿だ。だけど、ある程度以上の高純度になると、一転して錆びづらくなる。
霊格が高いと悪い波動に耐性を持つのも、これと同じような理屈だろうか。
「ところで地上へ降りた神様は、どのように治療するんですか?」
『患者が悪い波動を出さないように、ネガティブ思考に陥らないようにかまってやるんだ』
「かまってやる?」
『独りぼっちにさせてネガティブな感情が湧いてこないように、付きっきりで見守ってやるんだよ。悪い波動さえ出させなければ自然治癒していくからな』
「独りぼっちにさせないために、どうやって?」
『親、子供、幼なじみ、親友となるクラスメイト、結婚相手とかな。すべてが地上に降りた神だけじゃなくて、別の運命を与えられた霊格の高い魂にも、気にかける役目を手伝ってもらうんだ』
「運命や人生の課題が与えられるのは、精神汚染に耐性のある霊格値六〇〇以上の魂だから……ですか?」
『その通り。だから患者の魂は学校でボッチ飯はありえないし、一人暮らしも引きこもりも長続きできないんだ』
それは何というか至れり尽くせりな話である。
「神様は、そういう魂を地球に連れてきて治してるんですか?」
『そういうことになる』
「地球人が悪い波動に汚染される恐れは?」
『ある。だが、それ以上に今の地球そのものの波動が落ちている。だから天界の神々は、地球を隔離病棟として利用することにしたんだ』
「それを地球の神様は受け入れたんですか?」
『地球の神々とっても、受け入れたい事情がある。今の地球は不法移民してくる魂が多いため、正規の魂──「神の器」の数を増やしたいんだ。それに地球には守護神になれる神は不足してるが、患者を治療するために看護役の守護神たちも地球へやってくるからな』
双方の利害が一致したらしい。
「それで、地球にはどのくらいの患者が隔離されてるんですか? やっぱ何億とか?」
『いや、地球全体でも二八〇〇万人が受け入れの限界だ。日本は神の国として多めに引き受けてるが、それでも一六〇万人』
あ、この話は魂の種類に触れた時に聞いていた。
『日本は大きな災厄なら地球全体の二割、すべての災厄なら一割を引き受ける役目を負っているが、こればかりは一割も受けてない』
たしかに台風・ハリケーンクラスの災害やM六以上の地震、それと津波被害の二割は日本で起きている。火山も活火山の数は世界の一割、噴火中の火山となると二割が日本に集中している。
竜巻被害というとアメリカの巨大なものを連想しがちだが、日本も世界で三番目ぐらいに多い国だし、豪雪災害となると、これはもう日本の独壇場だ。
もしかしたらダメ政治家や偏向メディア、それから隣国による災厄の割り合いも……。
「患者と他の人って、見た目の違いはありますか?」
『ないね。敢えて言えば「死にたがり」だ』
「……それ、けっこうな特徴じゃないですか」
しょっちゅう「死ぬ、死ぬ」とでも言ってるのだろうか?
『とにかく治療のためには人生をまっとうして欲しいのだが、守護神たちの看護の甲斐もなく、三〇歳までに三分の一は自殺してしまうんだ。日本だと年間一万人ぐらいだな』
本当に死んでしまった。
日本は一六〇万人を受け入れてるから、平均寿命を八〇歳として三分の一が三〇歳までに自殺するとなると……。たしかに毎年三万人が生まれて一万人が自殺すると見積もれば勘定は合いそうだ。
でも、これの裏を返したら、今の日本は年間の自殺者を一万人よりも減らせないってことだろうか。
「患者が自殺した場合、治療は……?」
『その時は、やり直しだ。悪い波動を出すようになった精神汚染は、最低でも三回は人生をまっとうしないと元に戻らん』
「事故や病気で亡くなった場合は?」
『自分で人生を終わらせたのでなければ、まっとうしたのと同じだ。まあ、そういうことは周りの守護神たちが許さないだろうがな』
「それもそう……ですね」
考えの浅い疑問だった。
「ところで魂の汚染って、どんな感じで起こるんですか? 『悪い波動を受けて』とは言いますけど……」
『その質問は時と場合によって違いがありすぎるから、一概に答えるのは難しいな』
精神汚染されてネガティブになった魂がどうして生まれるのか。最後は、その話である。
『まず悪魔の中には支配しやすいように、悪い波動を放って精神支配を仕掛けてくる者がいるんだ。その時に悪い波動を強く浴びすぎて、魂が汚染されることがある。また、汚染された魂の近くにいたために、自分も汚染されることもある』
「それは完全な不可抗力ですね」
『次に薬物中毒からくる精神汚染がある』
「それは覚醒剤とかドラッグですか?」
『最近の地球ではマリファナが増えてるな。それと近年は悪い酒やタバコや菓子による薬物汚染が深刻だ』
「それは先ほど『一部の』と言っていた酒やタバコやお菓子ですね」
『悪い酒やタバコ、菓子には依存性があって、しかも摂りすぎると精神が侵されて思考がどんどん後ろ向きになっていくんだ』
「悪い酒やタバコ、お菓子というのは?」
『マガイモノだ。安く作るために工業的に量産したものを混ぜ込んだものだな。昔ながらの手間ひまをかけたものであれば、悪いものは少ないだろう』
そう言われると、何となく心当たりがある。
お酒で上機嫌になる人が飲んでるのは、高級なお酒というイメージがある。そういうお酒は昔ながらのホンモノだろう。
一方でマイナス思考になるお酒というと、安酒場で愚痴ったり、酔って泣き上戸や怒り上戸になる人をイメージする。当然、そういう人たちが呷るお酒は安酒だろう。
社会的な地位とは何かしらの関係があるのだろうか。
それとも間違った政策で生み出される、工業的なお酒やタバコ、お菓子類に問題があるのだろうか。
「そういうお酒やタバコやお菓子、松の代になったら無くなるんですよね?」
『完全に無くなるかどうかはわからんが、減るのは間違いないだろう』
「そういう時代、いつ来るんでしょうね?」
『さあ、二〇二四年には始まると言われてるが、どうなんだろうな?』
「あと三年ですか……」
さて、その時に地球もネガティブな魂たちも、どんなふうに変わっていくのだろうか。
今回はややこしい話でもあるため、いろいろ読みづらい点が多いことはご勘弁願いたい。




