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ヒスティマ Ⅱ  作者: 長谷川 レン
第三章 RA・魔法研究会
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二つ目の部屋



「え? 今の……」

「〈火球〉……よね?」

「……あんな大きさ、見たこと無い」


 発動されたのは確かに〈火球〉だった。しかしあんな大きさは見たことはない。

 少なくとも、ボクはマナがあれだけの大きな魔法を使ったところを見たことが無い。

 〈火渦〉ならば、元々範囲魔法だから大きいが〈火球〉は球魔法だ。


「…………」


 その魔法を使ったマナ自身は顔をうつむかせていてどんな表情をしているのかがわからない。

 マナは右手で力強く握った拳を胸の所に持ってきて押さえている。

 痛いのだろうか。いや、でもマナの傷はすべてソウナが治したはずだが……。

 するとマナは治ったのだろうか、右手を離し、ボク達にいつもの笑顔を見せてくれた。


「大丈夫?」

「うん。ちょっと反動があっただけだから~」


 反動? 魔法に反動というものがあるのかは疑問だが、ボクはそれ以上は追及しなかった。


「それじゃあ行きましょ。あの機械が壊れたと同時にあの魔法陣も壊れたみたいだから」


 ソウナや白夜も何も言わずにいてくれたことにボクはホッとする。

 ボクはこの部屋から出て次に行くため、その扉を開けた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 リク達が大犬型アンドロイドを丁度壊したのと同じ時刻。

 すでに俺達は二つ目に部屋に居た。


「しっかしさっきの魔法はめんどくさかったな……」


 初めは同じ構造になっているのかと思ったが、三度目はさすがにおかしいと思った。印をつけ、四度目で確かめたので、四回分しか進んでいない。それ以降は魔法陣を見つける作業に移り、破壊。

 大きい犬の機械が出てきたから瞬殺して次の部屋に来た。


「ええ。リクさん達に後れを取っていなければいいのですが……」

「それは難しいな。こっちは三人。向こうは四人。向こうの方が探し物をするのは早いだろう」


 カレンがため息をつくように言うと、同じくレナもため息をついた。


「まぁいいだろ。それより、こいつどうする?」


 俺が親指で指すのは待ちかまえていたRA・魔法研究会の者が一人。ケオズではない他の奴がいた。

 複雑な魔法を組み立て、魔力を溜めている。


 どれも聞いたことが無いような魔法ばかりで対応がかなり遅れる。

 しかも何回かは被弾している。その度にレナが水魔法〈キュアー〉で回復している。


「そろそろ、幕引きとさせてもらおう。新しい魔法の数々は面白かったが、その中でも使えるのは十分の三ぐらいだろう」


 するとカレンは魔力を研究者の周りに放出。研究者の周り数ミリの所にダガーの切っ先が突如出現させられる。


「これは……っ」


 おかげで研究者は手も何もかもを動かせられないようにされた。


「さて、んじゃ次進みますか」


 めんどくさいようにしてダガーの切っ先を突き付けられている研究者を無視して行くと……。

 ガシッ。急に肩を誰かに掴まれ、先に進む足を引きとめられる。


「?」


 振り向くと、そこに居るのは先ほど切っ先を突き付けられていた研究者だった。

 ダガーは未だに浮いていて、壊されたり消されたりはされていない。

 つまりこいつはすり抜けたようにして通ったってことか?


「おもしれぇ魔法使うんだな」

「まだ新しい魔法としては認定されていないが」


 それでも十分実用性があると思われる。すり抜ける魔法なんて戦いに有利だ。魔力さえ流していれば自然と敵の攻撃は空振りするということ。

 まぁでも……。


「関係ねぇし俺にとってはあまり使えそうもねぇからお前もう気絶してろよ」


 そう言って掴んでいる手を無理やり引っ張って、殴りつけたが手応えが無く、俺の拳は研究者の体をすり抜けた。


「〈ウォーターランス〉!」


 レナが水魔法を使うと、その研究者は俺から遠のく。魔法は俺に向かってきていたのでかわす事を忘れなかった。


「面倒くせぇなこいつ……。リクがいたらかなり楽なのによ」

「そうだな。だがこいつは魔法を苦手をしているのではないか? じゃなければ避ける必要はない」


 カレンの言葉に納得する。つまり魔法はくらうということか。

 じゃあ。


「殴りまくるか。〈雷迅〉」


 雷が俺を纏う。それから俺は接近戦を叩きこんだ。

 すると研究者はまた新たな魔法を使い、もう少しのところで避けられる。

 さっきから避けたりするばかりの研究者。


「面倒くせぇ」

「なら後は私がやっておくか?」


 カレンが名乗り出る。それに俺は頷き、後ろに交代する。

 これ以上俺が戦っても魔力の無駄使いだろう。だったら他の奴に任せる方がいいな。

 レナも〈ウォーターランス〉から魔法を使っておらず、ウィンディーネを操って戦っているだけだった。


「では、お言葉に甘えて……〈剣舞〉」


 数多くのダガーを展開。そしてそれを同時に研究者へと走らせた。

 初めてみる魔法に研究者は驚き、戸惑い、果ては魔法を使用するのを忘れていた。

 ハッとした頃にはもうすでに残り二mかという所。ありふれた球魔法を発動し、当てて防ごうともしたが……。


「これの使い方はもうユウから教わった。無駄だ」


 数本のダガーで球魔法を斬り裂き、研究者へとダガーは接近した。

 研究者はなすすべなく、ダガーに切り刻まれたが……。


「えっと、大丈夫なんですの?」

「肉までは斬らん。別に死闘をしているわけではないのだから」


 カレンのその言葉にレナはホッとし、研究者を見る。

 するとダガーは虚空に消え、研究者はパンツ一丁のままでその場にたたずんでいた。


「よし。次行くか」


 俺は研究者をほっといて、次の扉を開けた。

 するとそこは梯子が上につながっていて、登れということなのだろうか。

 すると……。


「あら。キリさん達に負けちゃったのかしら?」

「……部屋は二つ? ……それは少しつまらない」


 ソウナと白夜、それからリクとマナが後ろから出てきた。


「ん? 今その扉からは俺達が出てきたんだが……」

「え?」


 リクが首を傾げる。そしてその扉をリクが見ると……。


「あ。この扉、魔法がかけられてます……え? そんな魔法が?」


 リクが独り言を喋るが、ルナと話してるだろう事を知っているから別に不思議には思わないが……。


(知らねぇ人が見たら電波系だとか言われるだろうな)


 そう思うが、ヒスティマにはしっかりと――と言っていいかわからないが――電波系がいる。変なことを喋り出す奴が多くはいないが、少数は必ずいるのだ。

 俺が見たことあるのは数人だ。

 親の簡単で安全な仕事について行ったことが何回もあるのでその時にあった。


「で、リク。この扉にはどんな魔法がかけられてんだ?」

「えっと、パラレルワールドみたいな物を魔法で作られていたみたいです」


 パラレルワールド? ってこたぁ空間を作ったってことか?

 ……ロピアルズ魔法研究会。すげぇな……。

 空間を作る魔法なんて聞いたことが無いし空間を作ることは神の所業だって言われる。

 まぁ俺は神なんて信じていなかったけどな。リクに出会うまでは。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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