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「真琴くんはどうして真面目に兎のお世話をしているの?」と美月が聞くと、「……動物、好きなんだ」と乱暴者の真琴くんは少し照れ臭そうに顔を赤くしながらそう言った。
「そうなんだ」美月は答える。
「悪いかよ?」
「ううん、別に悪くないよ」と言って美月はにっこりと笑った。
その日の下校の時間。美月は、そうなんだ。真琴くんは動物が好きなんだ。と、そのことだけを考えて家まで帰った。その日の夜。美月はずっとご機嫌だった。
「美月ちゃん。うさぎの世話どう?」
次の日の学校の放課後の時間に、友達の南野絵美が美月に言った。
「うん。やってみると、意外と楽しい」
にっこりと笑って美月は答える。
「へー。そうなんだ」絵美は言う。
「じゃあ、私も立候補すればよかったかな?」
「今からでも変わってあげるよ」
美月は言う。
「え?」
そう言うと絵美は目を大きくして驚いた。
「えっと、……やっぱりやめとく。なんだかんだ言ってめんどくさいし」へへっと笑って絵美は言った。
「真琴! 帰ろうぜ」
そんな声が聞こえたので、美月と絵美はおしゃべりをやめて声のしたほうを見た。
尾瀬真琴くんにそう声をかけたのは、真琴くんの友達の新井勇気くんだった。
「悪い。今日、兎の世話があるから」
帰り支度を終えた真琴くんは、椅子から立ち上がってそう言った。
「真琴。真面目に兎の世話してんのな。意外と」勇気くんは言う。
「まあな」
そう言ってから、真琴くんは顔を動かして美月を見た。
真琴くんと目と目が合って、あっ、と思って、美月はその顔を赤く染めた。




