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ヒスティマ Ⅱ  作者: 長谷川 レン
第一章 進軍する者
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ちょっと事情があり、文字数が少なめです。



 キーンコーンカーンコーン


「では、ここで授業を終わります。しっかりと予習をしておくように」


 歴史の先生である青木先生が荷物をまとめて教室を出て行った。

 生徒達はそれに続き、荷物をまとめたり、友人と話したりしていた。

 そんな中、ボクはと言うと……。


「う……。歴史が良くわかんない……」


 机に体を預けて唸っていた。


「どうかしたんですの? リクさん」

「あ、レナさん」


 レナが心配をしながら近づいてきた。

 何人かの生徒とよく一緒にいるが、今日は別行動なのだろうか?

 一人でボクのところに来るのは珍しい。


「何だかふぬけていますわよ?」

「だってぇ……。ヒスティマの歴史って専門用語が多すぎて全部覚えきれないんですもん……」

「ふふっ。そんなこと言ったら地球も同じでしょう?」


 笑いながら言うレナに対し、ボクは「確かに」と言って同じように笑う。

 そこで、何もボクに言わずに前の方を通って行くマナを見る。


「マナちゃーん! ちょっと待ってー!」


 そう言うと、彼女は声に気づき、ボクの方を振り向いて立ち止まる。


「行こ、レナさん」

「わかりましたわ」


 それを確認したボクは、急いで荷物をまとめて後を追った。


「いいなぁ……。マナの奴」

「リク姫から呼び止められるだなんてッ」

「俺はむしろ呼びとめたことがあるぜ!」

「まったく相手にされなかったけどな。ドンマイ、草羅」

「そういえばさぁ。ここにリク姫の私服の時の写真が――」

「「「何!? 志野村! それはどういうことだ!? (訳:その写真はいくらだ!?)」」」


 後ろでクラスメイト達が集まって財布などを取り出して何やら話し合っているが一体何だろう? と思うがマナを待たせるのもあれなので無視してマナの元に向かった。


「ごめんね、マナちゃん」

「う、ううん。大丈夫だよ~」

「? どうしたんですの、マナさん? 歯切れが悪いですわよ?」

「!? そ、そんなことないよ~。やっぱりウチ、先行くね! 先生に呼ばれてるから!」

「え、待ってマナちゃん! さっきもそうやって……」


 またも走り去って言ったマナ。


「マナさん、なんかせわしないですわね……」

「ボク、マナちゃんに嫌われちゃったのかな……?」

「そんなことは無いと思いますわ。絶対」


 ボクもレナも、マナの態度に疑問を浮かべるが、とりあえず、ボクは次の教室に向かう……のだが……。


「おお! レナ! 丁度探していたんだ」

茄波(なは)先生? どうかしましたの?」


 アーマメント組の担任の先生がレナに何の用? と思っている横で、急いでいた茄波先生に、レナは聞き返した。

 すると茄波先生はなんだかすまなそうに話した。


「またあの問題児が授業を抜けて行ったんだ。悪いが、探して戻してきてくれないか?」


 それを聞いたレナは、肩を落として呆れ顔となり、「また……ですわね」と言葉を漏らした。


「すまんな。任せられるの、レナしか思いつけなくてよ」

「わかりましたわ。その代わり、次の授業は必ず遅れてしまうのですが……」

「そこら辺は俺が何とか掛け合ってみよう。すまねぇな」


 そう言って去っていく茄波先生。

 一体どうしてこうなったのか。ボクは疑問が残った。


「えっと、問題児って……キリさんの事ですか?」


 なんとなく頭の中に浮かんだ一人の問題児を言ってみると、レナは普通に大きくうなずいた。


「はぁ。またですわ……。リクさん、少し付き合って欲しいですわ」

「またって……」


 キリ、どれだけ授業を抜けているんですか……。


「付き合ってもらえませんの?」

「いえ。ちゃんと付き合います。どこまで行けばいいでしょう?」

「すみませんわね。とりあえず、99%の確率でベクサリア平原の湖のほとりにいると思いますわ」


 ジト目で窓から見える、ベクサリア平原の端にある湖があるだろう森の所をジッと見ていた……。



 ★



「そういえばレナさん。こういうことってよくあるんですか?」

「仙ちゃん曰く、授業は受けなくても分かる。だそうですわ。まぁそれでも成績はマナさんよりは下ですけど」


 ケンカを売っているのだろうか? ボクは素直にそう思った。授業を受けてもあまりついていけていないボクに対してケンカでも売っているのだろうか?


「でも、よくある。と聞かれると無いと答えますわ」

「そっか。じゃあたまに……ってことかな」

「そういうことですわね。と、見えてきましたわ」


 湖のほとり。

 前に来た時はボク入れて五人いて、あまり湖の方を見れずに話しこんでしまったのだが、今回はそうでもなかった。

 面積はとても広く、東京ドームが入ればいいほどで、湖の水はかなり澄んでいる。

 周りには木々が生い茂っていて、根が地上に出ている物まである。

 おそらく前に足を引っ掛けたのはこの根だろう。

 風が静かで木がささやくような音を出し、木々の合間から漏れる日光の光が湖をキラキラと輝かせている。


「綺麗……」

「? あ、リクさんはこの光景を見るのは初めてでしたわね」


 ボクの呟きに、レナは納得するようにした。


「どういうこと?」

「この時間帯だけですわ。このようにお日様の光が照らされるのは。お昼頃とかですと日差しは斜めに入ってきませんから。逆にお昼過ぎだと木が丁度よく光を全部防いでしまいますから。どちらも、この情景よりは綺麗とは思いませんわ。ちなみに、この時間帯の光景が一番綺麗だと知っているのはわたくしと仙ちゃんぐらいですわ」


 つまり、一番綺麗な湖を最初に見てしまった訳ですか……。

 でも、それはそれでいいかな。

 そういえば、この世界に来てから綺麗だったり、幻想的な物をよく見るのだけど、ボクって結構、得しているのかな? と思う。

 その分、周りの人は性格に難がある者ばかりだが……。

 どうしてボクの周りはそういう人ばかりなのだろうか?

 常識人なんてせいぜいマナちゃんか、レナさん……いや、レナさんはたまに性格に難が出るし……。他の常識人は……妃鈴さん、グレンさん……意外といるかも。

 それなのに周りの人は性格に難がある者ばかりと思えてしまうって事は……雑賀やデルタ、母さんやアキなどの個性が濃すぎるのだろうか……?


「どうかしたんですの?」

「いや。中でも母さんの個性が一番濃いかなって思って……」

「? いきなり何の話ですの?」


 わからなくていいんです。ボクの中だけの話ですから……。

 レナも完全に関係がないわけではないが。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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