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Episode3.聖フレイドル病院からの退院

トイレから出た後、学校生活について話を聞いたりして久し振りの幸せを感じた気がした。

「お兄ちゃん。また来るね。」

どうやら、俺を兄だと信じて疑わない天使、金城聖南はほんの数十分で希望と同時に数多くの謎を運んできた。生きる気力が半分なかった、生き霊みたいな俺を回復させてくれた彼女は、新たな自分を産み落としたコウノトリのように感じた。


入院してから3ヶ月目のある日、6月後半の頃だった。外は段々と暑さを増してきていた。そんな時節、病院を退院する事になった。俺には、花京院家の遺産が残っていた。当初はそこから医療費を捻出しようと思っていた。にも関わらず、金城家が全て支払ってくれた。

「護!情けない。次期大統領ともなるお前が遠足中に行方を眩ませよって。高校は来年受け直せ!だが、これからは優しく接することにしよう。」聖南の父はそう言っていた。人間的には不器用そうな男であるが、信用のおける人には間違いないように感じた。

「お兄ちゃん。一緒におうちに帰ろ?」聖南の小悪魔スマイルに身体がやられそうになった。

「そうだな。心配かけてすまなかった。」俺は金城護として生きていくことを決意した。例え、完全に金城護になれなくても、聖南が頼りにしてくれるお兄ちゃんを目指すことにした。


「聖南。護と話すことがある。先に戻っていてほしい。」義父ちちはそういった。聖南はそれを聞いて少し不機嫌になったが、すぐに立ち去った。

病院のカフェで俺はキャラメルラテを、父はブラックコーヒーを注文した。

5分もたたないうちにコーヒーは出来上がった。そして父について行くと、精神病棟の一角にあるカウンセリング室に入っていった。


「花京院雫君だね?初めまして。精神科医、金城宗善から数えて四代目となる金城宗武と申します。」

「聖南さんから聞きました。大統領の家系であると。それで一体どのようなご用件でありましょうか。」


「もうすでにご存じだったか。領地のことは知っているのか?」

「領地は分かりません。どこにあるのですか?」俺はまだ結界島のことは全く知らなかった。地名さえも聞いたことがなかった。


「私達は、結界が張ってある為に地図には載らない島に住んでいる。結界島と呼んでいるがね。どのような用件だったな。実は結界島政府次期大統領となる息子が失踪してしまった。あなたに顔がとてもよく似ていたよ。俺は、お前を金城護として受け入れて、実の息子が戻ってきても息子としては認めるが正当な権威継承者とは認めない。お前さんに俺の息子金城護として生きてもらいたいのだ。」

「俺も兄として生きようと思っていたところです。優しい嘘でもいい。兄として聖南を守ってあげたいと思っていました。お義父さん。宜しくお願いします。」

「分かった。護。しかし、カードキーの発行がまだだったな。一瞬で終わる。指紋認証だよ。」父はカード発行の機械を持ってきていた。父の指示通りに指を載せて認証した。

『金城護……2130年6月26日生まれ、血液型はA型。』etc..書かれていたカードキーが発行された。

「聖南が待っている。早く島に向かうとしよう。」

「分かりました。父上。」

二人は病室の開かずの扉を開けて、中に入っていった。


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