リクの料理は待ち遠しい
第二章開始ですよぉ!
「じゃあ、シャワー使うから」
「どうぞ。お湯は40℃ぐらいに設定されてますから――」
「ええ。勝手に下げさせてもらうわ」
動きやすい洋服を持ってお風呂場に向かうソウナ。バスタオルやタオルは脱衣所に置いてある。シャワーを浴びるだけでしっかりとお風呂に入るのは後だ。正確には真陽との稽古が終わった後でいつもお風呂に入っている。
ちなみに脱衣所の扉には内側からしか開けられない鍵が付いているのだが……どうやってか母さんは普通に開けたことがある。「えい♪」とか言いながら……。
しかし、40℃で熱いというソウナはどうなのだろうか? いつも38℃ぐらいに設定をするので熱いのが苦手なのかなと思ってしまう。
2℃くらいで熱さが結構変わるのかなとも思うが……。
ソウナ曰く、
「お風呂の温度差2℃はかなり大きいわ」
と言っていた。ボクにはさっぱり分からない。シラはソウナの言葉にうんうんとうなずいていた。
ボクはソウナがシャワーを浴びている間にキッチンに立つ。冷蔵庫に入っている物を思い出しながら、今日のメニューを考える。
(確か、卵はもう使っちゃわないといけないし……。お肉は鶏肉があったかな? うん。親子丼にしよ。ソウナさん、どんぶりって食べたこと無いみたいだし)
ソウナは九年前から箱入り娘状態だったらしい。丁度、あの低級悪魔、グレムリンがついてからだ。おそらくグレムリンがそう仕向けたのだろう。小さい頃だとは言え、ソウナはしっかりとグレムリンの姿を見ていたのだから。
そう考えながらも卵や鶏肉、玉葱などなど。料理に使う具材を取り出した後、今度は調味料を取り出す。
そして青色のエプロンを持ってつけ始めながら気合の一言。
「さ~てと。作ろっか♪」
キュッとエプロンの紐を締めて調理をし始めた。
「初めはお米を研がなきゃね」
そう言ってお米を5合ほど炊く。別にボクやソウナがたくさんは食べる訳じゃない。むしろ食べれない。じゃあなぜ5合? と思う人がいるだろう。これは一人5合分って事。まぁボクとソウナは1合なんて食べれないけどね。
食べるのは……。
「楽しみじゃのぅ。リクの親子丼は」
「りくのおやこどんをたべるのははじめてですね」
「僕はまだ1週間前からだが、リクの料理はやみつきになるな。カナやユウの料理などよりもリクの料理が楽しみで溜まらない」
と、テーブルにすでについて議論(?)を始めている神々達のために、だ。食費がかさむ……。まぁ母さんは「大丈夫♪ 大丈夫♪」などと言っているが、ボクはむしろとても心配だ。
いつの日か「あら? お金無くなっちゃった♪」などと言ったら説教だ。
まぁボクも悪じゃないから食べさせるし、おいしく食べてくれるのはとても嬉しいんだけどね。
(ん~。ちょっと薄いかな。醤油醤油っと……)
醤油を微量入れる。そのあとに少しすくってなめてみる。
(ん。こんなものかな。ソウナさんは適度に薄い方が好きみたいだったし)
いろいろと考えながらもどんどんと作り上げていく。
いい匂いがしてきて、ボク自身のお腹も鳴りそうになった。
「さてっと、仕上げ」
鶏肉など様々な物を煮込み終わったところにかき混ぜた卵を周りから真ん中に向けて丸をかきながら入れる。ちょうどいい具合に広がった。
(今回も結構うまくできたかな)
そうして鍋に蓋をして少々待つ。
そうし始めるとご飯が炊けたようなので、ボクは器を取り出してご飯をよそう。
丁度いい時間かなと思って鍋の蓋を開けるとおいしそうな感じに出来上がっていた。
そう思ったらすぐに火を消してよそったご飯の上に乗せる。
「いい匂い。今日は何かしら?」
シャワーから髪を拭きながら出てきたソウナが、夕食が何か聞いてきた。
「親子丼です。ソウナさん、どんぶり系って食べたこと無いって聞いたので」
そう言ってどんぶりをテーブルに並べていく。
「おぉ。待っておったぞ!」
「おちつきなさい『ルナ』」
「そう言うシラも口からよだれが出ているぞ?」
神々がそれぞれ騒ぎ始める。一番落ち着いているのはディスだ。ルナやシラは落ち着きが見えない。いや、シラは表情に出していないがディスが言うようによだれが垂れている。シラは赤くしながらもそれをタオルでぬぐい取る。
ソウナは親子丼? とでも言うような顔でテーブルに着く。
それにならってボクも席について手を合わせる。
「いただきます」
「いただきます」
「「「いただきます!」」」
ボクとソウナ、プラス3人が一斉に親子丼を口に運んだ。
「うむ! うまい!」
「さすがりくです……。あついのはにがてですが、りくのつくった『料理』はあつくてもたべたいとおもいます」
「今回もうまい! ホントに毎日食べたいぐらいだ!」
ディスの言葉にソウナも納得する。
「ホント。これからはリク君に全部作ってもらいたいわね。初めて食べる物だけど、とってもおいしいわ。どうしたらこんなにおいしく……」
「あははは。ありがとうございます」
ちょっと照れくさいですね。やっぱり。
口の中に入ったお肉の歯ごたえと、卵のとろっとした甘みが広がって、自分で言うのもなんだが、とてもおいしい。
「それにしても、あれよね。ユウちゃんが作る時は……」
「ええ。大体がヤキソバです……」
ユウがそれ以外に作った事があるところが見たことが無い……。せいぜい母さんの手伝いをしている時だけだ。ただし、ヤキソバの種類だけはかなり広く作れるので別に飽きるということは無い。
「逆に、カナさんが作ると……」
「ええ……。なんか独特の料理なんですよね……。ボクは食べ慣れてるけど……」
「最初に出てきた時はビックリしたわ。おいしいからいいのだけど……」
母さんの料理は独特な料理だ。正直言って、あんなのを食べているのは赤砂家だけではないのだろうかって思う時がある。どこで習ってきたのか。それとも自作なのか……。
ソウナが言っているように、おいしいのだからいいのだが。おいしくなかったら絶対にボクとユウで全力阻止だ。その料理を作っている時だけ。
そうして話して行くごとに、ご飯はどんどん減って行き――特に神々によって――すべての料理が無くなると、全員が満足したような顔になる。
ボクは食器を全部台所に持ってくと全部まとめて洗い始めた。
すると、ピンポーンといつものようにインターホンが鳴る。
稽古をしてくれる真陽だろう。
「あっと。もう来たんですか」
いつもならもうちょっと。それこそ今から30分ほど後に来るのだが……。
「私が出てくるわ」
洗い物で手が離せないボクはソウナに「お願いします」とだけ言って食器を再び洗いはいじめた最中だった――ドタドタドタッ。
「どういうことだ!? リク!?」
「――え?」
聞き覚えのある声が聞こえた。真陽ならどれだけ良かったことか。
声は完全に男の声だ。そして、ボクの予想が当たっていれば……。
ボクは振り向く。そしてその声の主を見た瞬間――。
――パリィィンッ。持っていた皿を足の上に落とした。
料理の描写って書きづらいですね……。
もっとうまくならないと……。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
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