幼馴染?
前回、増岡竜平、口が滑りました。
「は?」
「………」
視線が痛い。
ごめんなさい。
快楽の時間を邪魔してごめんなさい。
決してあなたの邪魔をしようと思ったわけではござーません。
ええ、そうですとも。
勝手に出た声が悪いです。
ええ、ほんと。
「リストカットって痛くない?」
ああ、またやってもーた。
どんな質問だよ。
「…べつに。すっと切るだけだし」
君もそう簡単に答えるんじゃありません。
女の子はすっと体を起こした。
不健康そうな体だ。
全体的に細くて、まっしろ。
白いアスパラみたい。
「さっきの、バンドとか、何?」
え、
ああ。さっき俺そんなこと口走ったんだっけ?
おおう、さっきいったことも忘れるなんて俺の脳もそろそろピークかな?
「実は、」
待て。
君の声がきれいだったから、なんて言ったら告白みたいだろ!!!
馬鹿馬鹿!アホ!まだ会ったばっかなのに!
ってゆうかこのこ、よく見るとすげー整った顔してんな。
目はきらきらしてておっきくて睫毛で影ができるくらい長い。
って何考えてんだ!!
俺は下心があってこのこを誘うわけじゃないよ?!
声!声に惚れたから!!
「実は、俺バンド部目指してて〜…」
なんて言い訳をだしてみる。
どうだ、食いつくか?!
「…ふうん。何で今頃?」
「え、あの、わかんないけど…」
とっさの言い訳に理由なんてありません。
理由を考えてみる。
うーん、えーっと、なんででしょ…。
なんて考えているあいだ、いつの間にか彼女の顔が目の前に。
う、うおお?!
もしや彼女もその気に?!
「ねえ、」
「はははっはい?!」
「君、俺と会ったことあるよね?」
え、それなんて逆ナン?
会ったことなんてありませんでしょうよ。
いや、でも同じ学校なんだから一度は…。
「小さい頃だよ。思い出せない?」
疑問系じゃなくて確定?
会ったこと、ねえ。
「君、増岡だよね?」
はい、そうですとも。
「昔よく、遊んだじゃん。『おか』って呼んでたじゃん。」
え、
おか?
なんか呼ばれてたような気が…。
俺って記憶力ないからなぁ。
そんな小さい頃のこと覚えてない。
『泣いてんじゃねーよ、くそばかおか』
あれ。
な、なんか変な記憶が…。
昔よく遊んでたのといえば…。
ゆい、めぐみ、たか。
あ。
「ゆ、い?」
「そう、あたり」
ふわりと、由比が笑った。
思い出した。
昔っから男っぽかった美少女。
いつも俺が泣かされてるとき俺を殴ってた、由比。
それと、あんまり笑わなかったたか。
あと、あんまし遊べなかったけど病弱そうなめぐみ。
いつの間にか遊ばなくなって、そいで、おんなじ小学校通ってたけどみんな違うクラスになっちゃって、それからもう話してない。
顔、忘れちゃってたよ!
「で、さっきのだけど。」
「う、うん」
「やろうか」
きらきらとした笑顔が綺麗で由比は俺を見ていた。
いきなりの展開のはやさについてけない。
けれど、
これからが楽しみだ。