Episode4.結界島への道中
病院の開かずの扉を開けるとガス灯が灯っている暗い地下運河に繋がっていた。
「これが病院の一部なんですか?」
ふと煙草を吹かし始めた義父、金城宗武に聞いた。
「あまり大きな声で言うなよ。ここの秘密を知るものはこの金城家しか居らぬ。ここは、秘密の倉庫とだけしておる。」
俺と父は、地下運河にあるボートで結界島に向かった。新しい新天地が徐々に近づいている。胸の中は期待と不安が入り交じっていた。
「ここからどの位で着くんですか?結界島までは。」
「およそ、30分ほどで着く。存外、国と近いのだ。結界が張ってあると日本国民には見えないが、反対にうちらの島からも日本国が見えない。マジックミラー的結界は張ることが出来なかった。とは言え、国防において結界は無敵の装甲である。あの島は絶対にレーダーにも映らん。」
父は島のことについて語り始めた。結界島で生まれ、そこに愛があるからである。
「結界島……行くのが楽しみです。きっと良いところなんですよね?」
「楽園だよ。どの職業にも別がないからな。公務員が畑やったり、農家が副業で事務やったりとメインはあるがそれ以外の副業も認めておるよ。週休二日制でその中の一日は副業デーになっておる。その為、食糧自給率は約90%となっておる。風呂は温泉、結界山から涌き出る硫化泉が体を癒やしてくれる。まあ、行けば分かるよ。」日本国とは全くかけ離れている結界島の現状に驚いていた。
花京院家は、普通の家系だと言った気がするが、貧富の差が拡大している中ではまあまあ資産があった。良く日本経済が成り立っているという有様である。その為、強盗、殺人、ハイジャックなどは頻繁に起こっている。ひいては、警察までもが法人化するようになってしまった。