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くろは確かに元気がないように思えた。同じ兎小屋の中にいる白兎のしろと比べると、それは明らかなことだった。
しろは元気に長い耳をぴくぴくさせながら、餌を食べているのに対して、くろはずっと眠っているようにして、ほとんど動いたりしなかった。(餌もあまり食べていなかった)
美月はただくろは眠いのかな? とか、ちょっと疲れているのかな? とかそんなことを思っていただけだったのだけど、真琴くんにくろが元気がないと指摘されると、急になんだかすごく不安になってきてしまった。
「……病気かな? あるいはなにかストレスがあるのかも」
真琴くんが言った。
「病気? ストレス?」美月が言う。
「うん。体の何処かが悪いのか? もしくは、この狭い小屋の中の生活にストレスを感じているのかもしれない」と真琴くんは言った。
真琴くんは美月と話している間、ずっとくろのことを真剣な表情で見つめていた。
「そうね。少しほかの先生とも相談して、専門のお医者さんに見てもらったほうがいいかもしれないわね」と梅子先生が言った。
それで、そのあとはいつものように兎の世話をして、美月は梅子先生にさようならをして、真琴くんと一緒に小学校を下校した。
いつもはとても楽しい下校時間なのだけど、この日は美月はくろのことが心配で、なんだかあまり、いつものように笑顔で真琴くんとおしゃべりをすることができなかった。それがすごく美月は残念だった。




