プロローグ 勇者の旅立ち
※注意
下記に当てはまる方は読まないほうが幸せでいられます。
・ファンタジー系RPGがとにかく好きな人
・ロマンチストな人
・真面目な考えを持っている常識人の人
当てはまらない人も、覚悟してお読みください。
プロローグ
勇者になって1年が経過した。
ようやく最近慣れてきたと思っている。
最初に自分が勇者に任命されたときは驚いたが、今となるとそれもよかったと思えるようになった。
とにかく初めは苦労ばかりだった。
登城の際には持ちたくもない剣を持たされ、重さでかなり疲れたことを覚えている。
王からは王国発行の「勇者許可証」と「はした金」を渡され、誓約書に判を押すように強要された。
内容がまたふざけていて、死亡してしまっても王国には一切の責任がない旨などが書かれていた。
「自己責任」という文字が大きく印字されていたのが印象的だった。
旅の仲間を探すのにも苦労をした。
酒場には多数の仲間候補がたむろしていたが、いるのはむさ苦しい男か筋骨隆々の女。
なぜ魔法使いや僧侶がいないのか不思議に思いマスターに聞いてみた。
どうやら人材不足らしい。
仲間業界も登録制になってからはかなり質が落ちてしまったらしい。
やはり待遇面で町人や商人とそれほど変わらなくなってしまったのが原因だろう。
そんな理由から、酒場には脳が筋肉のような輩しかいないのだろう。
脳筋を雇うのをやめて、最近の王道である偶然出会うのがコンセプトの「仲間系サイト」に登録した。
当然登録したのは大手の「DE-AU」。 女性登録者の充実が噂されているサイトである。
登録して数分後、「武器屋の前でぶつかりませんか?」とのメッセージ。
プロフィールに女性魔法使いと書いてあったのですぐに承諾。
時間までわくわくしながら武器屋の前で待ち続けた。
約束の時間から5分が経過し、彼女からのメッセージ。
「イメージと違ったので、今回はごめんなさい」
ショックは大きい。
結局2日ほど粘り、僧侶と魔法使いと水商売(遊び人)の3名をゲット。
3人ともそれなりの容姿を持っていたので満足できた。
きっとこの後は、3人で俺の奪い合いとなるだろう。 なんだかんだ言っても、勇者は許可制で誰しもがなれるものではない。
3Kだが、それなりに報酬もある。
来るべき冒険に向けて、モチベーションが少し上がった。
最初に訪れたのは隣町「呪われた街、カース」。
最近病気が流行りだしたとの話だが、もうかれこれ数十年は同じ状態である。
そんな状態でも滅亡せず、人口を維持できているのは素晴らしいことだ。
近隣の山に薬となる草があるらしいが、探しに行った人間はことごとく戻ってこないらしい。
町長からはその草を採ってくるように要請された。
しかし、そんな危険な場所に行くべきなのか考えた。
「自己責任」という言葉が頭をよぎった。
答えは出た。 そんな場所に行く義理もないので無視をして次の街へと向かおうというのが結論。
そのまま街を後にしようと出口に向かうと、町人に結界を張られてしまった。
出ることができるのは山への一本道のみ。
完全にはめられてしまったようだ。
その日は宿屋に泊まり(代金はしっかりと取られた)、次の日に山に向かおうとすると問題が発生した。
仲間3人が深酒をしてしまい、状態異常「2日酔い」を発症していたのである。
魔法を詠唱できない魔法使いと僧侶、もともと役に立たない遊び人を引き連れて、なんとか山の頂上まで辿りついた。
そしてお決まりのパターン、ボスの怪鳥「ガルーダ」が草を守っていた。
猛攻をしのぎ切り、何とか退けることに成功した。
遊び人が「ツバメなら退治できた」と言っていたが、意味が違ってしまっている。
草をカースに届けると、町長からお礼の品が手渡された。
土地の銘酒が30本ほど。 飲めない俺には無用の長物。
そして次の日、やはり2日酔いの3人を連れて次の街へと旅立った。
勢いで書き上げましたが、この先続けるかはわかりません。