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 秋も終わり、冬である。

 二学期の期末テストも終わり、カレンダーは十二月の中旬に突入。辺りの空気は、一気に浮つき始めた。

「まぁ、テストが終わって、もうすぐ冬休みで、正月だ。浮かれるのも仕方がねぇけどな」

「クリスマスをはぶいたのは、わざとですか、先輩?」

 呆れて言葉をかけながら、涼汰は土を掘っている。秋の花が意外と長持ちした上にテスト期間が重なって、かなり寒くなった時期に花壇を掘り起こす事になってしまった事が恨めしい。

 ただし、今回は山下も一緒に掘っている。

「うわ……マジでキチィな、これ……」

「でしょう?」

 他の十一の花壇は、既に作業が済んでいる。……が、今回は誰も、次の冬の花壇への種蒔き作業を開始していない。

「今までの事を考えると、今度は冬の花壇に暗号が埋まってるかもしれねぇからな。俺は……学習する男だ!」

 自称学習する男は、期末テストの結果が散々で「もっと勉強しろ」と両親、教師に怒られたという話だが。

 そうこうしているうちに、和樹の推理通り、箱が花壇の土中から顔を出した。今回も、今までと同じ箱だ。顔を見合わせ、開けて見る。やっぱりだ。

 

 霧を生みたる葵の学び舎。

 朗々たる音響く箱。

 横に築きし朱塗りの宮の。

 筆と寄り添い睦み合う。


「……出ましたね」

「……出たな」

 頷き合い、額を寄せ合って出土したメモ用紙を眺める。しかし。

「……何か今回の……花壇じゃないっぽくね?」

 山下の言葉に、涼汰はうなった。たしかに今回、土だとか根元だとか、埋まっていそうな言葉が見当たらない。

「……どうします?」

「とりあえず、今日は冬の花壇に手ェ付けられないつもりでいたしな。……よし。今日は解散! でもって、俺と浅海は、家に帰って着替えたら、すぐにフェンネルへゴーだ。良いな?」

「わかりました」

 他の園芸部員たちも、了解して帰っていく。涼汰と山下もまた、一刻も早く答えを得るべく、家路を急いだ。

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