ちょっとおかしな二人の日常
よろしくお願いしますm(__)m
あるところに、男の子と女の子がいました。
「好きです!夢ちゃん!!
付き合ってくださいっ!」
「ごめんなさい」
顔を赤くしながら頭を下げて告白する男の子と、それを笑顔で断る女の子。
二人にとってはいつものことです。
「夢ちゃん辛辣だな~」
「真もこりないしな」
そんな二人の日常は、周りにとっても日常です。
ですが、二人は少し変わっていました。
──夢ちゃんside───────────────
「おはよ~。優ちゃん」
「おはよ。………あんたまた朝から告白されてたね」
「うん」
優ちゃんは夢ちゃんと仲良しのお友達です。
「本当に……真くん………」
「…………」
「…………すっごくかわいいよねぇ!!」
「…………」
何度も聞いたことのある言葉ですが、優ちゃんはいつも冷たい目で見てしまいます。
それも仕方ないでしょう。
「顔を赤くして照れながら頭さげてるの本当にかわいくてかわいくてかわいくてっ!!
それからっ、ごめんなさいって言った後にがーんってちょっと涙目になるのもすっごくかわいくてね!!
もうすっごく好きっ!!!!」
「…………あっそう」
夢ちゃんは真くんのことが大好きですが、やばい感じの性癖をお持ちでした。
「優ちゃんもそう思わない!?」
「あー。まぁかわいいんじゃない」
優ちゃんは大分テキトーに答えました。
「…………優ちゃん。
優ちゃんとは絶交したくないよわたし……「なぜそうなった?」」
「だって……優ちゃん…………真くんのことかわいいって…………」
「いやあんたに合わせて言っただけだよ!?」
「合わせなくったってそう思うよ!
真くんかわいいよっ!」
「めんどくさいな!!」
いつも夢ちゃんに優ちゃんはツッコミを入れています。
大変です。
「ごめんなさい…………」
「いや良いよ。慣れてるし。
………てか、そんなんじゃ真くんが他の女の子好きになったらどうするの?」
「…………」
ポロッ。
夢ちゃんの目から涙が滝のように流れました。
「…………ぬ………よ」
「ごめんなんて?」
「…………死ぬ………よ。
自殺する…………」
「やめなさい」
夢ちゃんは真くんのことになると情緒不安定です。
「じゃあ告白オッケーして付き合えば良いじゃん。
ダメなの?」
「………んー。付き合いたいって気持ちなのかよくわかんないんだよね」
「どういうこと?」
「私の中で真くんは………そういうんじゃなくて………」
「うん?」
「なんていうか…………愛でたい」
ガタッ。
優ちゃんが椅子から落ちそうになりました。
「大丈夫!?」
「うん、平気。………ちょっとひいただけで」
「ガチトーンで言わないでよっ!!」
夢ちゃんはかわいくておしとやかで成績も良い子ですが、変わった子でした。
では、次は真くんをみてみましょうか。
──真くんside────────────────
「おはよう、尚」
「はよー。今日もまた盛大にふられてたな」
「うっ………」
尚くんは真くんと仲良しのお友達です。
「でも今日も夢ちゃんかわいかったな………」
「………」
「天使だよ…………ありがとう生まれてきてくれて」
「いや怖い怖い怖い」
「え?」
何度も聞いたことのある言葉ですが、尚くんはいつもひきぎみで真くんを見てしまいます。
それも仕方ないでしょう。
「でも今回口角がいつもより五度程度上がってたんだ!
いつもより笑ってたんだよ!!
メモっといて次の告白にいかさないと!」
「…………お前ヤバイな。
てかそこまでくるとホラー」
真くんは夢ちゃんのことが大好きですが、少し変わった子でした。
「好きになったら普通だろ?」
「へー。ちなみに例えば?」
「好きな子の毎日の行動について調べて明日の行動を予測したり好きなものを把握したり毎日告白したり「もういいもういい」」
「もういいの?」
「うん。……で?それのどこが普通なんだ?」
「…………何もかも普通じゃ「お前は普通を学び直せ」」
いつも尚くんは真くんにツッコミを入れています。
大変です。
「はっ!
そういえば今日は持久走がある!」
「え?マジ?」
「夢ちゃんに終わった後に冷たい飲み物持っていかないと………!!」
「お前ふざけんなよ。びびっただろ」
「ご、ごめん」
「………はぁ」
「じゃ、今のうちに買って冷やさなきゃだから行ってくる!!」
「え?待…………もう消えた」
真くんは風の如く消えていきました。
彼はいつも夢ちゃんのために走ります。
「あいつもこりないなー」
そして尚くんはいつもため息をつきます。
呆れているのです。
真くんはカッコよくて頭も良くて優しい子ですが、やっぱり変わっていました。
そんな二人の日常ですが、今日はいつもとは少し違っていました。
─────────────────────
帰り道のことです。
「やめてください」
「良いじゃんちょっと遊ぼーよ」
夢ちゃんは通りすがりの男の子にからまれていました。
「痛っ………」
「ちょっとだけで良いからさ………」
通りすがりの男の子に腕を掴まれた夢ちゃんは怖くなりました。
その時です。
「「!?」」
誰かが通りすがりの男の子の手を掴み引き剥がしました。
そう、真くんです。
「何すんだよ!?」
「それはこっちのセリフなんですけど。
嫌がってるのわからないんですか?」
「っ…………お前に関係無いだろ!」
「は?」
低い声が真くんの口から出ます。
「こっちだってあんたなんかと関わりたくないっつーの。
こっちが何年想い続けてると思ってんの?
本気でもないポッとで野郎は消えろ」
「ヒッ………!」
あまりにもすごい剣幕だったので、通りすがりの男の子は逃げていきました。
「大丈夫だった!?夢ちゃん!?」
「…………う……ん」
夢ちゃんはぽわーと夢ごこちになっています。
シチュエーションに酔っているのでしょう。
「あ………ごめん!」
真くんは握っていた夢ちゃんの手を離します。
さっき、通りすがりの男の子の手をはがす時に夢ちゃんの手を握っていたのです。
「…………」
すると、今度は夢ちゃんから真くんの手を握りました。
「へっ!?」
「…………今日だけ…。
……ダメかな?」
「っ…………」
顔をお互い赤くしながら手を握って歩き出します。
ちなみに、二人の内心はこんな感じです。
─真くんside─
えっ!?夢!?夢………じゃないよな!?
てか夢ちゃんかわいい!!
─夢ちゃんside─
真くん顔真っ赤だ。
かわいいなぁ。かわいいなぁ!!
『嫌がってるのわからないんですか?』
………カッコよかったな。
「好き……」
「え………」
思わず夢ちゃんは気持ちを声に出してしまいました。
………え?思わず言っちゃった………!?
どうしようどうしようどうしよう………!!?
慌てる夢ちゃんです。
………が。
「ごめん夢ちゃん。
もう一回言ってもらって良い?」
真くんは物語でよくある要素の“話の構成のために都合良く聞こえなくなる耳”をお持ちでした。
「………な、なんでもないよ」
そして夢ちゃんも思わず言ってしまった言葉をもう一度言える図太さは持っていませんでした。
そして二人は歩き出します。
そんな中、またもや物語でよくある要素の“タイミングの悪さ”をお持ちの真くんは気づきません。
少し後ろを歩く夢ちゃんが、今までにないくらいにやけていることを。
さて、真くんはいつ夢ちゃんの気持ちに気づくのでしょうか。
ですが、これも二人の日常です。
では最後に一言。
………これで付き合ってないってどういうこと?
ここまで読んでくださってありがとうございます!
衝動的に書いた作品ですが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです!!
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