第10話 神と悪魔について聞いてみた(2)
『次は日月神示が邪鬼と呼ぶ存在だ。今ならレプティリアンと呼んだ方が伝わりやすいかな』
「そうですね。スピリチュアル系では、もっとも有名な存在ですもんね」
『天界の神が邪鬼の存在に気づいたのは、先ほども触れたが三千年前だ。それまではオリオン人の地球支配が一段階過酷になったものだと見ていたんだ』
「三千年前……。とするとほとんどの宗教の話には……」
『すべての悪がオリオン人のせいになっている。とんだ濡れ衣だ』
つまり旧約聖書に出てくるオリオン人も冤罪だったのだろうか。きっかけを作ったのだから自業自得ではあるが……。
「それで邪鬼──レプティリアンは、いつ頃から地球に来たんでしょうかね?」
『それはわからないが、影響が出始めたのは紀元前三千年頃なのは間違いないだろう』
「古代文明が起こった頃ですね」
『いや、違う。メソポタミアもエジプトも、最初に興った頃は共和制民主主義だ。それが時代とともに特権階級が生まれて貴族制となり、やがて権力が集中して王政へと変わっている』
「文明が起きた時は民主主義だったんですか?」
『そうだ。最初の頃まだ平等な社会だ。それが急に身分が生まれ、やがて家畜の使役が始まり、そのうち人間までも家畜化する奴隷労働が出てくるんだ』
「そういうものは昔からあったんじゃないんですか?」
『ねえよ! コーカサス地方に出てきたアーリア人が、周りの民族を支配奴隷化することで世界に広まっていったんだ』
「もしかしてアーリア人の中にレプティリアンが入り込んだのですか?」
『どうなんだろうなあ? とにかく天界の神が気づいたのが三千年前だ。それより前のできごとは、天界の神も想像するか、過去の世界線を見て考察するしかできないんだ』
「それは悩ましいですね……」
オリオン人の時も気づくまで時間がかかったけど、レプティリアンの侵略も気づくまでけっこうな時間がかかったみたいだ。神様がこんな調子だから、神の国日本も他国からの侵略に鈍感なのだろうかと邪推してしまう。
『日月神示に出てくる五回の岩戸閉じのうち、最初以外の四つをやってくれたのが邪鬼だ。オリオン人は最初の岩戸閉じで地球を霊的カテゴリー三の地獄へ落としただけだが、邪鬼は岩戸閉じを次々と起こして一気に霊的カテゴリー一──地獄の底まで落としてくれたんだ。中でも最悪なのが四回目の岩戸閉じだ』
「四回目の岩戸閉じというと、紀元前七〜八世紀頃のできごとですね。神様の力が地上まで及ばなくなり、武力が支配する世の中へ変わったという……」
『紀元前七〜八世紀というのは日本で岩戸閉じの影響が出てきた時期だ。中心となるメソポタミアやエジプトではそれより千年も前には起きている。だから天界の神はモーゼなどの救世主を何度も地上へ降ろした。合計六回だ。五人目の救世主はイエス・キリストの六〇年近く前に活動したが、狂信的な市民たちから死ぬまで石を投げつけられて失敗に終わった』
「悲惨な死に方ですね。打ちどころが悪かった……とか?」
『最初から殺すつもりで石を投げたんだよ。兵士でない市民にとっては、石や棒は立派な武器だからな』
「……聞くんじゃなかった……」
『そして六人目は今知られるイエス・キリストだが、残念ながら一人目は救世主としての能力を開花できなかった。そのためバックアップとして日本に生まれていた救世主と入れ替わって、どうにか教えを残すことに成功させたんだ』
「その伝説、あちこちで聞きますね。守護神様もおっしゃいますか……」
『だが、これらの救済は邪鬼によってのちに無効化された。それが最後の岩戸閉じだ』
「日本では仏教伝来、西洋ではキリスト教の宗教会議。五世紀から六世紀の事件ですね」
『天界の神が降ろしたキリスト教が、完全に乗っ取られて無効化されたんだ。多神教的な神々や生まれ変わりを否定し、完全に一神教という絵空事に変えた事件だ。「666」で表した未来の救世主──悪魔にとって不都合な存在の意味を、まったく逆の解釈に読み替えたのもこの頃からだ』
「今の聖書は、その解釈を前提で訳されてますけど、それでも違和感のあるところが多いんですよね。というか、そういう解釈で読むと矛盾だらけで……」
『で、日本に伝来した仏教も、やはり邪鬼によって乗っ取られた。日本に入ってくる前に、中身はキリスト教にすり替わってる』
「外殻は仏教のままだけど、中身はネストリウス派──歴史の教科書には景教と書かれてるものの思想に入れ替わってるそうですね」
『この頃から日本はずっと自虐史観で神代の歴史を否定している。西洋もこの頃に古代から続いてきた伝承を忘れて、完全に暗黒時代に入るんだ。だが、ここまで落とされたのは地球の霊格カテゴリーだ。邪鬼はここから地球人の生活そのものを悪化させ、天の川銀河で最底辺の惑星へと作り変えていったんだ』
「まだ、何かやったんですか?」
『ユダヤ商人から肉体を乗っ取った邪鬼たちが、七世紀から一〇世紀にかけて「死の商人システム」を完成させて戦争ばかりする世の中にしたんだ。更に一四世紀には国際金融機関が天界の神が禁じていた利子経済を始めて、まずヨーロッパで貧困が発明される』
「貧困は古代からあったのでは?」
『働かない者が貧しくなるのは当然だ。誰かに中間搾取された結果、貧乏生活が続く犯罪被害も昔からあった。だが、社会システムとして一度貧乏になったら抜け出せなくなる現象は、この頃に始まってる』
「その原因を作ったのが利子経済ですか?」
『そうだ。本来、資産というものは持ってるだけでは時間とともに価値を失うのが自然だ。食べ物ならどんなに日保ちしても永遠には保存できない。土地や建物も適度に手を入れなければ荒れて価値を失う。金銀財宝の中には価値が失せないものはあるが、盗まれないように資産を使って管理する必要があるだろ』
「つまり少しは働いて稼がないと、どんなに資産を持っていてもいつかはゼロになると……」
『その通り。だが、利子経済は、資産は持ってるだけで利子を生み出す。金が金を生むから、多くの資産を持つ者ほど働かなくてもお金が増える不健全な状態になった。反対に持たない者は、永遠に奪われる側になる』
「そういえば昭和の時代は家が一軒買える三千万円もあれば資産運用でマイナスにならないと言われてたけど、その目安が一億円になって、三億円になって、最近は三〇億円あっても資産運用でプラスになる保証がないって……」
『世界の富が、わずか数人の大資産家のところに集まってくる寡占化だ。日月神示にある松の代が始まる前にくる地獄の最底辺だな』
「おかしな時代ですね。それを邪鬼──レプティリアンは、どんな目的でやってるのでしょうね? 富を独占したって、所詮は地球の中だけの話ですし……」
『その目的は一五世紀から始まった。地球を流刑先の監獄惑星にして、囚人を送り込むためだ。その囚人たちに戦争、貧困というこの世の理不尽を味わわせる仕掛けなんだよ』
「それに巻き込まれる地球人には、とんだ迷惑ですね」
『地球の神々にとっても大迷惑だよ』
「ところで、さっき『ユダヤ商人から肉体を乗っ取った』と言われてましたが、邪鬼は人間に憑依できるんですか?」
『あれは欲望を叶えるために悪魔に魂を売った商人がいたって話だ。昔からあるだろ。悪魔を召喚して取り引きをする話』
「よく物語にも使われますね。悪魔に寿命や心を差し出す話が……」
『そうだ。邪鬼は召喚者の求めに応じて、いくつかの方法で願いを叶えさせてやるんだ。まさに悪魔との取り引きだな。そのうち魂を売って肉体を乗っ取らせるのは、確実に願望を実現する取り引きだ』
「確実に成功するなら、喜んで売っちゃう人はいそうですね」
『いるぞ。それも毎年数千人って人たちが魂を売るから、今の地球には一〇万人もの邪鬼に乗っ取られた人が世の中で暗躍している』
「でも、その話……。落とし穴がありますよね?」
『マトモな思考の人間なら、ここまで聞いてるうちに気づくよな』
「魂は意思や精神そのものですから、そんなものを売り渡したら……」
『願った本人の意思は魂とともに抜き取られて捕囚の身となる。そのあと邪鬼が肉体を乗っ取って、望み通りの未来を実現してやるんだ』
「肉体だけが願いを叶えてもらうって、すごい皮肉ですね」
『周りの人は中身が入れ替わったなんて気づかないから、願望の実現に向かって人が変わったぐらいにしか思わないだろうな』
悪魔に願った人も、こういう結果になるとは思わなかったろうなあ。
「中にはこうなることを知ってて、自分以外の生け贄を用意する業突く張りもいそうですね」
『いるぞ。だが、そっちはよく知らん。そこはケースバイケースだろう』
さて、どんなケースがあるんでしょうね?
「魂を売る以外には、どんな方法があるんですか?」
『時間を戻してやる方法だ。これは確実に願いを叶えることはできんが、過去のある時点まで戻して、そこからやり直すことができる』
「昔のゲームによくあった、前にセーブしたところからやり直すようなものですね」
『これは個人よりも、国や企業のようなものが願うことが多いな。関係者が未来の知識を持ったまま意識だけ過去へ戻って、歴史をやり直すってやつだ。古代ローマや今のアメリカがそれを何度も使って、百年ちょっとで超大国へと育ったんだ』
「その話にも興味が湧きますけど、長くなりましたね。この先は別の機会にして、残り二つの悪魔について話しましょう」
ということで、邪鬼の話題はここまで。
ちなみに邪鬼が願いを叶えてやる方法はいくつかあるみたいだが、著者が知ることができたのは、現時点ではこの二つの手法のみであることを断っておく。
「三つめの悪魔は日月神示で『大老智』と記してる存在ですね。これはどんな悪魔なのですか?」
『この勢力は近年、多くのスピリチュアリストに接触して、取り込もうとしてる連中だ。ただし霊格が低いため、邪鬼のように人間から肉体を乗っ取ることはできない。また悪知恵が働いて地球人を騙すためのマニュアルがあるようだが、いくつかのグループの間で内容が食い違っててな。その意味で詰めの甘い相手だと思うぞ』
「低級霊という感じですか?」
『そういう理解でも間違いはないだろう。だが、侮ってくれるな。連中は人間を食料として見てるからな。神隠しに遭ったと思ったら、食べられてたなんて洒落にならんことになるぞ』
「人間を食べるんですか?」
『そう、食べる。それなのに「地球は肉食動物がいる珍しい星」「宇宙には肉食生物のいない星が多い」と触れまわって地球人に近づこうとしてる』
つまり地球人を食料として狙ってるからこそ、「宇宙には肉食生物は珍しい」と騙す発想が出てきたのだろう。
「そう言って近づいて、人間を捕食してるんですか?」
『そうだ。今は一年間に二五〇人から三〇〇人の地球人が食べられてるかな。日本人に限っても六〇人から八〇人が被害に遭ってるぞ』
「被害は全世界で起きてるんですか?」
『オロチの食の好みは、どうやら黄色人種、その中でもモンゴロイドが好みのようだ。そのため被害の多くは東アジアと南アメリカに集中してる』
「それじゃあ、日本人なんかまさに格好の獲物じゃないですか。こっそり人狩りをしてるんですかね?」
『物理的にやったら気づかれるし、存在までバレてしまう。だから時空的な罠を張って待ち構えてるんだ。これは街中でも自然の中でも、あちこちに仕掛けられているぞ』
「それはたくさんですか?」
『それはもうあちこちにある』
「そんなにたくさんあったら、被害も大きいんじゃないですか? でも、世界で一年に三〇〇とか……」
『それは罠にかかっても、多くの人は違和感を覚えてうまく逃げてるからだ。それに同時に数人がかかったら簡単に壊される程度の罠だから、比較的人通りの少ない場所に仕掛けられてると思っていい。それで運悪く逃げ損なって時空の沼にハマった人が、オロチの餌食にされてるわけだ』
なんか、ひどい話である。
「そのオロチは、いったいどこから来たんですかね?」
『地球から見てアンドロメダ座のある方向だ。だから自分たちを「アンドロメダ人」や「アンドロメダ星人」と名乗ってる連中が多い。他にも「オリオン星人」や「プレアデス星人」を名乗ってる連中もいるぞ。これは使ってるマニュアルの違いだな。オリオン星人を名乗る連中は、何億年も前にオリオン大星雲で生まれた文明だと言ってるが、オリオン星雲が生まれたのはたかだか三〇〇万年前だ。オリオンの三つ星のどれかが出身と言ってる連中もいるが、これも古くて六〇〇万年。プレアデス星人も同じで、プレアデス星団の星が生まれたのはどんなに古くても一億年。デタラメもいいところだ』
他に地球人を信用させるために「オリオン大戦」の名前を出すオロチが多い。守護神様の話によるとオリオン大戦が始まったのは紀元前六、一七八年の地球。だけど、オロチたちは「大昔からあった」「一億年前だ」「四五〇万年前だ」とバラバラだ。たしかに詰めが甘い。
「オロチたちって、いつから地球へ来てるんでしょうね?」
『だいたい三八万年前だ。この時の調査隊はカシオペア座の方向からやってきて、現在のエジプトからアラビアにかけた中東地域で食料化できる生物調査をしたようだ。その時に当時の人類を遺伝子操作して家畜化しようとしたが、失敗して地球を去っている』
「失敗って、不味かったんでしょうかね?」
『たぶん、そうなんだろうな。だけど数千年前に戻ってきたら、そこで暮らしてた人類はずっと美味しくなっていたんだ。そこでオロチは神と偽って、人類に取り入ろうとしたんだ』
「それは、どんな神様なんですか?」
『オカルト系で有名なアヌンナキだ』
「あれ? アヌンナキは地球へ金の採掘にやって来たんじゃ?」
『よく考えてみろ。財宝としての黄金ならともかく、なんでわざわざ外宇宙まで金鉱を探しに行く宇宙人がいるんだよ。外宇宙を移動できる科学力があるなら、金を使った物質の代替技術なんかいくらでも生み出せているはずだぞ』
「たしかに元素変換しなくてもナノテクで擬似金元素は作れますし、有機化合物でも物性目当てなら可能という話も……」
都市伝説の落とし穴は大きい。
他にも重力の大きな惑星ほど重い金属は中心に集まってしまうから、地表にある量は少ないんだよね。だから金を探すのなら地球よりも小惑星を探した方が良いし、重力を振り切って持ち帰る手間も小さくて済む……とかね。
ホント、都市伝説は科学的に考えると矛盾がボロボロと出てくるものが多い。
まあ、それはともかく、人類を食べようとする宇宙人がいるとは……。
「……で、最後の悪狐に関しては……」
『ほら、早くダウジングしてくれよ。俺はちゃんと調べてあるから、あとはきみが聞き出すだけだぞ』
「そうは言われても、取っかかりがつかめないんですよぉ〜」
現在の著者の知識では、『悪狐・九火』に関する情報を引き出せなくてお手上げである。
「一応、クジラ座の方向からやってきてるんですよね?」
『そうだな』
「古代遺跡や土偶にある、顔が逆三角形で、釣り眼の像のモデルとなった宇宙人」
『その通り』
「九尾の狐やお稲荷様とは」
『日月神示では「九尾の狐」とか「九火」とも書いてるが、民間伝承にあるソレとはまったく関係ない』
「何かヒントください」
『だからダウジングで引き出せ』
「…………しくしくしく……」
ということで、最後は締らない終わり方です。
前の『大老智』に関しても、アヌンナキ以外に具体的には何星人かイメージがわからないままですし……。




