部員紹介
「はい!じゃ、祝☆部員4人!というわけで、自己紹介しようか!」
しばし沈黙。
え、だだ、だれかしゃべれよ。
っていうか言いだしっぺのあんたが先に言えよ。
ふと、隣に座っていた加藤が立ち上がった。
「加藤由比。2年B組。ボーカル希望」
なんだ、今日のお前はなんだか積極的だな。
加藤が俺をじろりと睨んでいる。
え、なに、自己紹介しろと?
「あー…。増岡竜平です。ギター希望」
軽い、ほんとに軽い自己紹介だな。
「はぁいっ!わかりましたあー。じゃあ3年生の紹介するね。俺の名前は高橋優堵ピアノ。今はこいつと組んでますっ。」
その高橋センパイは無理やり隣に座っていた先輩を引っ張った。
「ほら、自己紹介っ」
メガネ先輩はしばし無言で俺と由比を見つめ、目をそらした。
なんなんだ。
「たなか。田んぼに菜っ葉の歌って書いて、田菜歌 拡」
間違えないでね、田菜歌先輩はそういうとその場から移動して自分のギターをいじり始めた。
こんな、変な先輩に恵まれて俺は大変、たいっへん、幸福、なのか、不幸なのか。
「あ、そうそう。君らね。バンド、何人結成なの?ギター、ボーカルだけじゃあ足りないでしょ」
「え?」
ああ。そうだよな。
俺ら二人じゃ、もの足りないよな。
あといるのは、二人くらい?
ベースとドラム。
そんなことを考えていると、由比が小声で俺に話しかけてきた。
「…たかと、めぐみ」
あー。そっか。俺、由比ときたらその二人だよねー。
覚えてないけど。
「この学校にいたっけ?」
「…いるよ」
じゃあ、勧誘といっときますか。
「明日、探そ。」
由比はこくりと頷いた。
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