FILE.1→1 幻町
私は医者だった。
腕利きの医者と言うのは肩身が狭いものだ。 変な期待をかけられ、患者に2倍の信頼を置かれる。 だが、感謝の言葉は少なく 苦情は多い。
私はある手術で大きなミスをした。
腫瘍と一緒に血管を切ってしまったのだ、患者は死に 私は病気を去った。 人間は想像以上にシンプルで、失敗した者には冷たかった
今は、自宅のあるバッカスタウンで修理屋を営んでいる。 元々、医者だったから手先は器用で 町一番の腕と言われている。 町の人間は良い人ばかりだ 私のミスだって難しい手術だったからしょうがないと慰めてくれた。
でも最近、町の人達はあることに悩んでいた 今から2年くらい前、この街にクライム製薬会社がやって来て工場を建てた。工場は広く多分町の半分くらいはある。
(日本にある東京ドームとか言う建物と同じ大きさらしい)
そんな工場からはほぼ毎日有毒ガスや有毒廃棄物が街に流され、2年経った今では川が七色に輝いている。
私の近隣では身体の不調を訴える者が続出し実際 死んだ人間もいる。
クライム製薬に何回か抗議はしたが、まったくとりあってもらえず、我が社には関係無いの一点張りだ。
私は考えた、いったいどうしたらこの状況を変えることができるか?
あるアイデアが浮かんだ私は。取り敢えず白衣をはおり、倉庫に向かった。




