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女神様との邂逅


──────────


 目が霞むような白い空間。


「おめでとうございます!貴方は記念すべき100人目の転生者となりました!」


「・・・・・・」


 目の前の光景から一変した途端にこれである。最早、驚きを通り越して呆然とする他なかった。


 さらに目の前の女性は矢継ぎ早に言葉を並べ、玲央の状況を細かく説明していく。


「残念ながら貴方の生命は今日を以て終了してしまいました!どうでしたか?充実した人生を送れましたか?」


 (よわい)17歳で短い人生でした。


「だがしかしっ!悲観することはありません!」


 やや大袈裟な動作をし、腕を大きく広げてから女性────いや、もう女神様と呼ぼう。どうせありきたりなテンプレなのだから。


 兎も角、その女神様は僕に向かって最早お決まりの台詞を堂々と告げていた。


「私の管理する世界で貴方は再び生を得ることが出来る“権利”を獲得したのです!」


 夢にまで見た異世界への転生。まさか平々凡々な自分が廻り合うとは思わなかった。


 と、そこで女神様は一旦言葉を止めてから再び僕へと視線を合わせる。


「いやはや、貴方のような人間に説明するのは楽で良いですね。すぐに現状を理解して次のステップへと思考を巡らせてますから」


 はい。自分、軽めのオタク気質なもので。


 偉大なる女神様の大切な時間を消費する訳にはいきません。無理無駄なく過ごすのがモットーですから。


「うむ、物分かりの良い子は好きですよ。君の前に来たご老人は耳が遠くて、私が必死に叫んでも全然理解してくれませんでしたし!」


 おっと、愚痴が始まったかも。


「聞いて下さいよ!その前の前なんかね、あろうことか私をナンパしてきたんですよ!私、こう見えて神ですよ神!身の程を知れってんですよ!」


 うわー、老若男女構わず転生させてるのか。それは対応が大変だよね。御愁傷様です、はい。


「だけどね、神様事情も複雑なのよ!年に100名は転生させないといけないし、転生者のアフターケアもしないとだし・・・・・・」


 って、ノルマがあるんかい。サラリーマンじゃないんだからそんな神様事情知りたくなかった。


「でもでも、ようやく100人目に到達したのよ!君を問題なく送り出せば晴れて私はのんびりだらだら出来るって訳なの!」


 なんとそれは、おめでとうございます。のんびりだらだら最高、働きたくないでごさる。


────あ、でもそんな間隔で転生者を増やしていたらその世界って転生者だらけになりませんか?


「大丈夫、大丈夫。転生者ってすぐ死ぬし、傲慢で強欲な人間ばかりだから数年で勝手に自滅していくのよ。何事もなく天寿を全う出来るのはほんの一握りだからね」


・・・・・・異世界、恐ろしい。


「まあ、でもそんなに気にすること無いよ!人間死ぬときは死ぬんだから、そんな小さなことでくよくよしてたら身が持たないよ?」


 決めた。二度目の人生は波風立てずに大人しく過ごしていく、コレ絶対。また死にたくない、三度目は流石に無いと思うし。


「よしよし、積もる話もあると思うけど、早速転生するための手順をぱぱっと済ませちゃおう!」


 神様事情とか異世界事情は後々に説明してくれるとして、今はただ二度目の人生をより快適に過ごすためのプロセスをしっかりと行うことにする。この選択が僕の一生を左右する重要な事なので後悔のないようにしたい。


「────では、後れ馳せながら“女神セレスティン”の名の元に、転生者“如月 玲央”の種族選択へと移行したいと思います」


 美しい容姿に相応しい真名を告げた(のち)、女神様は僕へとその言葉を届けていた。

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