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ヒスティマ Ⅱ  作者: 長谷川 レン
第一章 進軍する者
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紋章


「あはははっ。今回の転入生は面白い子だね。私はアキって言うの」

「そうなのね! できれば私達と友達になってほしいのね! 私はハナなのね!」

「私はソウナ。よろしくね。アキさんにハナさん」


 なんか三人が自己紹介をするまでにどれだけの苦労が必要なんだろう……。

 ボクは心の中で溜まった疲労をなんとか回復しようとする。

 ……そう簡単に回復するような物でもないが。


「ところで、私とリク君の関係?」

「そうそう! どんな関係なのね?」

「どうって言われても……」


 ソウナが困ったような顔でボクに向いてくる。

 ボクはそれにニッコリと返した。


「ソウナさんはボクの家族です。ええっと、一ヶ月ほど前から一緒に住んでます」


 正直に返す。だって、これは確かなことだから……。


「なるほどぉ!」


 そう言いながらメモにシャーペンを走らせる。


「でも、あんまりリクちゃんとソウナさんは似てないのね?」


 ハナが疑問を投げかけてくるけど、尤もだ。別に血は繋がっていないのだから。


「まぁね。実際には居候なんだけど……。でも、ソウナさんはボクの家族だって自信もって言います」


 優しくそう言い放つ。ソウナはそれを聞くと少し頬を染めるのが見えた。


「おぉ。なんかリクちゃんがかっこいい」

「かっこいいのね! かっこいいのね!」


 感心するアキと跳ねるハナ。

 その間もメモにシャーペンを走らせるアキ。そこで思いついたようにハッとした。


「そう言えば二人に質問なんだけどさ」

「なんですか?」

「答えれる物だったら何でもいいわ。助けてくれたのだから」


 そう言うと、ボクとソウナに紙とシャーペンを出してきた。


「ここに剣と盾と国を使った紋章を描いてみて!」

「え? 絵を描くだけ?」

「まぁ簡単にいえばね」


 意外と普通だ……。アキの事だからきっと情報になるような……いや。

 これでボクが何を描いたのかって十分情報になるのかなぁ?

 そう思って紙にシャーペンを走らせる。

 自然と動くペン。スラスラとその紙に絵を描いていく。ちょっと楽しい。


「でも、どうして絵なんか描かせるの?」

「いやぁ……えっと……ちょっとね」

「最近アキちゃんは思いついてはこのお題の絵を描かせるのね!」

「ちょ、ハナちゃん!」


 何か振られたくないような話なのか、アキが急いでハナを止めようとするが残念ながらハナは最後まで喋った。ただし、ハナの言葉を聞いても結局分からなかったのだが。

 にしても珍しいこともある物だ。アキが慌てる所なんてなかなか見れなかった。少なくともボクが知り合った一ヶ月ほどは。


 ちなみにハナの場合。「元気が無い時なんて産まれてから一度も無い」と、アキが言っていた。知り合ったのは一歳ぐらいの頃だって言っていて、元気がって言うのはハナの親に聞いたようだ。

 そうやって考えていると、絵が描き終える。


「こんな感じかしら……」


 ソウナがそう言ったので、ソウナも丁度書き終わったってことだ。


「ボクもできました」

「じゃあ私から先に見せるわね」


 そう言ってまずソウナがアキに見せる。


「ふんふん。剣の刀身を盾納めてるって感じ。これは剣と盾を対に持つ人が良く使う武器だね。分からない人はゲーム『三○志』の魏、曹仁の武器を思い浮かべてね!」

「どこに指を指してるのね? アキちゃん」


 確かに……でも国が入っていない。これでもよかったのかな?

 いや、人が国を表しているのかな? ボクも人を描いたし……。


「これの他にも何個か思いついたけど……最初に思い浮かんだのでいいかなって。紋章だし……」

「そっか。じゃあ今度はリク君だね。どんな風に書いたの?」

「ボクは……」


 そう言って紙をアキに見せる。

 その絵には、剣と盾をそれぞれ六個、赤子を抱え込む女性を守るように周りに書いている。ちなみに赤子と女性は国を示すようにした。


「!?」


 その絵に息をのむアキ。しかし誰も気づいてはいなかった。


「リク君、これはどんな思いで書いたの?」


 ソウナが疑問形で聞いてくるのでボクは困ったように言う。


「これしか思いつかなかったんです。それに、これ以外無いかなぁって」


 えへへ……って感じで言ってみるとやっとアキの表情に気が付く。

 何だか怖い顔だ。いや、別に背筋が凍るような怖いでは無くて、何かを考えているようにしていて、怖い顔と言うことだ。


「えっと、どうかしたんですか? アキさん」

「へ? あ、ううん! えっと、リクちゃんはどうしてこんな絵が出たのかな?」


 急いで考えたみたいに、苦しまぎれに質問してきたアキに、ボクはハテナを浮かべて素直に答えた。


「そうですね……。どうしてか、ボクも分かりませんが……なんとなく出てきたって感じです」

「何となくでこれ……」


 そう言いながらメモ帳とボクの絵と見比べているようだ。

 メモに何が書いているんだろう?

 何となくで書いたのがいけなかったんだろうか?

 いや、そんなことを言ったらソウナも同じだ。ボクだけダメだってことは無いだろう。


「えっと。他に、この絵を描いた時に何か思いつかなかった? できれば、名前とか……」

「名前……ですか?」


 何だろう……。何も考えずに書いたからそういうものは……。


「ああ、いいのいいの! さ! この紙は私が貰ってくね!」


 そういうと、そそくさと紙を集めて自分のポケットの中に入れる。

 シャーペンも回収して、その場に立つ。


「今回はありがとね! おかげで転入生の情報が手に入ったわ!」

「来週の新聞に載せるのね!」


 ドアを開けて、元気に去って行った二人。


「転入生の情報?」

「あの二人、新聞を作っているんですよ。全部で三種類らしいんですけど」

「そう。でも二人で新聞を作るのは大変じゃないかしら?」

「それは……どうなんでしょう?」


 実際に作るならば大変だろう。新しい情報も作るための時間もなかなか無いに違いない。

 地球ならば二人で作るなんて無理だろう。ヒスティマでは分からないが、ソウナが大変と言うならば、大変なんだろう。

 だが、相手はあのアキとハナだ。アキの、時間を無視して事件現場へ向かうことや、ハナの、あの底の無い元気があるのだ。

 なかなかに強敵だろう。


「ボク等も行きましょう。また見つかったら大変です」

「そうね……」


 そうしてこの教室から出ると外には……。


「? 二人してこんな教室で何をしていたんだぃ?」


 桜花魔法学校校長、篠桜真陽がいた。

 白髪の髪に巫子服の下を黒くした服を着た二十代ぐらいの女性だ。

 この姿だと地球ではコスプレだとか言われるだろうが、ヒスティマでは普通だろう。


「ええっと、他の人から逃げてて、ここに隠れていたんです」

「へぇ。大変だねぇ。まぁここの教室なら基本誰もいないから好きに使っていいよぉ。ただし、ここは問題児(、、、)盗撮(、、)するために勝手に使ってるって噂だけどねぇ」

「へ……? 盗撮……?」


 それってどういう……。


「カメラ持つ問題児は知ってるかぃ? リクちゃんと同じ学年の【情報師(、、、)】を名乗ってるんだけどねぇ。この教室に誰かしらを誘いこんでは自動で撮るカメラで写真に収めた後、生徒に売っているって聞いたんだよぉ。まぁヒスティマでは諜報部っていう会社に入る人もいるだろうし、この学校にいる生徒や先生は基本いい子だから盗撮は禁止してなかったけどねぇ。撮られるほうが悪いってなるのさぁ。じゃあ。頑張ってねぇ」


 そう言って真陽は歩いて行った。


「…………え?」

「つまり、普通に盗撮をされていたってことね。どこにあったのかは知らないけれど」

「…………」


 まんまと騙された……。アキ達がこの部屋に誘ったのはそのためだったのか……。てっきり情報だけが欲しいんだと思っていたのに……。

 そう言えばアキもハナもカメラを撮っていなかったと今頃になって気がついた。


 ――撮る必要が無かったってことなんだ……。


「まぁ、過ぎたことは仕方が無いわね。リク君、帰りましょう」


 ボク等は、これ以上ここに居て追ってくる人に見つかると大変なのでさっさと帰ることにした。


ソウナさんがどうしてこういう絵を描いたのか聞いてみた。


ソウナ「え? えっと。よく読んだ本の紋章を思い出しただけよ?」


ということだった。



誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

Q&Aはいつでもやろうと思いますからどしどし質問しちゃってくださいねぇ(==ノ

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