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2章 港湾都市「ポート」

※注意

下記に当てはまる方は読まないほうが幸せでいられます。


・ファンタジー系RPGがとにかく好きな人

・ロマンチストな人

・真面目な考えを持っている常識人の人


当てはまらない人も、覚悟してお読みください。



ブランド店からの執拗な追っ手を退け、我々は港湾都市「ポート」に到着した。

磯臭い匂いがトレードマークの、大陸でも1〜2を争う港町だ。

早く国外に逃げないと危ない。

いや、次の大陸が俺たちを待っていたので、定期船を利用することにした。

しかし、またお決まりのパターン。 海賊が海を封鎖していた。

街の自警団は討伐作戦を試みているが、攻撃されるまでは敵対行動を取れないことが災いして討伐まで至っていない。

そう、今時の海賊は賢くなっているのだ。

相手が上と見るや、途端にしおらしくなる。

相手が下と見るや、略奪行為をおこなう。

まるでどこかの政治家だ。


出会う町人全員から「海賊を倒してくれ」と用命される。

いささか食傷気味だ。

なぜこういうときだけ頼られなければいけないのか。

少し腹が立ってきたので、久々に勇者行為をおこなうことにした。


1.勇者行為について

 王国より認可された勇者は、民家に立ち入り家を漁ることを認める。

 その際に役立ちそうだと勇者が判断したものについては、快く提供しなければならない

 住人の持ち物が破壊されたときなど、一定額までは勇者は責任を負う必要がない。

 住人は立ち会うことができても制止することはできない。

 特に、町長やそれに順ずる者たちは積極的に門戸を開き、勇者を影からバックアップすること。


勇者マニュアルの1ページ目に書かれている重要事項だ。

路銀はこういった行為から稼がなければいけない。

飢えそうになったときも、民家に立ち入り冷蔵庫を漁ればいい。

それにしてもどこだろうか。 モンスターがお金を持っているなどと勘違いしている世界は。

世の中それほど甘くない。

しかし、町民も強かである。

勇者が訪れた瞬間に、地下の倉庫に貴重品を隠してしまう。

初めはそのことを知らず、タンスなどの家具を漁っていても薬草やポーションしか出てこずに絶望したものだ。

今はもうある程度のパターンは理解できた。

住民の自衛を回避する方法は2つ。

前日から観察する方法が1つ。

その家の行動パターンを理解し、最も自衛をしづらいと思われる時間を狙うのだ。

そして素早く立ち入り隠す暇を与えないという方法がもう1つ。

今回は時間がないので窓ガラスを割って侵入する方法を利用することにした。

ガシャンという音とともに、室内になだれ込む。

家族団らん中だったのか、驚いた様子で俺を眺めている両親と息子と娘。

キョトンとした表情で何がなんだかわかっていなそうなのは5歳くらいの息子。

母親の方を不安そうに見つめている7歳くらいの娘。

何が起こったか理解し、がっくりと頭を垂れて泣き出した母親。

こちらをじっと見据え、怒りを必死に我慢している主人。

俺はその空気を楽しみつつ、満を持して言い放った。

 「動くな。 勇者だ。」



母親と子供たちがすすり泣く声を背に、たんすを物色した。

預金通帳があったが、さすがに勇者でも通帳に手をつけることは許されない。

それだとただの窃盗になってしまうからだ。

ここまでで、

・財布(両親分)

・へそくり

・商品券

・セーラー服

などが主だった戦利品だ。

ここで説明しなければいけないのは限度額について。

勇者行為をおこなうにも様々なルールがあり、その中で最も意識しなければいけないのは被害限度額の設定だ。

被害限度額というのは勇者行為によって住人が被る被害を一定額以下にしようとの仕組みであり、この額を超えて住人に被害を与えてしまうと捕縛されてしまう。

裏を返せば、被害限度額までであれば何をしても構わないのである。

今回はこれから奪う分の額と先ほど侵入するときに割った窓ガラスの金額が限度額以内であれば勇者行為が成立するのである。

仲間たちはひたすら食堂で冷蔵庫を漁っている。

どうやらそろそろ締めのようで、冷凍庫に入っていたアイスを食べているようだ。

限度額にはまだ遠いと思うが、この家はこのあたりで勘弁してやろう。

次のカモが俺たちを待っている。

自信を持って終了を宣言した。

住人側から申請がなければこのまま終わるところだったが、終了宣言後に主人がスッと立ち上がった。

先ほどまでは沈痛な表情だったが、ここにきてニヤリと笑みを浮かべている。

とても嫌な予感がした。



結局、主人によって呼びたてられた勇者行為判定人により、限度額オーバーの裁定が下された。

これで今回の勇者行為は無かったことになり、奪ったものは全て返還することとなった。(食料など消費物については情状酌量)

原因はセーラー服。

夫婦の趣味の品だと考えていたが、某有名女優が映画撮影時に着ていたものとの鑑定書つきの代物だった。

端的に言うと、はめられてしまったようだ。

ハイタッチで喜び合う家族と、がっくりとうなだれる仲間たち。

勇者行為判定人は冷たく言い放った。


 「勇者殿。 監獄都市【プリズン】までご同行願います。」


護送用の馬車に乗せられ、監獄都市プリズンへと出発することとなった。


結局書いてしまいました。

次話があるかどうかはk(rya

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