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ヒスティマ Ⅱ  作者: 長谷川 レン
第三章 RA・魔法研究会
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ゲームセンター



「これで大体は回りましたけど、どうでしたか?」


 後はゲームセンターで時間を潰すぐらいだろう。そこまで大きくは無いが。

 ボクはキリに訊いてみると、キリは楽しそうに返してくれた。


「そうだな。一番わかったことはリクの愛され度か」

「なんです、それ!? どう考えても町と関係ないですよね!?」

「関係なくは無いだろうけどな……」

「それ、どういう意味ですか……?」


 キリの苦笑いを見ると、関係ないって言った自分の言葉が信じられなくなる。


「まぁ、退屈しなさそうな町で俺は好きだな」

「ありがとうございます、キリさん」


 自分の町を褒めてくれる。それは町に住んでる人ならば嬉しい事この上ないだろう。


「まぁ、その退屈しない内の一つはきっとカナなんだろうけどな」

「あははは……。この町で母さんを知らない人って言ったら多分いないですからね……」


 そう。別に母さんはこの町の町長という訳ではないのだが、母さんはイベントをこよなく愛す。

 あることを思いついては、この町でイベントをしまくるので、この町の人は全員が母さんを知っている。ちなみに町長はその母さんの行動を良しとしているため、大体のイベントは開催されてしまう。

 そしてその息子と娘である――ここ大事です――ボクとユウのことも、大体全員が知っている。

 そしてボクもそれなりに覚えている。


「じゃあ後はゲームでもして、遊びますか?」


 目の前にゲームセンター。この町唯一のそれに、平日は町中から人が集まってくる。

 だが、休日はこのゲームセンターに来たりする人は少数だ。なぜかというと、ここのような小さな町よりも大きな町の方、つまり都市に行けばこのゲームセンターに行かなくとも楽しめる場所が多いからだ。


「ああ。そうだな。リクはよくやんのか?」

「ええ。まぁ……。ユウとよく」


 実際、ユウにはよくここに付き合わされていた。

 平日も休日も、他の町のゲームセンターに行くのではなくて、この町のゲームセンターに来る。


「じゃあお手並み拝見ってとこか」


 キリが嬉々としながらゲームセンターに入っていくのでボクもその後に続いた。

 中はそれほど広くないゲームセンター。休日だからか数人しかいない。

 それも小学生ぐらいの子供や老人などだ。

 小学生ぐらいの子供はカードゲームなどを持っていて、ゲーム機を使わずにそれで遊んでいる。テーブルが一応置いてあるので難なくゲームが開催することが可能だ。

 そしてボク達がまず最初にする(ゲーム)は……。


「よし、まずはエアホッケーな」

「望むところです」


 キリは反対側行ったのを確認してお金を入れようとした時……。


「お、リクちゃんじゃないか。何だ? これやるのか?」

「ええ。そうですけど……」


 この店の店長である人が気軽に声をかけてきたので、ボクはそれに答える。


「チョイ待ってな。リクちゃんだったら特別だ。よく来てくれるし、彼氏も一緒みたいだからな」


 微笑しながら言う店長に、ボクは否定をする。


「だから彼氏じゃないですって……。ボクもキリさんも男の人ですよ?」

「ここまで噂が広まってんのかよ……」


 キリは完全に呆れかえっていた。

 それにしても特別って何を? と思っていたら、エアホッケーがお金を使わなくても機動した。


「え? これ……」

「リクちゃんには感謝しきれねぇくらい恩があるからな。これくらい大丈夫だ。今度からリクちゃん来たら言ってくれ、な?」

「でも、ボク恩なんて売ってないですよ……?」


 毎回ユウに付き合ってきていただけだし、別に……。


「いやぁ。リクちゃんが平日だけでなく、休日も来てくれるおかげで………おっといけねぇ。これ以上は企業秘密だ」


 田舎の町の、ゲームセンターに企業秘密だなんてあるんだろうか?


「でも、ボクだけ特別扱いだなんて……」


 それでは周りの人が納得いかないと思うのだが……。

 周りを見てみると、サッと顔を背ける人が多数。

 今までこちらを見ていた人達だろう。小学生の子供から老人まで大人数が見ていたと思われる。視線も感じていたし。


「大丈夫大丈夫。ほら、好きに遊んで行きな」


 そう言って店長はボク達から離れて行った。


「えっと……よくわからないんですけど……」

「俺はなんとなくわかったけどな。まぁそんなことはいいだろ。やるぞ」


 キリはわかったようだが、ボクにはさっぱりだった。どうしてキリにはわかってボクにはわからないのか……。

 そしてキリはマレットを手に持って、テーブル上に置く。


「始めるぞ」

「いつでも来てください!」


 ボクもマレットを持ち、テーブルに置くと、最初のパックがボクの方に入ってきた。


「えい!」


 ボクはそのパックを斜めに打ち、外郭を利用して反射させる。


「ほっ」


 それを難なく返してきたキリ。パックはまっすぐにゴールに向かっていたので、ボクは少し速く打ち返す。また外郭を利用したのだが、キリはさらに速くさせてまっすぐ打ってきた。


「って速っ!?」


 それでもなんとか返したのだが、今度は外郭には当たらずにまっすぐ返った瞬間だった。


「もらい」


 カァンッと音を鳴らして横に移動していたキリが力強く打った。打たれたパックは外郭を一回弾くと、綺麗にゴールに入っていった。


「ああ!?」

「悪いな。よく昔やってたもんで」


 ひ、ヒスティマにもエアホッケーってあるのですか……。

 かなり疑問に残ったが、それならこちらも遠慮はしない。


「今度はボクが取りますからね!」

「やってみろよ、リク」


 そこから、壮絶な戦いが始まった――。




「ど、どうして取れた点数が8点……」

「いや。レナよりはかなり取れてるから俺も面白かったぞ?」


 25点先取の結果。25‐8でボクの負けだった。

 ユウといつも打ち合って、大体ボクが勝ち越しをするのだけど……まさかここまでの惨敗をするとは思えなかった……。


「次は何する?」

「なら……あれです! 卓球で勝負です!」

「へぇ。このゲームセンター、卓球まであんのか」


 いくら田舎と言ってもココのゲームセンターはそれなりに広い。ビデオゲーム、メダルゲームはもちろんのこと、卓球、バッティングセンター、PKゲームなど、体を動かすゲームもたくさんあるのだ。



 卓球。


「はっ!」

「おらよ」


 7ゲームマッチで4‐1で負け。



 バッティング。


「いっけー!」

「おせぇ」


 10球中、どちらが最大のスピードのボールを多く打てるかで……。ボク、10球中4回。キリ、10球中9回で負け。



 PK。


「あ! ボク、サッカーってあんまりやったこと無かった!」

「…………アホ?」



 負け。




「…………どうして勝てないんですか……」

「いや、リクは強ぇと思うぞ? レナよりは」


 体を動かすゲームは完敗。しかも全部圧倒的な力の差を思い知らされた。


「なら……今度はビデオゲームで勝負です!」

「いいぜ。格闘もレースもいろいろあるみたいだし、何からだ?」


 ならば最初は……。



 格闘。


「ちょ、コンボ決まりすぎじゃないですか!?」

「これくらい楽勝」


 完敗。



 レース。


「あれ!? キリさんの車、ボクよりも性能が下ですよね!?」

「性能よりもドライバーのテクニックってな」


 完敗。



「どうして勝てないんですか……」


 完全にボクの中の自身が無くなってきたような気がする。


「じゃあ手加減するか?」

「そんなことしたら本気でへこみます……」

「だろ?」


 キリが変なことを訊いてきたので落ち込む。


「仕方ないです……ボクの一番の得意なゲームで圧勝します!」

「ほう。どれだ?」


 ボクは何の迷いも無く、そのゲームのところへ向かう。

 ついた場所にあったゲームはというと……。


「へぇ。太○の達人か」

「五回の内、先に三回得点が多かった方の勝ちです! どうですか? やりますか?」


 これまでの勝負で惨敗し続けた事もあってか、少し挑発的にキリを誘う。

 そのボクの挑発を、キリはにやりとしながら受け取った。


「言うな? リク。その挑発、受けてやろうじゃねぇか」


 そして、ボクとキリはそれぞれバチを持って、太鼓に向かい、ゲームを始めた――。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

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