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作者: ぱなっぷ

彼氏と別れた直後、私はこの失恋を次の恋で埋めることに躍起になっていた。友人を誘って合コン、ありきたりな話。

友人は奥手で清純、恋愛にはあまり慣れていないタイプの女の子。私は憧れていた。その爽やかさ、理想のおんなのこ。友人は合コンで仲良くなった人とも「緊張しちゃって、お話できなかったな」うまくいかなかったと話をしていた。

私はその合コンで都合よくタクマと連絡先を交換して、何度かデートした。仕事帰りに待ち合わせて車で迎えに来てくれる。食事に買い物や映画デートをした。仕事が私と似ていて、話も合った。ぽっかりと空いていた隙間が埋まる。

彼氏とはなんで別れたのか。私の幼稚さを振り返ると頭が痛い。社会人になって、学生の時とは違う生活。仕事、環境の変化にお互い苦労していたはずなのに、理解せずに会えない、愛情表現の少ない彼氏に苛立ち大切に出来なかった。お互いに、どうしていいのかわからなかったのかもしれない。

空いた隙間に入り込んでくる新しい男に対して気を許すのはとても早かった。

仕事帰り、食事をして車でドライブしながらたわいのない話をしていた。いつもの流れ。

「運転疲れたから家行ってもいい?」

一人暮らしの部屋は少し散らかっていたので迷ったが、「無理しなくていいよ」と言われると断れなかった。

部屋で少し話をして、テレビを見ていた。

「こっちきなよ」

床に横になっていたタクマ。迷った。でも断れなかった。

失恋の穴が、確実に埋まった。

本当に単純で、セックスで大事にされることが幸せで好きだ。

一緒にいることが心を満たした。

タクマの家に行って映画をみてセックスした。

そのうち「ジャグジー入りたいな」

と言われてラブホで会うことしかなくなった。

「一緒にお風呂入ろうよ」

一緒に泡風呂ではしゃいで。

セックスした。

失恋の穴を埋めてくれた新しい恋。

セックスしても片思いしていた。

一緒にお風呂はいっても。一緒に映画みて部屋で寝転んでいても。

絶対に成功しないと分かった分、学生時代にしていたただの片思いを思い出して苦しくなった。

大人になった今の片思いの方が苦しい。

あの頃のようなこれからうまくいくような期待のこもった片思いじゃない。

セックスしても繋がらない。


そのうちに会わなくなった。連絡しても返信がないことが増えた。

「じゃあもういいや。」

最後の言葉が残る。

また穴が空いた。




大きくなって残る

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