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種族選択①



「──さて、既に理解していると思いますが、今の貴方には生前の身体は無く、意識を持った“球体”となっています」


 うん、知ってた。さっきから口を開こうとしてたけど全く動かないし、ていうか口がそもそも無いし。今までの会話は女神様が僕の思考を読んで応えてくれてただけというのも理解していた。


「転生する方法は大まかに三つあります」


 女神セレスティン様が人差し指を僕に向けてから、転生方法を説明していく。


「一つ。生前の肉体をそのまま再構築して異世界へと転生する。これが数ある転生手段の中で(もっと)も多い要望ですね」


 女神様曰(いわ)く、やはり転生前の肉体に不満を持つ人間が多いらしく、誰もが揃って美男美女となる容姿を望むらしい。


 こればかりは僕も共感出来る。多かれ少なかれ、人間という生き物は見た目に(こだわ)る種族であり、容姿というのはそれだけで人生を左右する要因の一つとなるからである。


 特に明確な要望が無いのならば大体の転生者はこの方法を選択するらしい。


「二つ。既に存在する生命体に憑依する形で、その者の“記憶”と“経験”を受け継いだまま転生する方法。これはあまり要望の少ない転生手段です」


 (いわ)く、原住民の地位と経歴を受け継ぐことが出来るのだが、余程精神的に強い人間でなければ元の人間との記憶の混濁(こんだく)が起こり、最悪の場合は精神が崩壊して廃人になってしまうのだとか。


 流石にリスキー過ぎて選びたくない転生方法なので不人気とのこと。


「三つ。哺乳類型の生物の胎児となり、母親から産まれることによる転生。これも一つ目と同じくらい選ばれてる方法かな」


 一つ目の転生と大きく違う点はやはり“親”という観点である。既に自立した状態からの転生か、母親から産まれてゼロから人生を積んでいく方の転生かという選択肢。


「──と言っても、君は既に方法は決めているんだよね?」


 はい。三つ目の転生方法でお願いします。


「了解しました。君はオギャー状態からの転生が好みという訳だ!中々にお目が高い選択だよ!」


 オギャー状態とは如何(いか)に。まあ表現はともかく認識としては間違ってないけども。なんだか妙に情けない心境に陥っている。


「なら次は種族選択だ!君の目の前にあるプレートの候補の中から選ぶが良いぞ!」


 突如として眼前に現れる羅列した文字が記されたプレート。何故急に尊大な態度になったのかと内心で思いつつ、じっくりと目を凝らして種族一覧を拝見してみた。


 だが、


 ────転生先の種族多っ!?


 そのあまりにも細かく指定された種族一覧に愕然とする。人間を始めとして、獣族やら魔族に竜族。海洋生物から天空に住まう生物etc。


 しかも更に頭を悩ます項目が、


 ──人間の枠だけで貴族やら平民やら下民やら奴隷とか。奴隷に至っては誰が選ぶのか(はなは)だ疑問である。


「その疑問は至極当然だよ!最近の転生者ときたら細かい注文が多くて多くて我が(わがまま)なんだから!こちとら人間世界の階級なんてどうでもいいってのに!」


 またしても女神セレスティン様の愚痴が始まってしまった。先程とは違い、今度のは長くなりそうな予感がひしひしとしている。


 僕が転生するまでの道のりは遠くなる一方であり、思わず溜め息が漏れてしまっていた。




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