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ヒスティマ Ⅱ  作者: 長谷川 レン
第三章 RA・魔法研究会
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RA・魔法研究会



 そしてユウの言う通り、大人数になった訳だが……。


「えっと……あれ? ウチの知らない人いる?」

「え? マナちゃん、全員知ってるんじゃないの?」


 ボクとユウとソウナ。そして呼んだのはキリとマナと白夜とレナとカレン……とまぁそこらへん。

 そして大人数がいいと聞いたのでまだ許せる範囲で呼んだのが……。


「右から弦、棺だな」


 そう言ったのはシーヘル(、、、、)

 二人がどうなったのかマナが知りたいと言ったので、キリが弦を、ユウが棺を呼んだのだが棺はシーヘル監視下に置かれているのでシーヘルまで同行することになったのだ。

 だけど……。


「えっと……え?」


 マナは混乱というか、何がどうなったのかわからないという風にしていた。

 ボクはただ、どちらも男だったと聞いていただけだったのでマナよりは混乱していなかった。


「わめくな。俺がどうなろうと貴様には関係ないだろう」

「しかし……棺がこうなるとは俺も想像していなかったな……」


 背の高いメイド服を着た女の人が背の小さく――とはいっても背の高い女の人に比べた場合――黒のゴスロリ服を着た女の人の頭をポンポンと叩く。しかも二人ともかなり似合っている。


「やめろ弦! 貴様こそ、それは何だ!」

「俺のは仕方ないんだ。世界ゲームで負けたのだからな……。もう諦めた」


 この会話を聞く限り、二人は元は男だったのか……。どうして女の人になっているかは知らないが……そして、そのことを知っていそうなユウに訊くことができたかもしれないが、それはやめておいた。

 後戻りができなさそうだ。


「はいはい、やめろ二人とも。今回君たちはただの付き添いだ。静かにしてなさい」


 シーヘルに言われて黙る二人。

 弦の方はそれで落ち着いたのだが、棺の方は納得していないような顔をしている。

 そしてそろそろ、ボクも言いたいことがあった。


「あの……どうしてシーヘルさんも弦さんも棺さんも……そしてユウまで武器を顕現してるのですか?」

「危険だからだ」「危険だと聞いたからだ」「前に来た時に危険だとわかったからだ」

「何が!? 魔法研究会には一体何があるの!?」

「大丈夫! お兄ちゃんのことはユウが守るよ!」

「ボク達攻撃されるの!?」

『高い確率で』

「声そろえて言うぐらい!?」


 シーヘルは腰に『ドラゴンソード・紅』を鞘に納めていて、弦は雷を両手に纏い、棺は背中に『大鎌』を背負い、ユウのエングスはすでに抜き身の状態だ。


「とりあえず君たちも早く魔力解放をしていなさい。後は武器も顕現すること。そして自分の身はなるべく自分で守りなさい。だからと言って殺してはダメですよ?」

「本当に、一体何があるんですか……」


 心が完全に不安になる。なんだか入りたくないと体が言っているような気がする。

 それでも入らなければ始まらない。ボクは唯一起きているルナを呼び出して、右腰の重さを確認する。

 そのほか全員も同じように武器を呼び出した。


「よし。それじゃあ中に入るか」


 そう言って目の前の大きな建造物――縦に大きいではなく、敷地が大きいという意味――の両開きの扉を開いた。

 中に入ると、まずは大きなホール。まわりにはだれもいない。少なくとも、人の姿は見えない。


「あれ……。誰もいない?」

「お兄ちゃん。もういるよ」

「へ?」


 ユウのその言葉と同時にその場で人を探していた全員が前を見る。


「これはこれは……シーヘル様にユウ様」

『!?』


 ボク達の目の前に、いつの間にか立っていた一人の老人。黒いフード付きのローブで顔はあまり見えない服を着た、あらかさまに怪しげな人が立っていた。


「くっくっく。魔法研究会に来るのは初めてですかな? そちらの方々は」


 低く笑う声に、ボク達はそれぞれ怖々と頷く。


「そうですかそうですか。見たところ、最近の新人、弦と棺もいますねぇ。……これはいい実験データが取れそうです……」


 口元をモゴモゴとさせてボク達に聞こえないように言う怪しげな老人は案内すると言ってボク達を奥へ連れて行った。


「ところで、今日はどのような御用件で?」

「リク君が、カナ様から頼まれ事をされているんだ」


 シーヘルがボクに向きながらそう言うと、その怪しい人もボクの方を見てくる。


「ほぅ……。リクというのは、貴方でよろしいですか?」

「は、はい……」


 そう返事をすると、今度はじろじろとボクを見て来て、ボクの指のところで視線が止まった……ように見えた。


「おや? 貴方のその指輪……我々研究会が作った性転換する指輪ではないですか。まだ名前を決めていませんでしたねぇ」


 これは魔法研究会が作った……?


「聞いていないのですかな? その指輪、いいデータがあらかた取れてしま――ゴホン。完成したのでカナ様に献上したのですよ。元々、カナ様が作ってくれと仰いましてねぇ」


 なぜ作ってと聞いたのかは聞かない方がいいだろう。絶対にボクに使わせる気だったに違いないからだ。

それよりも……。


「えっと……なんて呼べば……」

「おや、そう言えばまだ名乗っていませんでしたな。私は混沌、ケオズとでも呼んでくだされば幸いです」


 とでもってことは本名じゃないのかな……。でも、呼ぶ名前があれば呼びやすいし、本名を隠すってことはそれなりに事情があるんだよね? そう思ってボクは聞かずにいた。


「ん? 何だあれ?」


 キリが横に流れるコンテナを指す。


「あれにはまだ可能性を秘めている物資が入っているのですよ。気にしない方が身のためですねぇ」


 そういう事らしいのでボク達はそれ以上は聞こうとはしなかった。


「あの……ボクの訪問の件を……」

「あぁ。忘れていましたねぇ。一体どのような事を?」

「はい。あの、母さんが調べさせるために魔法研究会に持って行ってと言われた物が……」


 そう言ってボクは黒く燃える羽根を取りだしてケオズに渡す。


「ほほぅ……。これは……悪魔ですな?」

「はい。その悪魔の事、調べてもらえないでしょうか? おそらく爆発とか、炎を使う悪魔だと思うんですけど……」


 それでなければ、誰かにやられたということだ。悪魔は汚染する事をソウナの件で知っている。


「わかりました。これはちゃんと調べておきましょう。なぁに。あなた方がここを出る時にはもう終わっているでしょう」


 そう言ってその羽根を隣にいた同じローブをまとった人に渡した。


「あら? 今さっき、そこに人はいなかったハズですわ……」

「そうね。一体どういうカラクリを使っているのかしら?」

「くっくっく。別にカラクリなんか使っていませんとも。我々は無遊動魔法を使ってるだけで御座います。一種のテレポート」


 魔法? それだったらボクの目に魔力供給線が見えるはずなのだが……。

 周りを見渡すがそんな物はどこにも存在しない。


「無遊動魔法? そんな物、聞いたことないが……さすが一番魔法が進んでいると言われている研究所だな」

「くっくっく。御褒めに預かり光栄でございます」


 カレンが顎に手を当てながら称賛すると、ケオズは笑いながら受け入れた。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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