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FILE3:戸惑いの黄昏

「・・・・・・(汗)」

「・・・・・・・(ニコニコ)」





どうすればいいわけ・・・?この状況・・。



オレは冷や汗をかきながら 微かにある思考で考える。




蜂蜜色のテンパ少年は

ニコニコしながらオレを見続ける。



そう、コイツには言いたい事がたくさんあるのだ!

けどさ!けどさ!!



いきなり登場はないだろっ!逆に反応に困るわっ!




思いっきりため息をついて 頭を軽く掻き毟る。


とりあえず一番無難な質問をしてみるか・・・。




「えーとさ・・・とりあえず聞くけど、君何?」

「何って・・「幸せ屋」だよ?」

「いやそうじゃなくてね・・・・」




元々!幸せ屋ってなんなんだぁああああああぁぁああッッッ!!





心の叫びが 空しく響いた・・・・。





           



             『戸惑いの黄昏』






オレはたぶん、

生まれて感じた事が無いほど 焦ってる。



だってさ?今日悩んでいた元凶が目の前にいるってどうよ?

というか幸せ屋ってなに?幸せを運ぶって?

というか なんでオレ 昨日気絶したんだ!?



不思議なことだらけで 頭を抱えて蹲る。



「・・・?気持ち悪いんですか?」

「ちゃうわっ!というか こうさせてるのテメーが原因ッ!」

「えぇ!?ぼく悪いことでもした?」

「無自覚かぃっ!こっちは困ってんだよ!?」




幸せ屋はオロオロして 心配そうにオレを見る。

顔はレインコートで見えないが 幸せ屋も困っている様子だ・・・。




コイツ・・・ホントにわかってねぇ・・・。





子供だからと言ったらそこで終わりだけど

少なくとも説明してほしいよ・・・こちら側にとっては・・。





ハァァ・・・。オレはため息をついて

幸せ屋の方を見る。




レインコートで顔が隠されているはずなのに、

眼とかわからないはずなのに・・・なぜか表情とかイメージできる。



あっちも訳わからなくて・・・ たぶん泣きそうだ。




(ヘタして地雷踏んだら・・)




さらにメンドクサイことになる・・・というか、自分の良心が痛む。

『幸せ屋』と名乗っていたが・・・子供だし・・・、




自分が子供を泣かしてしまうのは・・気持ち良いことでもないし。






「幸せ屋さん・・まず自分の事説明しないと 元も子もないだろ?」



できるだけ優しく話しかけてみる。

まずは説明して貰わなきゃ、話にならないし!



幸せ屋はキョトンとしてたが

言葉の意味がわかったようで、ニコッとして話し出した。




「そうだったっ!ごめんなさい、まだ説明してなかったね!」




そう言って 持っていたバックから

何かを探し出した。・・・・バックというか、ランドセル。





・・・・子供特有のボケ属性みたいけど、理解力はちゃんとあるな・・・。





幸せ屋が自分のバックで何か探し出した時

ボー・・とそう考えていた。



(でもけっこう可愛いなぁ・・晴香が見たら、抱きついて喜びそう・・。)





             【五分後】





「あったあった!これ名刺です!」

「・・・・・名刺?」



渡されたのは 黄色い紙の名刺と、白い・・布?


何かが白い布に巻かれているようだった。




(め、名刺より布のほうが気になる・・・!)



怪しい・・本当に怪しい。

何が入っているの?それはめっちゃ気になるのだが

とりあえず 名刺を見てみた。




可愛らしいカエルの絵が描かれていて

字も自分で書いたのか、少し汚い。


          



         「幸せ屋」  


       Name:Rain・Blue bird

       8/01生まれ 六歳


       貴方に「笑顔」を運びに来ました。

       よろしくお願いします。






「え、ラ、ライン?何コレ、なんて書いてあるの?」

「・・・・千秋さん、本当に高校生?」

「うるせーっっ!!英語は苦手なんだ!」

「・・・・。中一レベルなのに・・・。」



幸せ屋に呆れた目線で見つれられ

非常に空しくなっていたぞ、こっちはっ!!


なんで日本人が英語を話さんといけないわけ!?

日本語で十分だろーが!!




ほぼ泣きかけで少年を見ると

「レイン・ブルーバートって読むの!」と助言を貰ってしまった。


その言葉でさらに落ち込む・・・オレ・・・(滝涙)



ドーン・・・一年生に注意されるって・・・。




「えーと・・話、続けていい・・?」

「・・どうせオレはどうせオレはどうせオレはどうせオレはどうせオレは

 どうせオレはどうせオレはドウセオレハドウセオレハドウセオレハどうせおれはどうせおれはどうせおれha・・・・。」

(気にしてたんだ!英語読めないの気にしてたんだっ!)




幸せ屋は途方にくれた表情をしていたが

オレはそれどころではなかった!

オレのガラスハートが傷ついた!めっちゃヘコんだ(涙)


※千秋は五教科の成績ボロボロw




           

            【そして夜】





「・・千秋さん・・・もう夜・・。」

「マジで!?それいってよ幸せ屋ぁ!」

「・・・・。(言ったけど、反応なかった・・・)」



外を見ると 綺麗は夕日は完全に身を潜め

町が 世界が  『夜』の姿へ変わりきっていた。



空を見れば 星がキラキラと光ってる。

まるで 宝石箱の中身を零したように・・・。






ぐるるるる〜〜〜〜。





その時、少し間抜けな音がして





「・・・・ん?」



なんか、腹の音が鳴った?


幸せ屋の方を見ると 恥ずかしそうに腹を抱えていた。




「・・腹・・・減ってるの?」

「・・・・・・!!////////」



顔を赤くしながらを小さく頷く幸せ屋。


その行動 オレでも認める可愛さ!

元々世話好きな性格なので ついつい世話をしてしまう性分。


ついつい こう言ってしまった。




「腹減ってんなら・・オレんち来るか?」



簡単な料理なら作ってやるよ?

チャーハンとか けっこう上手いしw



少し笑いながら幸せ屋の頭を ポンっと叩く。




「・・・・・いいの?」


幸せ屋は申し訳なさそうに 小さく呟く。

こんな怪しいヤツを家に入れてもいいのか・・・?


そう言いたいらしい。




「いいよ?夜に腹減らしたガキをほおって置くわけにはいけないしね」




少なくとも悪いヤツではなさそうだし、

話は家に帰った後でも聞けばいいだろうし・・。



家に誰もいなくて・・・一人でメシ食べるのは・・・サビシイシ。





ちょっと照れくさくなって 赤くなりながら頭を掻いた。






やっぱり、事故に巻き込まれた日から  オレ変わっちゃった?






「・・・・ありがとう・・・。」




本当に本当に嬉しそうにふんわり微笑んだ。

ちょっと大人っぽくて それで子供の・・・・彼の表情。



眼とかは見えないけど・・その笑顔に

また照れくさくなって オレも、笑った。






「いいってことよっ!じゃ下に降りるよ」



鞄を手に取り、ドアの方に歩こうとすると・・・・。







『その必要は無いよ』






幸せ屋はニヤリと笑って 傘を手に取る。





「千秋さん、ぼくが妖精だって事 忘れてないかな?」



貴方は高い所大丈夫だったよねっと一人で勝手に話を続ける。





「はぁ?それってただのデマじゃねーのか!?」

「いーや?噂はほとんど合ってるよ?

 「幸せ屋」は幸せを運ぶ妖精だしねっ!」




カエルの傘を開かせると

幸せ屋は窓を開けて 窓淵を掴み

そこに上っていく。




「て、テメー自殺するつもりか!?」




此処から落ちたら即死だぞ!?

まさか傘で空飛ぼうとしてるのかぁ!!


焦るオレを見て 面白そうに笑う幸せ屋。




「いや、せっかく晴れてるんだし 帰るなら・・・・。」




一歩 前に進む。




「バッ・・・・!?」






幸せ屋は落ちなくて、



それどころか・・・・・。





「夜空を空中散歩して帰ってみたくない?」




幸せ屋は 空中に立っていて


オレに手を さしのべる。





あきらかに非現実的な光景に

頭がぐるぐる混乱して  




現実と夢の狭間にいる錯覚を覚えた。




(・・・・夢でも、いいや。)




ただ空を歩いてみたいという『興味』と『夢』が


ちっぽけな 常識を吹き飛ばした。




「・・・・落とすなよ・・・?」




苦笑して 幸せ屋の手をとる。




幸せ屋は 普通のヤツなら

絶対やらない行動にでたオレに驚いたように 眼を見開かせた。



でもすぐ笑って オレを引っ張りあげた。








外に出る瞬間  



なにか自分の中が 壊れてしまった気がしたけど




オレも空中に立って 妙な浮遊感に包まれた時





すぐにどうでもよくなった。







―――――― オレが築き上げてきた『日常』が

              静かに 壊れ始めた――――――――――――



                





 

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