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キズアト?

110日更新しなかったのは新キャラ君のキャラがなかなかつかめないからです☆

放課後、加藤と増岡が孝のクラスに足を運んだ。


「やっほーぅ。孝くん」

「…げ、何?」


孝は顔を顰めながら増岡を睨んだ。


「睨まなくてもいいでしょーっ。せっかく今日の部活にお誘いしようと思ったのにぃ」

「はっ?部活、で…?」

「バンド組もうって言ったでしょ?」

「…部活だったのかよ」


そんなこと少しも聞いてない。

孝は小さくため息をついた。


「部活だよー」

ニコニコとした笑顔がやけに鼻につく。

どうしてそんなに笑顔なんだ?


「増岡機嫌よすぎ」


突然後ろから声がした。

振り返るとそこには加藤がいた。


(…いつのまに)


加藤は気配なく現れる(様な気がする)


「加藤、気配もなく現れるなよ」

増岡もそう思っていたようだ。

「失礼だ」

加藤の手が増岡の頭部を殴る。

それでも何事もなかったように増岡は孝と会話を始めようとする。


「まあ、こんなところで立ち話もなんですから。部室でも行きましょうか」

近所のおばさんかなんかか。

この二人にはツッコみというものがいるのかもしれない。

そんなことを考えていると、増岡の手が自分の腕をつかんでいるのがわかった。


ハッとする。

腕をつかまれることはトラウマになっていた。

ソレが母の暴力の合図だったから。

震えたくないのに体が勝手に震える。


(落ち着け、コレはあの人なんかじゃない)

そう思っていても体の震えは止まらない。


「孝?」


震えはさらに止まらなくなった。

声は増岡だが、脳内で勝手に母の声に変換される。


『孝ッ!!!!!!』


やめてくれ。


『本当に駄目な子!本当にッ…!!あんたもあの人と一緒よ!!!私を侮辱してッ…!』


本当に。

やんでくれ、頼むから。

嫌なことしか思い出せない。


増岡が握っていた手を離したのがわかった。

それでも震えは止まらない。

(やっぱり、駄目なんだ。どこにいたってあの人を恐れることは変わらない)


バンドなんか組んだって、あの人は許してくれない。


「や、っぱ俺…」


バンドなんか組まない。

そういおうとした。

そのとき。


す、と自分の腕に何かが触れた。

由比の手だった。


(え、)

ただ、それだけ。

それだけのことだったのだが、なぜかものすごく救われた気がした。

震えが止まったから。


「大丈夫?」

「…あ、ああ…」


その光景を見ている増岡はぽかんと口を開けていた。


「えーえー…。大丈夫ぅ?」

そういって増岡は孝の肩をつかむ。

「おー…」


(一気に疲れた)


「今日はやめとこう」


そういって由比は孝の手を握り歩き出そうとしていた。


「んなっ!?」


突然握られた右手に孝は動揺を隠せず叫んでしまった。

「帰ろうか」

「そ、その前に手を離せよっ」

「具合悪そうだったからさ」


こいつの行動にはついていけない。

気づくと逆の手にも暖かさを感じた。

増岡までもが左手を握っていたのだ。


「ちょ、おい!」

「「帰ろっかー」」



両手に感じる手の暖かさに、なんだかもう反論する気がうせる。

(こんなんだれかが見たら変に感じるだろうな)


日常に少しは変化あり。



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