第53話 動物病院と、オークの嗜好と、梅紫蘇おにぎり
アンデッドの餌として使うマウスは才華が仕入れてくれる。
研究用のマウスだから割安よとの事。
今日はこの間の病院ともう一軒回る。
なんと動物病院だ。
動物は嫌いじゃない。
畑に害を及ぼさなければな。
犬と猫に思うのは、畑に糞をするんじゃねぇだ。
犬は完全に飼い主が悪い。
散歩するなら糞は持って帰れだ。
糞はそのままでは肥料にはならない。
発酵させるプロセスが必要だ。
作物にとって肥料は劇薬。
だから、すぐそばに撒かないし。
種を植えた時なんかに撒く。
こうすると育った時に肥料は分解されて植物の良い栄養になる。
猫なんだが、ネズミを捕ってくれるから、良い奴なんだけど。
畑の土が柔らかいのが好きなのか、トイレとして認識してる。
トイレしようとした時は追い払うが、効果はない。
獣除けの威圧の杭が効いてくれる事を祈る。
とにかく動物は嫌いじゃないが、畑に害を与えるのは勘弁してほしい。
動物病院に行くと、猫と犬が多い。
毛が剃られたのか、抜けたのか、禿げている痛ましいのが何匹かいる。
俺はおやつにエリクサーの粉をまぶしたのを与えた。
主成分豆だから食っても平気だろう。
塩分も入ってないしな。
猫や犬が瞬く間に治る。
「今日はマイナスイオンを浴びる会の会長の畑山氏と動物病院に訪れています。驚きです。安楽死を待つ動物が元気になりました。動物を治してみてどうですか?」
アナウンサーをそう喋った後にマイクを向けて来た。
「治療はしてません。治ったのは生命力のおかげです。それとマイナスイオンの力ですね。可愛い動物が元気になって良かったと思います」
俺は無難な返答をしておいて、元気になった犬を撫でた。
飼い主が立ち会ってないのは良い事だ。
彼等のペットを思う心は強い。
治らなくて容態が悪くなりでもしたら、大変なところだ。
小型犬を抱き上げてポーズをとって撮影は終わった。
マウスをアンデッドの餌にしている事がばれたら、好感度は最悪だろうな。
オークダンジョンの様子も見に行ってみよう。
帰ってからオークダンジョンに繋ぐ。
この後、アンデッドダンジョンに行く予定なので、マウスの袋も手に持っていた。
ダンジョンに足を踏み入れるとオーク達が訓練をしていた。
「マスター、その袋は差し入れですか?」
「お前らも肉を食うのかよ」
「蛇なんか最高ですな。カニも好きです」
蛇は流石に高い。
カニも高い。
こいつら意外にグルメだな。
「果物とかも、いけそうだな」
「大好きです」
果物はダンジョン焼き畑で作れる。
たまに振る舞ってやろう。
肉はちょっとな。
ペットフードはどうだろう。
でもあれも意外に高いんだよな。
オークが病気になったりしたら可哀想だ。
たまにカルシウムとかタンパク質を与えないといけないな。
知り合いの伝手で出汁をとる工場から出る廃棄物の鰹節が手に入るんだ。
これを与えてみるか。
あれを、召喚出来ないかな。
元は肥料用だし。
「召喚、出汁をとった後の鰹節。うわっ、ただで手に入った」
なんだ簡単だな。
これを食えばカルシウムとタンパク質は補充できるだろう。
もっと良い物を食わせてやりたいが、税金も払わないといけないし、我慢してくれ。
「味は薄いですが、いけますな」
オークが鰹節を食い漁っている。
「出汁をとったといえ鰹節だからな」
他にもレパートリーがあれば良かったんだが、後は牡蠣殻と鶏糞ぐらいしか知らない。
鶏糞は糞だから食えないし、また後で何か考えよう。
今日の晩飯のおかずは廃棄物だ。
梅干しを漬けた紫蘇の葉を取り出して乾燥する。
カラカラになったらミキサーで粉々に。
梅干しの紫蘇だから塩味と酸味が良く利いている。
これをご飯に混ぜておにぎりを握る。
メインのおかずは鳥皮のから揚げだ。
廃棄物ではないが、余り物という事で。
「今日は質素ね。遠足を思い出すわ」
「たまにはおにぎりも良いだろう」
「そうね。思い出が蘇ってきた」
おにぎりは梅干しの風味が利いて、塩加減もちょうど良い。
鳥皮のから揚げを摘まむ。
鳥皮も脂がのって、なかなかに美味い。
肉関係の業者と知り合いになれないかなぁ。
肥料として一度仕入れれば、召喚できるはずだ。
才華の伝手は広そうだが、たぶん伝手はないだろう。
ご飯を食いながらスマホで検索する。
ええと、肉と骨は産廃にあたるので、法律に則ってしかるべく処理をしないといけないらしい。
くそう廃棄物の生肉は仕入れられないようだ。
特別な伝手がないと難しいみたい。
だけど、何か考えれば、そのうち良いアイデアも出るさ。




