夜のお愉しみの量はどこまで盛れるか
十代半ばか後半か、傾城の美少女を囲い込み、夜ごと五回も十回も…
若い男の理想妄想大爆発である。
気持ちはわかる。俺にも覚えがある。しかし、だ。それなりに経験を積み、酒の肴に昔の武勇伝を披露して笑いを取るような歳になってくると、経験が浅い頃にはわからなかった機微ってヤツが多少なりとも見えてくるようになる。
そんなオヤジの目から見ると、だ。数人と同衾するのは、まぁいい。自慢じゃないが俺にだってそれに近い経験はある。しかし、だ。毎晩々々10回ずつこなすのは、だ。ハッキリ言って不可能、だ。
1回の時間。どのくらいに見積もる?
ちゃんとした手順を押さえるなら、最低でも1時間は欲しい。内訳は大雑把に、前戯20分+挿入20分+後戯20分。これが最短。余談だが例えばラブホ。シャワーなどの事前準備と事後の着衣などに要する時間もおよそ1時間。だからラブホの御休憩は2時間に設定されている、と思う。
ハーレムという事で全員と一つ布団に入っているなら、次から次へと流れ作業で、その過程で後戯は省略できるかも知れない。そうすると1回で大体40分ほど。10回だと400分、およそ6時間半になる勘定だ。
毎晩6時間半も休まず動き続けるハーレム男の体力は、ハッキリ言って賞賛に値する。昼の肉体労働なら、なんだかんだで2〜3時間おきに休憩が入るし。その辺は剣と魔法の異世界らしく、魔力による体力強化で補っているのだろうか。
しかも、その時間は睡眠時間を削っている。照明完備の現代日本と同じ条件なら、平均睡眠時間は7時間半。ハーレム男の眠る時間は1時間になってしまう。1日2日ならともかく、毎晩ではとてももたない。もたない所を無理したらどうなるか。ほとんど寝ずに女の相手、を週に2回のペースで続けた結果、きっちり3ヶ月で40℃の高熱を出した。こんな高熱が続くようだと歳を取ってから腎臓が悪くなると医者に脅された。
照明が全く無くて日の入りから日の出までが夜の時間なら、平均12時間となる。それなら睡眠時間は5時間半を確保できる事になる。俺なら寝不足になってしまうが、ハーレム男がいるのは異世界だ。魔法による疲労回復を使えば何とかなるかも知れない。毎晩10回を維持する為に疲労回復魔法とは、どうも納得いかないが。これは義務ではなくて権利のはずではなかったか。いやそうか、体力回復ポーションか。夜ごとハッスルする為にドリンク剤を飲むというのなら、まぁわからなくはない。
それともう一つ。10回連続、出せるか?
実際にやってみるといい。上記の見積もり時間を考慮して、40分に1回ずつを10連続。それを毎日。いくら若くて色々有り余っていても、普通の男ではかなり辛いのではなかろうか。
普通ではない絶倫男ならどうか。こういうモノは男性ホルモンが大きく影響していて、分泌過多の男なら、2時間おきくらいなら5回6回は毎日でもイケる。というか、イケた。うん。あの頃は俺も若かった… 残念ながらその頃の俺は童貞だった。有り余る性欲をぶつける相手がいなかった。その先は察してくれ。
事程左様に男性ホルモンは性欲を左右する。余談だが、積極性やら集中力やら何やらの源泉でもある。英雄色を好むという言葉が頭に浮かぶ。残念ながら俺は英雄にはなれなかった。だがハーレムを作って維持できる程の性豪が英雄になるという話には、それなりの裏付けがあるという事だ。
但し。代償として頭髪に対し大きなリスクを抱える事になる。え?俺?察してくれよ、頼むから。